■中野京子「そして、すべては迷宮へ」2021年3月文春文庫
本日の日記のタイトルは、本書の帯の文言をそのまま書き写したが、とても
素敵なフレーズですね。
さて、東京に発出されている緊急事態宣言も、5/12には解除されず、5末まで
延長されることが決まった。
風薫る、一年で最もいい季節が、昨年に引き続いて重苦しいものになったが、
人間界を離れて、自然に目を移すと、自然は粛々と季節の営みを続けていて、
新緑は、神々しいばかりなのに、改めて気づいたりする。
今回の緊急事態宣言も、大型商業施設の休業や、酒類の提供店は休業だという
ことはまぁわかるが、劇場や球場は、人数制限でOKだが、映画館や美術館が
NGだということの基準がよくわからない。
映画館は、宣言に入る前の4月に、一年半ぶりに入ったが、美術館には、もう
二年近く行っていない。
そんなストレスもあって、せめて紙上での美術鑑賞ができないかと、本書を
手に取った。
さてさて、本書の惹句を紹介。
“『怖い絵』や『名画の謎』シリーズで絵画鑑賞に新たな視点を提示して
きた著者は、芸術を、人を、どのように洞察するのか?”
“名画との衝撃的な邂逅や、一見穏やかに見える日常から掬い取る
おかしみと歓び−−。”
“「絵を買う人々」「夫たちの怖い秘密」「幸運の前髪」「異類婚の哀しみ」
等を収録した初のエッセー集が文庫オリジナルで登場!”
“日常は、虹とトラウマと歓びに満ちている!”
目次と小見出しを全部紹介。
■第一章 絵を見る 絵を読む
「トレチャコフ美術館でのレーピンとの邂逅」
「絵を買う人々」
「ミレーの少女たち」
「謎解きせずにいられない」
「夫たちの怖い秘密」 ほか
■第二章 人を知る 人を見る
「幸運の前髪」
「消えた時間」
「異類婚の哀しみ」
「翻訳不能」
「アートの商売人」 ほか
■第三章 本を読む 本を書く
「かけがえのない『この人生』」
「恐怖の裏の切ない片恋」
「『後半』にもチャンスはあるのだから」
「阿修羅と美」
「わたしの始まりの一冊」 ほか
中野京子さんの著書は、何冊か読んだが、泰西絵画の解説を書かせたら、
右に出るものがいないほど、読ませる文章を書かれる。
絵画エッセイで、一世風靡をされたが、本職はドイツ文学者なので、履歴を
知って納得した次第。
コロナ禍の中の暗雲に射す陽光のように、晴れ晴れと、本日も読書を堪能できた
ことに感謝、感激です(^^♪
・・・でも、早く、ふらっと美術館に行って、絵を心ゆくまで、鑑賞したい。
ログインしてコメントを確認・投稿する