今日の午後は川崎に行った。東京交響楽団の演奏会である。
プログラムは次のとおりである。
・ストラヴィンスキー:「プルチネッラ」組曲
・ストラヴィンスキー:詩篇交響曲
・ストラヴィンスキー:ペトルーシュカ (1947年版)
指揮:沖澤のどか/ピアノ:長尾洋史
合唱:NHK東京児童合唱団/二期会合唱団
会場:ミューザ川崎 (14:00 開演)
オール・ストラヴィンスキー・プログラムである。ストラヴィンスキーといえば三大バレエ音楽がすぐに浮かぶが、それ以外の作品は意外と聴く機会が少ないかもしれない。前半はそんな作品で、生で聴くのは初めてである。後半は三大バレエ音楽の一つの「ペトルーシュカだ。
まずは「プルチネッラ」から始まる。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスのソロ奏者が前の方に並んでいる。独奏群と合奏群に分かれた配置である。管楽器も控え目で打楽器はない。まるでバロックの合奏協奏曲のような感じだが、実際演奏が始まると、まるでバロック音楽を聴いているようだった。この曲は18世紀のナポリの作曲家ペルゴレージの作品をベースに作られたものとのこと。「三大バレエ音楽」とはだいぶ雰囲気が違って面白い。ストーリーはモテ男をめぐるコメディであり、音楽もユーモラスな箇所もあって楽しい。ストラヴィンスキーのバレエ音楽は、「三大バレエ音楽」だけではないのだ。
続いては「詩篇交響曲」だ。男声合唱と児童(女子)合唱が加わる。ふとステージ上を見ると、ヴァイオリンとヴィオラが全くいない。ピアノは2台あり、ハープとともに前の方に並んでいる。こんな編成になっていると知らなかった。これは交響曲ではあるが、合唱が主役のようにも思える。「交響曲に合唱を取り入れた」のではなく、「詩篇を交響曲にした」という作品であるという。厳粛な雰囲気で曲は進行し、バレエ音楽とは違った雰囲気が、またよかった。
休憩のあとは「ペトルーシュカ」である。1947年版というのは、4管編成と3管編成に変更して、ピアノが活躍する場を増やしたものである。ストーリーは、人形が意志を持つことで、最後は悲劇的な結末を迎えるという、いろいろな話があるうちの一つである。ストーリーを思い描きながら聴ける曲であり、これまでも何度か演奏会でも聴いているが、何回聴いても飽きない作品だ。人形遣いが奏でるとするフルートのソロは、聴き入ってしまった。そして最初の盛り上がりの「ロシアの踊り」に続くが、聴いていても楽しい。場面の切換えはティンパニの連打がつないで切れ目なく演奏され、これも実に分かりやすい。最後は人形であったペトルーシュカの幽霊が現れ、なんとも不思議な感じで静かに終わる。
指揮者の沖澤のどかは、おそらく初めて聴くが、無駄な動きはなく、演奏も全体をきれいにまとめているという感じで、上品なストラヴィンスキー(?)を楽しめた演奏だった。
10月になり、だいぶ秋めいてきたが、三連休の初日は素敵な演奏会であった。
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