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2019年03月05日20:50

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細江図書館文化財講座「浜松市の古墳時代～光明山古墳を中心に」

昨2018年11/6に浜松市天竜区にある光明山古墳に行った事は、12/1に書いた11月の活動の棚卸し日記中で触れた。
参)https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1969398418&owner_id=3341406

それはちょうど発掘調査が進められている時で、上のリンクに、11/22の中日新聞朝刊に掲載された速報記事も切り抜いて貼り付けてある。

今回、表題の講座は、まだまとまり切った状態ではないものの、その発掘調査の成果報告を中心に据えている。
これはどうしても聴いておきたいと、電話で事前申し込み、参加させてもらった。

講座の内容は、以下の通り、
・報告1「浜松市の古墳時代」
講師　浜松市市民部文化財課　鈴木敏則
・報告2「光明山古墳の調査成果」
講師　同　山中美歩

日時　3/2(土)13:30～15:30
場所　浜松市細江図書館視聴覚室

講座のレジメはスキャナで録り込んでおいた。
レジメ1

◆「浜松市の古墳時代」
レジメをそのまま書き移しても意味がないので、補足した部分について下にメモする。

1.古墳時代以前の気候と地形。
② 氷河期は、海水が北極南極でより多く氷になるため、地球全体の海水面が、今より遥かに低くなっていた。
これら変化に合わせて、遠州地域の地形も今とは随分異なっていた。

2.時代区分
縄文時代と弥生時代は、以前は狩猟時代と農耕時代と分けていたが、今はそう単純にはいかなくなった。
縄文時代の遺跡からも、植物性の作物が多々発見されるようになり、狩猟のみで暮らしていたのではない事が判ってきたのである。
この間の線引きを何処でどうするかは難しい問題だが、弥生時代の稲作は、灌漑を行い水を引いて水稲農耕をするようになってからと考える。つまり村落の集団作業で稲作を行うようになったのが、弥生時代である。
それ以前の縄文時代でも部分的に稲作はあったが、集団農耕でなく、親族等の個別単位で行っていた。その時期は、まだ川から水を引く灌漑工事も行われていない。

また、金属器で分けると、紀元前5～3世紀以前と以降という表現での線引きも妥当でなくなった。
金属器は大陸からの伝播によっており、九州で言えば紀元前7～6世紀頃からその使用跡が発見されるようになっている。
西から東へと金属器の使用は伝播しているから、地域によって、例えば九州と東北では大きな時代差が発生しているのである。

3.浜松市の古墳
浜松市には1700基程も古墳が発見されている。
形も大きさも様々だが、数で圧倒的に多いのは円墳で、古墳時代後期から終末期にかけて、その規模の小さいものが多数作られた。
埋葬施設は、一般的に初期は縦穴式、後期になる程横穴式が多くなり、後者では、1つの古墳に、のちに死んだ人物も追加埋葬するケースも出てくる。
また、同じ時代でも埋葬される者の位で古墳の形状が異なる事がる。位の上の者から順に、前方後円墳、前方後方墳、方墳、円墳という序列になる。

レジメ2と3

◆「光明山古墳の発掘調査成果」の補足

場所；浜松市天竜区山東
時代；古墳時代中期(5世紀中頃)
サイズと形態；全長83mの前方後円墳=浜松市内最大
その他；この古墳の南側に光明山2号墳と名付けた円墳(直径32m)が存在する。平坦な方形の造り出し部分が附随している。

今年は、大きい前方後円墳の方を、3～5月と11月、2度に分けて発掘調査をした。
当初はトレンチ(溝幅1～1.5m)を3ヶ所掘る予定だったが、結果的には、5ヶ所掘って調査をした。=レジメ3枚目の「調査区1～5」。

形状；前方部も後円部も2段の構造になっていて、間に平らなテラス部分を挟んでいる。
　全体の1段目　高さ1.8m
　～テラス～
　前方部の2段目　高さ7.8m
　後円部の2段目　高さ9.6m

後円部の頂上に竪穴を掘って墓を埋めたであろうと想像されているが、今回は頂上部の発掘はしていない。

前方部も後円部も、頂上は平らにしてある。
頂上の平らな部分と1段目と2段目の間のテラス部分に、埴輪が並べられたと考えられるが、それらは転がり落ちて墳丘の裾周囲から発掘された。

傾斜面には葺石(ふきいし)が並べられ、盛った土砂が流れてしまうのを防いであった。
葺石の一部が各トレンチから発掘された。
葺石の一番下は基底石と言う大きめの石を設置してあった。
葺石･基底石は共に角のある石で、天竜川の河原にあるような丸い石でなく、山から拾ってきたものだと推測される。(場所は特定できていないが。)

裾部、トレンチの一番下からは、埴輪が発見された。
形状；円筒型、及びその先が拡がった朝顔形埴輪。
人物や家や動物等の形をした形象埴輪は発見されなかった。

相当量の埴輪があった事が推測される事から、他地域から持ってきたのでなく、近在に窯を設置して焼いた物であろう。
埴輪は須恵器のような灰色で硬いものを含む。
こうした焼き方は朝鮮半島から伝播したものである。新技術を遠州に導入する事ができた人物の墓であった事が推定される。

古墳の形(前方後円墳で有段式etc.)は、畿内に類似するものがある。
ex.誉田御廟山古墳(大阪府羽曳野市)
これらの古墳の設計図を共有できる有力人物の墓であったのだろう。

光明山古墳は、天竜川からは大分離れた内陸に位置する。
脇に信州街道があり、ここは当時内陸交通の要所だったのではないかと考えられる。
畿内の中央政府から派遣されたか、当地の有力者か、こうした場所を管理する地位の人物だったのだろう。

以下は昨年2018年11/23に行われた、発掘現場説明会の資料である。(PDF形式)
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/bunkazai/hakkutsu/documents/koumyousann10.pdf
発掘調査中のトレンチ内部の写真、出土したばかりの埴輪の写真等、大変に生々しい。

発掘調査の正式な結果報告書は、もうしばらくすると本にまとめられるらしい。
愉しみにして待ちたい。
　

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