ストロング小林さん追悼(180)

75年新日本プロレス「闘魂シリーズ第２弾」終盤戦、九州から本州に戻り、11月30日、島根県木次(きすき、木次町、現在の雲南市)体育館(観衆2,100人発表)大会。

ストロング小林はセミ前でベアキャット・ライトとシングルマッチ30分１本勝負で対戦、７分３秒、両者リングアウトの引き分け。猪木、坂口征二がフォール勝ちし、「箸をつけた」のだからＳ小林にも勝たせてあげてくれ！と真剣に願うようなマッチメイクです。

猪木はセミファイナルでグレッグ・バレンタインと45分１本勝負で対戦、９分44秒、弓矢固め(ボーアンドアロー・バックブリーカー)でギブアップ勝ち。進境著しいバレンタインですが、まだまだ父ジョニーのライバルだった猪木の堅塁は抜けず…。

12月１日、広島県福山市体育館(観衆2,700人発表)大会、Ｓ小林はイワン・コロフとセミファイナル45分１本勝負で対戦し、11分２秒、リングアウト負け。コロフ来日初戦の11月23日、指宿大会では両者リングアウトで引き分けていますが、この時は黒星をつけられました。

この日のメインイベントは猪木＆星野勘太郎組とＢライト＆バレンタイン組が対戦、１本目は19分20秒、猪木がＢライトに反則勝ち、２本目は３分27秒、猪木がＢライトの長身を折り畳んでの弓矢固めでギブアップ勝ち。猪木＆星野組が２−０のストレート勝ちを収めました。

12月２日、鳥取県米子市体育館(観衆2,600人発表)大会ではＳ小林はセミ前でバレンタインとシングルマッチで対戦、14分31秒、両者リングアウトの引き分けに終わり、猪木はセミファイナルでリッキー・ハンターを８分19秒に弓矢固めでギブアップさせています。

12月３日、岡山武道館(観衆2,200人発表)大会ではＳ小林はメインイベントで猪木とのニュー・ゴールデンコンビを結成、コロフ＆ハンター組と対戦、１本目は17分５秒、猪木が逆さ押さえ込みで２本目は４分32秒、Ｓ小林が体固めでそれぞれハンターから連取し猪木＆Ｓ小林組のニュー・ゴールデンコンビが２−０のストレート勝ち。

セミファイナルは坂口がバレンタインとシングルマッチ45分１本勝負で11分22秒、坂口がバレンタインにリングアウト負け。坂口も父ジョニー・バレンタインとは日本プロレス末期、新日本プロレス移籍直前にインターナショナル・タッグ、ＵＮ王座を巡って死闘を展開したライバルで、苦手意識が出たか？

北米タッグ選手権試合直前に坂口が相手チームにシングルで負けるというのは前「闘魂シリーズ」でのジェリー・ブラウン＆バディ・ロバーツのハリウッド・ブロンドスに負けたのと同じパターンでした。

12月４日、大阪府立体育会館(テレビ収録、観衆6,000人満員発表)大会。この日より「人間風車」ビル・ロビンソンが特別参加。新日本プロレス登場第１戦の相手は国際プロレス時代に何度も対戦し、手の内を知り尽くしているＳ小林。試合はセミファイナルの45分１本勝負。

Ｓ小林もＩＷＡ世界ヘビー級王者時代にはロビンソンと互角の闘いを展開しているだけにパワーファイトで肉薄するかと思われましたが、ロビンソンはＳ小林の動きを完封。

Ｓ小林の腕と足を同時にロックして動きを封じ込めたロビンソンはＳ小林の得意技である逆エビ固めを仕掛けて圧倒し、ワンハンド・バックブリーカーから最後は人間風車ダブルアーム・スープレックス、13分24秒、体固めでロビンソンの完勝でした。

47年経った今では「ロビンソンの手の内を知り尽くしたＳ小林が良さを全て引き出し、名ジョバーぶりを見せつけた。ロビンソンはＳ小林が相手だったから、いいところを見せつけられた。」とＳ小林の仕事ぶりが評価されるところですが、当時は「猪木を相手に善戦したＳ小林が簡単にやられてしまうとは…。本番の猪木戦はどうなるんだろう？」という不安しかなかったです。

メインイベントは猪木＆坂口組の北米タッグ王座にコロフ＆バレンタイン組が挑戦、この試合、パワーファイターではない猪木が、当時140Kg近くあったコロフをアルゼンチン・バックブリーカーで担ぎ上げて見せ、左膝に爆弾を抱えている不安を一蹴してみせましたが、流石にコロフをギブアップさせることは出来ず。

１本目は16分８秒、試合の権利のある猪木とバレンタインが両者リングアウト、２本目は８分１秒、坂口がバレンタインをアトミック・ドロップからジャンピング・ニーアタックを決めての体固め。２−１で猪木＆坂口組が初防衛に成功しています。

その他の試合はベアキャット・ライトは山本小鉄を５分９秒、体固めで破り、星野はハンターを11分23秒、体固めでフォール勝ち、イワン・カラマゾフは７分４秒、小沢正志(キラー・カーン)を体固めで降しています。