01 モーセが非常に高い山に連れて行かれた時に、神がモーセに語られた御言葉。
02 この時、彼は顔と顔を合わせて神にまみえ、神と語り、神の栄光がモーセの上にあった。それ故、モーセは神の臨在に堪える事ができた。
03 神はモーセに言われた。「見よ、私は全能の主なる神であり、無窮とは私の名である。私は、日の初めもなく年の終わりもないからである。これは無窮ではないか。
04 また見よ、貴方は私の子である。それ故、見なさい。そうすれば、私は貴方に、私の手で造られたものを見せよう。しかし、全てではない。私の業は終わりがないからである。私の言葉もそうである。それらは決して絶える事がないからである。
05 それ故、誰も私の全ての栄光を見る事なしに、私の全ての業を見尽くす事はできない。また、誰も私の全ての栄光を見ながら、その後、肉体をもって地上に留まる事はできない。
06 私の子モーセよ、私は貴方に一つの業を用意している。貴方は私の独り子に型どられている。私の独り子は、現在も将来も救い主である。彼は恵みと真理に満ちているからである。しかし、私の他に神はおらず、全てのものは私と共にある。私はそれら全てを知っているからである。
07 さて見よ、私の子モーセよ、この一つの事を、私は貴方に示す。貴方が世にいるからである。今私は貴方にそれを示す。」
08 そこでモーセは眺めて、自分が創造されて住んでいる世界を見た。モーセは世界とその果てと、現在いる人の子らと、過去に創造された人の子らの全てを見た。そして、これらの事に彼は酷く驚くと共に、不思議に思った。
09 それから、神がモーセの元から去って行かれたので、神の栄光はモーセの上になく、モーセは一人残された。彼は一人残されると、地に倒れた。
10 さて、多くの時間が過ぎて、モーセは人としての本来の力を再び取り戻し、独り言を言った。「今これで、私は、人は取るに足りないものである事が分かった。この事は、思ってもみない事だった。
11 だが今、私は自分の目で神を見た。しかし、私の肉体の目ではなく、霊の目で見た。肉体の目では見られなかったであろう。神の御前では枯れて死んでしまっていた筈だ。しかし、神の栄光が私の上にあり、私は神の御前で変貌したので、神の御顔を見た。」
12 さて、モーセがこれらの言葉を語った時、見よ、サタンが来て、彼を誘惑して言った。「人の子モーセよ、私を拝みなさい。」
13 そこで、モーセはサタンを見て言った。「おまえは誰だ。見よ、私は、神の独り子に型どられている神の子だ。おまえの栄光がどこにあるので、私がおまえを拝まなければならないのか。
14 見よ、私は、神の栄光が私の上に及んで、神の御前で変貌しなかったならば、神を見る事はできなかった。ところが、今私は肉体のままで、おまえを見る事ができる。実にその通りではないか。
15 私の神の御名が褒め称えられるように。神の御霊はまだ私から完全には退き去っていない。そうでなければ、おまえの栄光はどこにあるのか。それは私にとって闇だからだ。私はおまえと神とを区別する事ができる。神は私に、『神を礼拝しなさい。貴方は神にのみ仕えるべきである』と言われたからである。
16 サタンよ、退け。私を欺くな。神は私に、『貴方は私の独り子に型どられている』と言われたからである。
17 神はまた、燃える芝の中から私を呼ばれた時、私に戒めを与えて、『私の独り子の名によって神に呼び求め、私を礼拝しなさい』とも言われた。」
18 更にモーセは言った。「私は神に呼び求める事をやめない。私には神に伺う事が他にある。神の栄光が私の上にあったので、私は神とおまえとを区別する事ができる。サタンよ、立ち去れ。」
19 さて、モーセがこれらの言葉を語り終えると、サタンは大声で叫び、地上でわめきたてて、「私が独り子だ。私を拝め」と命じて言った。
20 そこで、モーセは酷く恐れ始めた。そして、恐れ始めると、地獄の惨苦を目にした。それでも、彼は神に呼び求めたので、力を与えられた。そこで、彼は命じて言った。「サタンよ、私から離れ去れ。私は栄光の神であられるこの唯一の神のみを礼拝するからである。」
21 すると、サタンは慄き始め、地が揺れ動いた。モーセは力を与えられ、神に呼び求めて言った。「独り子の御名によって言う。サタンよ、立ち去れ。」
22 するとサタンは、涙を流し、泣きわめき、歯ぎしりをしながら、大声で叫んだ。そしてそこから、即ちモーセの前から立ち去って、姿が見えなくなった。
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