長浦 京 (著)
1947年(昭和22年)、一人の英国人が立川飛行場に降り立った。
英国陸軍中尉「イアン・マイケル・アンダーソン」
彼の目的は、戦時中に捕虜となり不当に処刑された兄の仇を討つこと。
立ちはだかる旧軍関係者・ヤクザ・スパイ・GHQ、複雑に絡み合う思惑。
暗く影を落とす歴史の闇が、イアンを呑み込んでいく、、、
惜しいッ!!
光り輝く長所と拭いきれない弱点が混在した作品。
いやぁつくづく惜しい。
ネタは最高なのにシャリはパサパサ、絶世の美女なのに鼻毛がみたいな感じ。
ストーリーもキャラクターも魅力的。
そして何より世界観の作り込み、ディテールのこだわりが素晴らしい。
読者はあたかも、イアンというアバターを操作して戦後の東京にダイブしたかのような感覚を味わえることでしょう。
379冊目『リボルバー・リリー』
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1986177498&owner_id=263792
のときより数段巧くなってます。
じゃあ、拭いきれない弱点とは何ぞや?
同じ。『リボルバー・リリー』のときと全く一緒。
アクションシーンの脳内映像変換が絶望的。
画が全く浮かばない。バリバリのアクションものなのに、アクションシーンは流し読み(哀)
自らをレベルアップするとき、二つのアプローチがあると思うんですよ。
長所を伸ばすか、弱点を克服するか。
ズバリッ長岡先生は、、、
戦場を変えるってのはいかが?
そう、アクションもの以外を書くってことです。
っつーか、俺がアクションもの以外を読めばいいのか、、、
ほほう、既刊作を散見するにバリバリのアクション作家ですね長浦先生。
それならば、やはり、、、じゃ、弱点というか、、、えぇーーと、動きの方をですね、、、ええ、あの、そのアクションシーンが、、、ええハイ、上手く想像できないっていうか、場面がですね、思い浮かばないっていうか、、、
申し訳ありませんッ!!
こっから褒めますんで、御無礼は平に、、、
戦後東京が舞台で、イギリス人が主人公という着眼点。
アメリカ人でも日本人でもなく、イギリス人という奇策。
清須会議で三法師を推した秀吉を思い出しました。
いやぁ〜〜参った、この設定だけで今作の勝ちが確定したといってもいいくらい。
太平洋戦争は実質日米戦争ですから。同じ連合国とはいえ英国はよそ者なんですよ。
これがアメリカ人主人公なら話がスイスイ進み過ぎちゃうし、日本人なら戦後の闇を外から俯瞰することができません。
アメリカ人は日本を降伏させたのは自分たちだという自負がありますし、日本人はアメリカにはコテンパンにやられたけれど、イギリスに負けたとはこれっぽちも思ってない。
ボスの友人、所謂スネ夫ポジション。
戦後東京という器に盛りつけられる、イギリス人主人公という素材。
さらにイアンはゴリゴリの差別主義者。効き過ぎるほどのスパイスをキャラにぶっかけてきやがる。
読者は日本人を猿呼ばわりするいけ好かない主人公に反発を覚えながらも、徹底的に書き込まれた戦後東京のリアリティにグイグイ引き込まれていくという案配。
イアンの復讐と戦後日本の闇、資本主義と共産主義、憎むべき日本人と信じるに足る日本人、イギリス人と日本人、イギリス人とアメリカ人、GHQ民生局と参謀二部、縛られた過去と拡がる未来、個人と国家、感情と実利、そして光り輝く長所と拭いきれない弱点。
あらゆる二軸が対立し反発し融合して化学変化を起こしながら、怒涛のクライマックスに雪崩込みます。
西洋人視点で戦後東京を異文化体験できるなんて、読書冥利に尽きるというもの。
嗚呼、これでアクションシーンさえ、、、(しつこい)
最後に今作の核心を表した一節を引用させていただきます。
>日本にはある種の異様な空気が漂っている。
敵意なき笑顔と従順さで包み込み、すべてのものを変質させてしまう空気が
「ギブミーチョコレート」の件、マジですか?
★★★☆☆
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