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2023年07月02日16:21

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【復刻記事】フランク"君恋し"を語る〜フランク永井・上山敬三対談

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【第12回フランク永井歌コンクール告知】
2024(R6)年3月16日(土)17日(日) 大崎市松山体育館
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VOICE OF VICTOR 1961(S36)年10月 第5号より
フランク"君恋し"を語る
フランク永井・上山敬三対談

◆題名も知らず、楽譜をもらってびっくり

上山 フランクさん「君恋し」が好評でおめでとうございます。レコードがすごく延びていますよ。
フランク ありがとうございます。
上山 大体、リバイバル・ソングと言えば新人歌手の独占のような情勢にあったんですけど、あなたのようなベテランが取っ組んだということは珍しいことです。あなたの歌に対する情熱というかド根性というか。そういったものに頭が下がります。ジャーナリストの間でも評判ですよ。
フランク いや。どうも…。あの歌は昔から歌いたいと思っていました。「君恋し」という具体的に迫ってくる言葉が各所にあって、しかも、山場で強調しているんですから、現代の人に必ず訴えることができると思っていたんです。実は最初、会社から「君恋し」を吹き込もうといわれたときは、ピンとこなかったんですね。歌詞と楽譜をもらって驚いたんですよ。それまで僕は「宵闇せまれば」という題名だとばかり信じ込んでたものですから(笑)。
上山 これは面白い。いづれにしても、会社の企画とあなたの希望がピッタリ一致したわけなんですね。それにしても立派な「君恋し」ですよ。フランク投手が投げる球のようにキメどころはちゃんと決めて、堂々と真っ向から取っ組んでいる。それでいて軽くなくて、あなたは独特のムードで新感覚の味をたっぷり出して、きく人の心の胸に迫ってくる…。
フランク 野球のおかげかもしれませんね(笑)。第三詞を全部歌わないで、あちら風にリフレインから入って「君恋し…」と強調したのも良かったのじゃないでしょうか。若い人にそれが受けていると思うんですよ。最近では、ステージに立つといきなり「君恋し」と声がかかりますよ。
上山 若い人から?
フランク ええ。うれしいですね。でも初めからはそれを歌いません。「東京カチート」とか「東京ナイト・クラブ」とか、一応今までのレパートリーを歌い終わってから、マイクを持って客席に降りていくんです。そして、リクエストをきくんですよ。「皆さん、次は何を歌いましょうか。例えば、宵闇せまれば、悩みは果てなし…」とささやきますと、ワァーっと手があがって「君恋しッ!」と、雰囲気が盛り上がりますね。

◆若い人にもうける、今後もリバイバルものを

上山 オリジナル作品にはないが、独特の空気でしょうね。ところでね、フランクさん。作者の時雨音羽先生にきいた話なんですけど、こんな詞を書くについて面白いエピソードがあるんですよ。ご存知?
フランク 弱いな、僕まだ生まれてないや(笑)。
上山 耳かくしという髪にしろいエプロンの女給とカフェーが当時の新しい人にもてたころです。時雨先生が神田のバウリスというカフェーに行ったら、若い新入りの女給がしきりと体をゆさぶって、ズレた帯をもちあげていた。というんです。それに女給生活の哀愁を感じたというのです。数日後ふと見た新婚の姉さんのエンジの紅帯が印象深く「エンジの紅帯、ゆるむもさみしや」という言葉が浮かんで、いっきに詞がかけたそうです。
フランク そうですか。時雨先生の実感なんですね。作詞の動機というものは面白いものですね。それで、レコードはいつごろ出たんですか?
上山 昭和三年の春です。二村貞一さん(故人)が吹き込んだ、日本ビクター初期の大ヒットですよ。
フランク 僕は全然昔のことは気にしないで、自由な僕なりの気持ちで吹き込みました。ただ現代の感覚にマッチするよう、それだけうんと努力しました。ステージや放送でもそのようにしています。
上山 それでいいんじゃないですか。あくまでフランク永井の「君恋し」でいいわけですよ。私も少年時代に二村さんのレコードをきいた記憶があるけど、あなたのはずっと上ですよ。そして1961年の現代にちゃんと生きています。
フランク テレちゃうな。これからも時々リバイバルものをやりたいと思います。
上山 ぜひどうぞ。お忙しいところありがとうございました。うんとガンばって下さい。

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