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2019年09月02日21:07

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読書日記Nо.1206(ゴリラの森、言葉の海)

■山極寿一・小川洋子「ゴリラの森、言葉の海」2019年4月新潮社刊

私は、小川洋子さんの読者なので、この読書日記でも、10冊くらい彼女の
作品を取り上げてきた。

本書は、京大の霊長類学者であり総長でもある山極寿一さんとの対談集で、
霊長類を研究することは、私の読書日記のテーマでもある、人間とは何かを
追究することであると、勝手に類推して、それが物語とどのような関係が
あるのかなと、興味森々で手に取った。

私の故郷は、名古屋郊外の街で、犬山市の隣町。犬山市には、日本モンキー
センターという、京大霊長類研究所の施設がある。

小学生のときから遠足等で、何度も訪問して、そんなこんなで、本書は私に
とって、ご縁があったと、妙に納得したりしている。

読後感は、いやぁ、どストライクの本でした!

早速、惹句を紹介。

“密林の奥に分け入ってゴリラの世界を研究する、霊長人類学者・山極寿一と、
言葉の森に分け入って物語を紡ぎ出す小川洋子という、全くフィールドの違う
二人が対談する本書は、知的好奇心がムクムクと起こる素敵な一冊。”

“2014年紀伊國屋ホールで開催された二人のトークショー、同年および翌年
に行われた京大の山極研究室での二回にわたる対談、そして2016年、屋久島
の深い森の中で行われたフィールドワークがまとめられた。 ”

“野生の思考と小説家の言葉が響き合い、ゴリラとヒトが紡ぐ物語が、鮮やかに
浮かび上がる。いざ、物語のジャングルへ……野生の眼を持つ霊長類学者と
ヒトの心の森に分け入る小説家。”

“ある時は京都大学の研究室で、またある時は屋久島の自然の中で、現代に生きる
ヒトの本性をめぐって、いきいきとした対話が続けられた。野生のゴリラを知る
ことは、ヒトが何者か自らを知ること――。発見に満ちた知のフィールドワーク
が始まる。 ”

ねっ、なんだか、ゾクゾクしませんか!!

お二人の言葉も引用。

小川洋子
“ずっと私は山極さんの声に耳を澄ましていた。言葉の響きに残る、
言葉のない世界の気配を感じ取ろうとしていた。そこにはゴリラのドラミングや
インパラの足音が、人間を圧倒する意味深さでこだましていた。霊長類学者と
作家が同じ地点を見つめて対話ができたのは、全く山極さんのおかげである。”

山極寿一
“ゴリラやサルと付き合いながら自然の森を歩いていると、生きることに意味
などないような気になる。それぞれの生物に与えられた時間があり、それを
あるがままに生きるのが生命の営みというものだ。”

なんという深い言葉たちだろう。

とても素敵な本に、また出合ってしまった(^^♪

それにしても、表紙の写真もそうですが、ゴリラってなんでこんなに
威厳があるのでしょうか。哲学者のようでもあり。

そういえば、名古屋の東山動物園には、イケメンゴリラがいたなと
そんなことも思い出したりしている。

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