今日は東京交響楽団の演奏会に行った。今日は川崎ではなく初台だ。
プログラムは次のとおりである。
・リゲティ：ハンガリアン・ロック
・ベリオ：声 (フォーク・ソング��)
・ブルックナー：交響曲第１番
指揮：ジョナサン・ノット
オルガン：大木麻理／ヴィオラ：ディミトリ・ムラト
会場：東京オペラシティコンサートホール (14：00 開演)
前半は馴染みの薄い曲、というよりベリオの｢声｣は全く初めて聴く曲だ。リゲティの方は、たしかこの曲はチェンバロ作品だと思ったが、今日はオーケストラで演奏するのだろうか？ ブルックナーの交響曲も、後半の番号は演奏会でも何度か聴いているが、第１番を生で聴くのは初めてだ。
時間になり、オーケストラのメンバーが登場する。通常のステージ上の他に、オルガンのある上部のステージにも並ぶ。不思議な配置だ。そして、指揮者のノットとヴィオラのムラトも登場するが、1曲目では指揮者もヴィオラ独奏もオーケストラも何もしない。オルガンの大木が登場し、オルガンのところだけに照明があたる。｢ハンガリアン・ロック｣はオルガン独奏で演奏するのである。そういうことなのだ。オーケストラのコンサートで、このような幕開けは珍しいだろう。
｢ハンガリアン・ロック｣をオルガンで聴くのは初めてだが、チェンバロでの演奏とはまた雰囲気が違って面白かった。左手の音列パターンに右手で旋律を重ねていく。なかなかリズムが捉えにくいような独特の流れが、なんとも不思議な感覚を生み出している。６分ほどの短い曲だが、十分に楽しめた。
続いてはベリオだ。そのまま、待機していたオーケストラや指揮者の出番に移る。この曲は｢ヴィオラと２つの楽器グループのための｣作品である、ステージ上部にもオーケストラがいるのはそのためだったのだ。初めて聴く曲で、いわゆる｢20世紀のゲンダイオンガク｣なら退屈しそうだなと覚悟していたら、意外とそんなことはなかった。ふわふわしたようなオーケストラをバックに、冒頭からヴィオラ独奏が弾き始める。これがなんとも不思議な感覚というか、おそらく違うのだろうけど、どことなく東洋的な雰囲気さえ個人的には感じてしまった。題材となっているのは、解説によるとシチリア民謡らしいが、そこはよく分からない。どうも捉えどころがなさそうでありながら、知らずに引き込まれていたような、そんな曲であった。
休憩のあとはブルックナーだ。｢ノヴァーク版リンツ稿｣だそうが、版の違いについては、正直詳しくない。リンツ稿が第一稿、ウィーン稿が第二稿というころらしい。生で聴くのは前述のとおり初めてである。第１番の第１稿ということで、まだ熟していないところはあるらしいのだが、やはり紛れもなくブルックナーである。冒頭の行進曲風の主題も耳に残るが、個人的に好きなのは第３楽章だ。このスケルツォ楽章は、いかにもブルックナーという雰囲気満点である。演奏後も拍手が長く鳴り止まなかったのも納得の素晴らしい演奏だったと思う。
本日も充実した素敵な演奏会であった。
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