全日本プロレスとの興行戦争ですが、全日本プロレスは新日本プロレスの「ブラディ・ファイト・シリーズ」より１日早い８月21日、後楽園ホールで「サマー・アクション・シリーズ２」が開幕。
日本マット界夏の風物詩と言われたミル・マスカラス＆ドスカラスのマスカラス・ブラザーズ、ザ・デストロイヤー(デストロイヤーのみ前半戦特別参加)、ザ・クルーザー、オースチン・アイドル、レイ・キャンディ、ザ・マスクド・アウトローズ�機��狭罎�シリーズ全戦参加。後半戦にはＮＷＡ世界ヘビー級王者ハーリー・レイスが特別参加。
アイドルはスーパスター・ビリー・グラハム､リック・フレアーの流れを組む金髪のマッチョ系ヒール、「まだ見ぬ強豪」として注目を集め待望の初来日となりましたが、前身は"アイアン"マイク・マッコードで日本にもその名が知られていた強豪でした。
シリーズ前半戦の目玉は「ＰＷＦ杯争奪タッグ・トーナメント」でマスカラス兄弟、デストロイヤー＆クルーザー組、アイドル＆キャンディ組、マスクド・アウトローズの外国人勢に、日本側からはアジア・タッグ王者チームのグレート小鹿＆大熊元司組、石川隆士＆ロッキー羽田組、それにプリンス・トンガのパートナーとして大仁田厚が抜擢されました。
マスクド・アウトローズは来日直後の記者会見で自らマスクを脱ぎ、クルト・フォン・ヘス＆カール・フォン・スタイガー組が正体であることを明かし、チームリーダーのヘスは「俺たちはザ・ジャーマンズとしてやっていく」と表明しています。ヘスはこれで新日本プロレス、国際プロレス、全日本プロレスの昭和３団体を制覇しました。
開幕戦の８月21日、後楽園ホール(テレビ収録、観衆2,900人満員発表)大会は私は生観戦しています１回戦(公式戦は45分１本勝負)でマスカラス兄弟とジャーマンズが対戦、ドスカラスがスタイガーをダイビング・ボディアタックからの体固めでフォール勝ち。
メインイベントはアイドル＆キャンディ組が馬場＆鶴田組と対戦、１本目、アイドルがラスベガス・レッグロック(足４の字固め)で鶴田からギブアップを奪いました。２本目は鶴田がアイドルにリングアウト勝ち、決勝の３本目は鶴田が馬場とのツープラトンのアトミック・ドロップをキャンディに決めて体固めでフォールし２−１で馬場＆鶴田組が勝利を飾りました。
後楽園ホール大会は８月24日の日曜日(夜興行、観衆3,200人超満員発表)にも行われ、新日本プロレスの田園コロシアム大会と被りました。私は田コロの方に行っています。
メインイベントはマスカラス兄弟が鶴田＆トンガ組と対戦、１本目は下になったトンガにマスカラスがドスカラスをリフトアップ、そのままトンガに落としてプレスしドスカラスがトンガを体固め、２本目はトンガがドスカラスをブレーンバスターからジャンプしてのボディプレスで片エビ固め、決勝の３本目はドスカラスが場外のトンガにトペを見舞ってリングアウト勝ちし、２−１でマスカラス兄弟の勝利となりました。
「ＰＷＦ杯争奪タッグ・トーナメント」はジャーマンズ、小鹿＆大熊組を破ったマスカラス兄弟と１回戦はシードされ、２回戦でアイドル＆キャンディ組を降したデストロイヤー＆クルーザー組の争いとなり、８月29日、大阪府立体育会館(テレビ収録、観衆6,300人発表)大会で優勝決定戦が60分３本勝負で行われました。
１本目は14分２秒、ロープの反動を利して走ってくたドスカラスをマスカラスがリフトアップしてクルーザーへ落とし、ドスカラスがクルーザーを片エビ固め、２本目は６分５秒、クルーザーがドスカラスのボディプレスをかわして自爆させ、デストロイヤーのショルダータックルからクルーザーがパワーボム気味のエビ固めでドスカラスから勝利。
決勝の３本目はクルーザーがドスカラスを首固め､そこへマスカラスが入り、レフェリーのジョー樋口のカウントする数える手を押さえ､「クルーザーはノータッチで入ってきた」と抗議。クルーザーば技を解いて樋口レフェリーに「何故止めた」と抗議している隙に、ドスカラスがクルーザーの背後に回り込みロープへ押し込んでの後方回転エビ固めからブリッジ､５分15秒、ドスカラスがクルーザーを回転足折り固め。２−１でマスカラス兄弟が優勝し、ＰＷＦ杯を獲得しています。
しかし、馬場､鶴田､戸口が出ないトーナメントで、優勝したマスカラス兄弟がインターナショナル・タッグ王座に挑戦出来る等次につながるサムシングもなく、「単にマスカラス兄弟を優勝させる為だけに開催されたトーナメント」とファンの反応は芳しくなかったです。
前半戦特別参加のデストロイヤーの仲介で、戸口、石川､大仁田が西ドイツで開催されるハノーバー・トーナメント出場の為、９月１日、鹿屋市体育館(観衆3,150人発表)から戦列を離れ、大仁田はそのまま海外武者修行に入っています。
鹿屋大会からＮＷＡ世界ヘビー級王者ハーリー・レイスが特別参加、またリングアナウンサーからプロレスラーに転向した百田義浩が凱旋帰国、弟の百田光雄との日本人初の兄弟タッグが実現しています。
鹿屋大会ではレイスのＮＷＡ世界ヘビー級王座に鶴田が挑戦(今回のＮＷＡ世界戦は60分１本勝負)、15分35秒、鶴田がボディスラムにいこうとした瞬間、レイスが身体の重心を預けてバランスが崩れ両者トップロープ越しに場外転落、場外乱闘となり先にリングに戻ろうとする鶴田の足をレイスが押さえて両者リングアウトの引き分けとなっています。(この項続く)
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