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2026年02月12日12:29

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映画「ツーリストファミリー」

経済危機で生活が困難なスリランカから、ダース(シャシクマール)とワサンティ(シムラン)の夫婦は息子のニドゥとムッリを連れ、一家で夜陰に紛れて、インドに上陸。
すぐに警官に見つかるが、海岸のボートの中で寝ていたワサンティの兄・プラカーシュ(ヨーギ・バーブ)が登場。義兄と浜辺の看板のところで待ち合わせしてただけなんだ、とダースは説明するが、警官たちはどうにもあやしい、インドへの密入国者だと思い、一家を護送車に乗せる。

しかし、ダースの必死の懇願と、どこからかムッリが連れてきた犬を見せ、泣き落としにかかる。なんとムッリが言うワンちゃんの名前は、警官の息子と一緒だ。
情にほだされた形で、一家は釈放された。

しかし犬は、ムッリが勝手に海岸から連れてきたもので、名前は「警官が腕にタトゥーで入れてたので、たぶん子どもの名前だろうと」。ちゃっかりして、なかなか賢いムッリ。

かくして一家は、チェンナイの街の、一軒家の二階に間借りすることに。
プラカーシュはすでにインドで長く暮らしていたが、ダースたちには、スリランカからの不法滞在者とバレぬよう、近隣の人間とは関わるな、とくぎを刺す。

家の一階に住む大家の職業はなんと警官だった!
あわてるダースだったが、妻のワサンティは、得意の料理をご近所にふるまい、すっかり奥様方と仲良しに。
長男のニドゥは、大家の娘の恋愛話に付き合う。
そのニドゥは、突然のインド密航のため、スリランカに残してきた恋人が、別の男とさっさと結婚してしまったのだ。
スマホで送られきた元カノの結婚式映像を見て、嘆くニドゥ。

ダースはご近所に貼り紙があった、お金持ちの男性の運転手に応募。
男性は1週間試用期間だと言い、その後解雇を申し渡すものの、ダースがインドにやってきた事情を正直に話すと、一転、ダースを雇い入れる。

ご近所には、ひきこもりのような青年がいて、みなにうとまれていた。しかし、彼はひとりで認知症の母親を介護、死なれた後、自暴自棄になっていたのだが、ご近所の人々はそんな事情を知らない。

ワサンティと一番仲良しの女性が突然死する。愛妻を亡くして悲嘆にくれる夫。
ダースは近隣住民に呼びかけ、女性の葬儀のことを知らせると、数多くの人々が教会に集まった。ダースは、あの引きこもり青年にも葬儀に来てくれるように頼んでいた。
亡くなった夫は、参列するよう呼び掛けてくれたダースに感謝し、青年も、今まで誰も孤独な自分に寄り添ってくれなかったのに、ダースは声をかけてくれた、と教会で皆に語り掛けるのだった。

そんな折、街ではゴミ箱に仕掛けられた爆弾の爆発事件が。
所管の警察は「スリランカ人のテロリストの仕業だ!」と決めつけ、犯人探しに躍起に。
そして捜査の担当となったのは、例のダースたち一家を見逃したあの警官だった。
彼はあの一家が犯人かも、そうしたら釈放した自分はどうなる?と恐れるが・・


あらすじだけ書くと、なんかシリアスな物語みたいだけど、そこはインド映画、随所に歌と踊りが差しはさまれ、密入国者とバレちゃいけない〜!とアセる一家のドタバタぶりがコミカルに描かれ、わたしのすぐ近くの座席に座ってたご婦人など、そんなシーンごとに大声出して笑ってらっしゃった。
「町内懇親会」でワサンティが踊るシーン、スマホの中で、ニドゥの元カノが、結婚式で妖しくダンスする映像など、なかなか見ものです。

うならされたのは、セリフの字幕。
一家は「スリランカ訛りのタミル語」をしゃべるのだが、チェンナイの街ではそれが出ないように四苦八苦。
しかし日本人の観客は(専門家を除けば)、そういった違いが分からない。
そのため本編上映前の注釈で「スリランカ訛りのタミル語は、古語として字幕で表現しています」と出る。

だから、ダースが大家の娘を見て、つい故郷の言葉が出るシーンでは、
「見目麗しき姫君!」という字幕。
本人は「かわいらしいお嬢さん」と言ったつもりなんだろうけど。
そのほか「しゃべる」を「語らい」と言ってしまったりで、運転手の雇い主にけげんな顔をされたり。
そういう字幕翻訳は、ヘタに不自然な方言を充てるより、うまいやりかただと思った。

この映画のキャッチコピーは、
「国と国より、人と人」。
まさに排外的空気がうずまく現代の日本で、見てもらいたい映画だ。
国境を越え、一家のふるまいは、周囲を巻き込んで、近隣の人々の心を変えていく。
ラストシーン、警官が
「人が慕われるのは権力と金があるから。でも権力も金もないあなたが慕われるのは、あなたに人徳があるからです」とダースに言う場面は泣ける。
例の大笑いしてたご婦人も、ほぼ号泣しておりました。
(2月10日、イオンシネマ大野城)
8 10

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