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2016年09月18日14:44

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フランク永井がNHK「ラジオ歌謡」で歌った「アイスクリームの夜」「いつの日逢える」のカバー復刻を聴く

 フランク永井がデビュー間もない1958(S33)年に「アイスクリームの夜」(大倉芳郎作詞、吉田正作曲)、翌年「いつの日逢える」(佐伯孝夫作詞、渡久地政信作曲)を、NHKラジオ放送で歌っている。(2011年7月の当日記で紹介)
 だが、残念なことに音源は残されていない。
 当時放送されても、音源テープが高価であったことから何日か保管されていて、幾度も再使用されていたために、現存していない。何よりもNHKをはじめ日本のマスコミ・メディアには文化を担っているという意識が薄く、それを後世の検証のために記録を残すということに努力をしてこなかった。もちろん世のニーズの流れと、技術や資金のバランスがとる余裕のないままだったともいえる。
 結果として、貴重な音源が残っていない。だが、その後何年も経過して熱心な全国の研究家が資料の整備にあたり、協力をしあいながら集めることで、近年放送された800曲を超える全貌がよみがえってきている。この過程で残されている音源の整理をするとともに、全国で私的に録音しているようなものも発見されたりして充実してきている。譜面が放送局の倉庫に眠っていたりしてるのを掘り出し、劣化して読めなくなった部分を復刻再現するような取り組みもなされた。
 そうした成果は、NHKのテレビでも特集され、ラジオでは深夜便などで紹介もされている。フランク永井の2つの歌唱曲については曲名と楽譜が残されていることがわかり、関係者によって譜面からの演奏をシンセサイザーやアコーディオン演奏で再現している。筆者も何年か前にそうした演奏を知らされ、何人かに歌ってもらったりした。しかし惜しいかなさまざまな理由から紹介するにはいたらなかったが、ここで感謝を表するしだい。
 ラジオ歌謡の地道な研究をされている、発掘した曲を歌い継承することに楽しみながらも情熱をそそいでいる方々がおられる。当然にフランク永井についても初期から好きで造形も深く、ほとんどの曲を自ら歌うという方もおられるというから驚く。この度そうした方々の中でも突出した歌い手の歌唱をテープで聴く機会を得た。
 「アイスクリームの夜」は演奏会で歌われた際のライブ録音である。「いつの日逢える」はきちんと録音されたものである。たいへんに優しく、穏やかな雰囲気がよく出ていて、すばらしいプロの歌唱として鑑賞できる。フランク永井の歌唱は聞くことができないが、詩の表現がよくメローディーを深く理解した歌い方に親しみを感じる。
 ラジオ歌謡はファンも多く、歌われた曲は歌手が属するレコード会社からその時の音源、あるいは当歌手が吹き込みなおして、または別の歌手によって吹き込まれてレコードとして発売されたりした。放送された音源のままというのは意外と少ないようだ。大本であるNHKからもまた各レコード会社からもBOXの形で、コレクションがいくつかCD発売されている。NHKもレコード会社も、膨大で未整理の煩雑な作業をともなうことから十分にいきとどかないまま「存在しない」といわれてきた曲も、実は存在するということもまだ可能性があり、これからの整備が期待される。

 さて、来月10月は宮城県大崎市で「第8回フランク永井歌コンクール」が開かれる。その準備が今年も万全に進んでいる。そこでは先着130組が、フランク永井の残したオリジナル曲に挑戦される。今年はどういった曲が歌われ、若い挑戦者によるどういう歌唱が楽しめるのか、いまから期待でいっぱいである。
 たびたび触れていることだが、フランク永井が残した200曲余りのオリジナル曲の演奏(カラオケ)が少ないことである。カラオケBOXで歌えるものは、わずか30曲程度である。こうした状況の中で、先に紹介したフランク永井の歌を独自に歌い継いでいこうというような方々によって、演奏が独自に復刻されている。その演奏曲集がそのグループでひそやかに指摘にまとめあげられている。157曲の演奏集になっている。現時点の最強のフランク永井曲集(ほとんどの譜面、歌詞、演奏音源)である。ただただその熱意に頭が下がるばかりである
 デビューの初期からもっとも声ののりがよかったと私的におもっている、中期までのフランク永井の歌をほとんど扱っている。この時期のフランク永井の曲については、MEG-CDからかなりのものがすでに復刻されている。また、ビクターからは今年に「懐かしのフランク永井」CD-BOXでレコードのA面曲が復刻しているので、フランク永井の歌唱をいつでもファンが聴けるようになったので、珍しい曲のカラオケに挑戦してみてはいかがだろうか。ちなみに、ここで紹介した2曲が歌われた2年だけでフランク永井は72曲のリリースをしている。「こいさんのラブ・コール」「俺は淋しいんだ」「夜霧に消えたチャコ」「東京ナイト・クラブ」などをヒットさせた年だ。
 残念ながらそのグループが私的に制作した(作品にするには著作権曲も含めた資金のこともあって)もので、気軽に使用できないことだ。しかし、そのようなことを実現してしまうほどのエネルギーをもった方々がおるれることを紹介しておきたい。何とかフランク永井歌コンクールで、広く利用できるようになる道はないのか。開けられれば、素晴らしいことなので、知恵ある方からの意見を聴ければと思う。
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