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2022年07月12日05:12

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ストロング小林さん追悼(186)

75年全日本プロレス「オープン選手権」後半戦の模様を振り返ります。第7戦、12月13日、福井市体育館(テレビ生中継、観衆5,500人超満員発表)大会。この日の日本テレビ「全日本プロレス中継」は「三元中継」となり、まず12月9日、福岡でのドリー・ファンク・ジュニアとバロン・フォン・ラシクの公式戦、11日、日本武道館での大木金太郎とアブドーラ・ザ・ブッチャーの試合を録画放送した後、福井からの生中継となりました。

生中継の最初はセミファイナルの鶴田とラッシャー木村の注目の初対決、R木村が大相撲仕込みの張り手で鶴田を追い込みましたが鶴田も張り手で応戦、エキサイトして場外乱闘となり、9分19秒、両者リングアウトの無得点試合。

メインイベントは馬場とブッチャーの公式戦、場外乱闘で馬場が一足早くリングに駆け上がり、6分5秒、リングアウト勝ち。放送時間内に試合が終了しています。他はザ・デストロイヤーとドン・レオ・ジョナサンが22分43秒、両者リングアウトの無得点、マイティ井上とパット・オコーナーの一戦は15分2秒に逆さ押さえ込みでオコーナーの勝利。

第7戦、12月14日、山形県米沢市営体育館(観衆5,900人超満員)大会、ドリーとR木村の公式戦、両者はR木村がシャチ横内のルートでカンザス地区に遠征していた際、NWA世界ヘビー級王者時代のドリーに挑戦した経緯がありました。大型ラフファイターとばかり対戦しているR木村ですがドリーのようなノラリクラリとしたテクニシャンタイプは苦手だったか、17分53秒、グラウンド・コブラツイストからのエビ固めでドリーの勝利。

ヒロ・マツダとオコーナー、井上とケン・マンテルは時間切れ引き分けとなりましたがグレート草津はディック・マードックに11分5秒、回転エビ固めでフォール負けを喫しました。

第9戦、12月15日、仙台・宮城県スポーツセンター(テレビ収録、観衆6,000人超満員発表)大会ではファン投票「夢の対決」第1位に輝いた馬場と鶴田の師弟対決。試合開始早々、打点の高いドロップキックを顔面に決められた馬場でしたが、徐々にペースを取り戻し16分49秒、河津落としからの体固めで馬場がフォール勝ち。師匠の底力を見せました。

ドリーとホフマンの日欧対決は20分52秒、ドリーがヨーロピアン・クラッチ(欧州式エビ固め)で丸め込んでのフォール勝ち。この一戦はファンの間でも歴史に残る名勝負として高い評価を得ています。ブッチャーとジョナサンの公式戦は、ブッチャーの140kgの巨体を軽々と投げ捨てたジョナサンでしたが、サンセット・フリップ(サマーソルト・ドロップ)を自爆、そこへブッチャーの毒針ジャンピング・エルボードロップが決まり3分9秒、体固めでブッチャーの勝利。ジョナサンは勝敗に淡白な弱点がこの試合でも出ました。

デストロイヤーとマツダ、マードックとオコーナーはいずれも30分時間切れ引き分け、草津とマンテルは11分37秒、両者リングアウトの無得点試合。

なお、この大会は国際プロレスへの売り興行、全日本プロレスは馬場vs鶴田戦の組まれた満員確実の大会を国際プロレスに売りました。大会に協力してくれた吉原功社長への謝意かと思います。なお、この日は力道山の13回忌命日当日であり、力道山が眠る東京の池上本門寺で法要があり百田義浩が仙台入り出来ず、リングアナウンサーは国際の竹下民夫が務めています。

第10戦、12月16日、新潟県長岡市厚生会館(現アオーレ長岡、観衆4,000人超満員発表)大会、注目の初対決、R木村とブッチャーの公式戦は5分20秒、両者リングアウトの無得点試合。

デストロイヤーと井上、マードックとホフマンは30分時間切れ引き分け、ジョナサンは草津を7分43秒、体固めで破り、前NWA世界ジュニア・ヘビー級王者のマンテルは元同世界ヘビー級王者のオコーナーを11分47秒、首固めで破る金星を挙げて嬉しい初勝利となりました。

第11戦、12月17日、千葉公園体育館(テレビ収録、観衆4,000人超満員発表)大会、メインイベントは全日本プロレスvs国際プロレスの頂上対決、馬場とR木村の大一番が実現、しかし、試合途中で前夜16日、長岡でR木村と両リンとなったブッチャーが乱入してR木村を襲撃、R木村は額から大流血のダメージを負いました。

が、試合は続行され、血が目に入って視界不良となったR木村が馬場の河津落としの前に6分53秒に体固めでフォール負け。激しく抗議したセコンドの吉原社長でしたが、判定は覆らず馬場の勝利。後味の悪い結末でした。馬場はこれで公式戦3連勝で9点。最終戦のホフマンとの試合に優勝を賭けます。

セミファイナルは鶴田とブッチャーの公式戦、鶴田のピンチに師匠ドリーが入って助太刀した結果、8分31秒、ブッチャーの反則勝ち。セミ前のドリーvsジョナサンはドリーのキーロックをジョナサンが持ち上げ、そのまま場外に転落し17分12秒、両者リングアウトとなり、ドリーは手痛い無得点試合で9点。ここで2点取っておけば、最終戦の相手が鶴田なので無得点の可能性は低いところから痛恨の両リンでした。

デストロイヤーとホフマンは13分50秒、エビ固めでホフマンがフォール勝ち、マツダと井上の12月11日、日本武道館でのNWA世界ジュニア・ヘビー級選手権試合の再戦は30分時間切れ引き分け。

最終戦を前に優勝の可能性があるのが7戦4勝1敗1時間切れ引き分け1両リンで9点の馬場、ドリー。7戦4勝1敗2両リンで8点のブッチャー、7戦2勝無敗4時間切れ引き分け、1両リンで8点のマードックの4人。

最終戦12月18日、神奈川川崎市体育館(テレビ収録、観衆4,800人超満員発表)大会。先ず、優勝の可能性が残された8点のマードックはR木村と7分45秒、両者リングアウトの無得点試合となり8点で脱落。

マツダとマンテルのNWA世界ジュニア・ヘビー級、現・前王者代決は7分32秒、マツダがアバラ折り(コブラツイスト)で勝利。

ドリーと鶴田の日米師弟対決は鶴田が粘りを見せ30分時間切れ引き分け。ドリーは1点加点の10点で公式戦全日程を終え次の馬場vsホフマンの結果待ち、リングサイド最前列に座り試合を見つめました。

セミファイナルの馬場とホフマンの初対戦は10分5秒、馬場が河津落としからのネックブリーカー・ドロップ(ランニングではない通常版)からの片エビ固めで呆気なく勝利し11点を獲得、この後に行われるブッチャーvsデストロイヤーの最終公式戦の結果如何を問わず最多得点となり優勝が決定しました。

最終公式戦のブッチャーとデストロイヤーの因縁の一戦は8分50秒にブッチャーがリングアウト勝ちを収め10点でドリーと同点2位。最後にこの試合を持ってきたのはおそらく表彰式の準備の為でしょう。

優勝した馬場は新日本プロレスの「第2回ワールド・リーグ戦」優勝者(猪木)に贈られる予定だった栄光の日本プロレス、ワールド・リーグ戦優勝杯を手にしました。

三賞は殊勲賞が優勝した馬場に勝ったドリー、敢闘賞は鶴田とR木村、技能賞はマードックが受賞しています。

さて、猪木は12月11日、蔵前国技館でのビル・ロビンソン戦が終わるとニューヨークへ出発、12月15日にはMSG定期戦に初出場、フランク・モンティを8分43秒、バックドロップからの体固めでフォール勝ち。マジソン初戦を勝利で飾りました。

猪木の対戦相手は当初、米IWAからWWWF入りしたアーニー・ラッドと発表されていましたが、ラッドが負傷の為棄権したとされています。ラッドであれば、前74年にオハイオ州クリーブランドと札幌でNWF世界ヘビー級王座を巡って死闘を展開した相手であり好試合が期待されましたが、ラッドはトップヒールでありゲスト出場の猪木に負けさせる訳にはいかなかったのでしょう。

この日のメインイベントは3度目の完全決着戦、ブルーノ・サンマルチノに新日本プロレス参戦から帰国したばかりのイワン・コロフが挑戦したケージ(金網)マッチによるWWWFヘビー級選手権試合。

復讐に燃えるサンマルチノがコロフを流血に追い込み、11分35秒、場外エスケープにより勝利を飾りました。

12月19日、猪木&坂口征二組がロサンゼルス・オリンピック・オーデトリアムに出場、翌76年1月に開幕する「新春黄金シリーズ」に来日が決まっているジ・インフェルノス2&3号の挑戦を受けて北米タッグ王座防衛戦を行いました。

1本目は18分34秒、坂口が2号をコブラツイストに捕らえたところをインフェルノスのマネージャー、JCダイクスが乱入し坂口の顔面に火炎攻撃を加え、坂口の反則勝ち。2本目は3分22秒、猪木が2号をバックドロップからの体固めで破り、猪木&坂口組が2−0のストレート勝ちで2度目の防衛に成功しています。

西ドイツで武者修行中だった木戸修と藤波辰巳がロサンゼルスで猪木、坂口と合流。木戸は未来日のロック・ライデル、藤波はミッキー・ドイル(73年11月に全日本プロレスに来日)と対戦しそれぞれ勝利を飾りました。

75年の東京スポーツ新聞社制定「プロレス大賞」は年間最高試合賞(ベストバウト)は猪木vsロビンソンのNWF世界ヘビー級選手権試合(12月11日、蔵前国技館)、最優秀選手賞(MVP)が馬場、最高殊勲選手賞(準MVP)が鶴田、最優秀タッグチーム賞が猪木&坂口組、殊勲賞がR木村、敢闘賞が大木金太郎、技能賞がマイティ井上、大衆賞がデストロイヤー、各団体より1名が選出される努力賞は藤原喜明(新日本)、高千穂明久(全日本)、スネーク奄美(国際)が選ばれています。

前年、年間最高試合賞と敢闘賞の2つを受賞したストロング小林は受賞なし。「覇気がなくなった」「丸くなってしまった」ということが言われ始めました。

新日本プロレスは76年第1弾となる「新春黄金シリーズ」の日程を発表しましたが、2月6日の最終戦は日本武道館大会の初開催を発表。12月11日に全日本プロレス、国際プロレス、日本プロレスによる「力道山13回忌追善特別試合」が行われたばかりですが、単独での開催。果たしてどのような対戦カードを持ってくるか、猪木は誰と対戦するのか?俄然注目を帯びて来ました。


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