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2017年09月23日17:30

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フランク永井のサイン色紙を天井に飾る上野レコード店「リズム」

 レコード・カセットレコードなどアナログ音楽を再考する傾向な近年顕著だという。ときどきテレビや新聞で報じられる。パナソニックなどの音響メーカーから再生プレーヤの再生産、さらにはレコード自身の生産が再開されたという。
 上野の美術館を訪れたのを幸いに、何度かテレビで写されて一度訪ねたいと思っていた上野のレコード店「リズム」を訪れてみた。その気になったのは放映された映像の一角にフランク永井の色紙が移っていたからだ。フランク永井のサイン入りの色紙は、確かにそのまま貼ってあって存在を確認した次第である。
 放映されたカメラ映像では店は相当広く感じたのだが、それはどうも奥にある全面鏡のせいであったようだ。筆者もお尋ねし、奥の方も見せてもらっていいですか、と言ってしまった。そちらは行けません。鏡ですと言われて、よく見れば…。己の眼の悪さにあっけにとられ、実に巧い店の作りに妙に感心。
 訪問主旨をご主人に伝えると、気持ちよくいろいろと語ってくださった。所狭しと天井にまで貼ってある、歌手や関係者の色紙と、記念に撮られた写真。吉田正、裕次郎、ひばり、鶴田浩二、村田英雄、遠藤実といったそうそうたる方がたを先頭に、現在現役バリバリの多くの方がた…。
 レコードは見受けられなかったが、基本的にカセット・テープだ。それにCD。フランク永井の話がはじまると、すぐに「カバーズ」と「ベスト」がテーブルに並べられた。確かに、これだ。フランク永井の代表曲は「ベスト」に込められている。歌のうまさはさらにカバーだ。カバーによって、おのおのが好きな歌をフレッシュな気持ちで聴ける。フランク永井のファン層からさらに歌自身の好きな人が楽しめる。大きくない店だけに、洗練されきっている。
 色紙は「霧子のタンゴ」が出た後、その続編のレコード化と発売をご主人が積極的にレコード会社にプッシュしたという経緯の中で、直接吉田正とフランク永井から書いてもらったものだという。その色紙を紹介してもいいかと尋ねたら、店内の色紙と写真類は自分の名入りで描いていただいたもので、私的なものとして生涯大事にしていきたいから、お断りしているとのこと。
 遠藤実や他の方から頂いたといういくつかについてもそうしたいきさつを話してくださった。アメ横の時代と共に店を営み、戦後の流行歌の流れをファンの眼から、同時にリリースするサイドからの視点から長く見つめてきた様子が感じられた。
 SPからEP/LP、そしてカセット。このアナログからCDへ、ダウンロードへと目まぐるしくメディアが代わり、歌手と歌が代わってきた。提供する側とかって楽しむ側も変わる。時代はハイレゾという高音質のものも望まれてきた半面、アナログへの再起傾向も盛んになってきている。結果的かもしれないが、カセット・テープを守ってきた「リズム」にとっては、新たな感慨かも知れない。
 フランク永井のカセットは残っていないのかとうかがった。残念ながらないと。
 筆者の手元にはフランク永井の関係のテープが30余本ある。時々に聴く。レコードと比べたりするのだが、当然元の音源はレコード会社の唯一の貴重なアナログのマスターテープである。同じに聴こえていいものだ。普通に聴く分にはその相違はないもの。
 だが、ややこだわりを持って聴くと面白いことが分かる。CDはCD規格があって、音域が無条件にある幅に制限されている。人間の耳で聴こえる範囲を押さえているから不足はないのだと言われた。
 ところが、近年CD規格で決めた音域だけで元の音の情報がカバーしきっていないのではないかということが言われてきた。そもそもCD音はデジタル化により「なめらかなアナログ線が直角のギザギザ線にされているではないか」といわれる。
 まあ、それは再生時に機械的に「ほぼ」復元するので何ともいいきれないのだが。だが、テープはどうだろうか。それは、カセットテープの規格に制限されるわけだが、テープのサイズ・品質・速度の相違はあるものの、アナログからアナログで複製されている。複製する装置の機械的な制限があったとしても、なじみの良さは、CDに比べて予想できる(かもしれない)。
 もしかして、マスターテープが持つ多くの情報をCDに比べて多く含んでいるに違いない。ということで、カセット・テープにも改めて注目がされているようだ。
 説明はできないのだが、筆者もテープ音が「なかなかいいではないか」と思うときがある。

 なお「霧子のタンゴ」については、台湾に行った時にフランク永井自身が英語歌詞をつくったとして、1966年の労音ライブ盤(SJV-243)で紹介している。また、その続編というのは21周年リサイタルで紹介したもので、そのときのライブLP(1977:SJX-8046〜7)に残されている。

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