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2024年05月13日13:30

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読書日記N o.1615(色の中に語るべきイタリアの物語がある)

■内田洋子「見知らぬイタリアを探して」2023年10月小学館刊

須賀敦子さん、塩野七生さん、内田洋子さん、ヤマザキマリさん。

こうなら並べると、共通点を瞬時に分かるマイミクさんは多いと思います。
いずれもイタリアに関係の深い日本人の女性作家ですね。

私は、須賀敦子さんこそ、1、2冊しか読んでいませんが、他の3人の方の本は馴染み
にしていて、いずれも10冊以上読んでいます。

ジャンルは異なりますが、いずれも読ませる文章を書かれる方々ですね。

内田洋子さんが書かれるのは、イタリアに関するエッセイですが、一編一編が珠玉で、
短編小説のような深みと味わいがあり、滋味深いです。

本書は、色に関して物語られるという趣向が凝らされていますが、魂に染み込む味わい
がある文章ばかりでした。

惹句を紹介しましょう。

”素顔のイタリアを色をテーマに描いた十五話”

”色の中に語るべき物語がある”

”イタリア往還40余年著者がイタリアの光と影のあわいを多彩な筆致で描く。
教会で行われる秘密のパーティ『ゴージャスな人』、古新聞記事が導いた驚くべき
事件『本屋とコーヒー』、元貴族女性の栄華と没落『さみしいクリスマス』ほか、
イタリアエッセイの真骨頂十五話”

”ミラノの街角で、ヴェネツィアの食堂で、……。
目に入っているのに気がつかなかった扉が開いていく。”

収録されている文章の目次とテーマカラーは下記です。

・マフラー貸します 「紫」
・肌合いの違い 「ピンク」
・海にオリーブ 「緑」
・老いた船乗りと猫 「灰」
・ゴージャスな人 「黄」
・おめでとう、ロベルト 「青」
・太陽からの贈り物 「オレンジ」
・本屋とコーヒー 「茶」
・さみしいクリスマス 「金」
・暮れて、明ける 「白」
・赤い理由 「赤」
・ミラノの黒 「黒」
・暮れていく 「銀」
・海から生まれる 「透明」
・どんな光にも色がある 「虹」

それにしても、男性作家でイタリアに関係があったのは、京大でイタリア語を専攻した
小松左京さんぐらいしか思い浮かばず、その小松さんもイタリアとは関係のない文業で
したが、挙げた女性作家たちの顔ぶれをみて、なぜ、女性作家ばかりだろうか、という
素朴な疑問は拭えません。

でも、塩野七生さん、ヤマザキマリさん、内田洋子さん等の文章が日本語で読めるのは、
幸せなことかもしれないですね。
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