mixiユーザー(id:4778237)

2024年04月27日13:36

110 view

「魅惑の低音デラックス」新発売。購入して損はないセリフ入り

 フランク永井が残したアルバムシリーズに「魅惑の低音」があります。
1958(S33)に出した初めてのアルバムです。この時点ではビクター側は、フランク永井のアルバムをどう展開していくのかが定まっていなかったと思われます。
 とりあえずフランク永井のヒット曲を10曲収めた10インチ盤(後、アルバムは12インチに統一される)です。「有楽町で逢いましょう」から「たそがれ酒場」まで収めて売り出しました。きっと、ファンは待望のアルバムで競って購入したのではないかと想像します。
 同時に出したアルバムがあります。「悲しみよこんにちは」です。これはこの時点までのヒット曲と「魅惑の低音」に収めきれなかった曲、および1〜2か月ほど以内に出す曲を8曲収めたものです。
 そして、三番目のアルバムは同年8月に「ラブ・レター」が発売されます。「ラブ・レター」から「ふるさとの風」が収められています。この盤の画期的な事はフランク永井ご自身が曲を先に紹介して歌唱にはいるというものです。これは「セリフ入り」ということで、近年のビクターからのCD-BOX「プレミアム・セレクション」まででほぼデジタル復刻されています。
 この度紹介したい「魅惑の低音デラックス」は「魅惑の低音」を制作する時点で、同時にセリフ入りとして録音したものではないかと察します。「有楽町で逢いましょう」から「たそがれ酒場」まで、同じ順番でセリフ入り版があったわけです。「ラブ・レター」と同じような形で「魅惑の低音」として発売しようと企画されたと考えます。
 だが「魅惑の低音」というフランク永井のキャッチを単独で「ラブ・レター」と同様(セリフ入り)で出すことに、他の部署から異議が出されたのでしょう。「魅惑の低音」という言葉の重さを別の観点から感じていたものがいたのだと思われます。ビクターがフランク永井を売り出すにあたって、キャッチコピーとして採用したのが「魅惑の低音」です。このキャッチは現在に至っても有効です。
 とりあえず、かどうかは分かりませんが、「有楽町で逢いましょう」から「たそがれ酒場」と同じ選曲で「魅惑の低音」を発売します。ファンからの声もあり、ほぼ一年後に「魅惑の低音」第2集を出します。フランク永井の曲を「魅惑の低音」シリーズとして定着させていくと、ビクターが決意したと思えます。こうして「魅惑の低音」シリーズは定着し、1964(S39)年の14集まで発売されます。
 セリフ入りの「魅惑の低音デラックス」は、この度初めて耳にしました。だから、この度、初めて世に出したのではないかと想像します。

 ちなみに、第2集はその時点までのヒット曲を収めたのですが、第3集からはシングルで発売していない曲を必ず含めると言った形に進展します。14集までには32曲のオリジナル曲が収められました。
 「魅惑の低音」シリーズが途絶えたのは、流行歌が急激にステレオ化されたためです。世がステレオを求め、それにふさわしいアルバムが望まれました。そして、盤のサイズが前述したように12インチと大きくなりました。
 さて「魅惑の低音」は10曲ですが、この度リリースされた「魅惑の低音デラックス」は22曲です。セリフ入りの10曲のあとに、22曲入っています。これはボーナス・トラックかともいわれますが、それにしては多いですね。では、この曲は何だったのだろうという疑問が沸きます。
 今年の発売に合わせて新たに選曲したともいえます。だが、私の勝手な予想では、アルバムのシリーズについてはまだ方針が定まっていなかった当時に、用意していたセットなのではないだろうかということです。
 「夢がやたらに見たいのさ」から「追憶の女」まで。まさにフランク永井のデビュー初期の作品なので「悲しみよこんにちは」と並んで出す予定だった幻のアルバムのような気がします。「悲しみよこんにちは」もそうですが、タイトルの印象が今一つ的なものがあって、ずるずるとお蔵入りしていたのかもしれません。
 それがこの度「魅惑の低音デラックス」を出す際に、そのお蔵入りを一緒にしてだしたというのが、私の推察(想像)です。
4 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2024年04月>
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930