フランク永井が所属したビクター。ビクターといっても名称は何度も微妙に変わってきて、現在は株式会社JVCケンウッドを親会社とするビクターエンターテインメントというのだが、ビクターと略称で読ませていただく。そのビクターの若手演歌歌手にはジェロとかいるが、特に年頭から売り出しは山内惠介であろう。日本クラウンの三山ひろしとともに注目を集めている歌手だ。
その山内がフランク永井の「夜霧の第二国道」を歌っている。アルバムは十年前に発売された「山内惠介・さすらい名曲選」。
なかなか聴かせてくれる。声も通りがよく、こぶしもきいている。山内はテレビではいけめんともてはやされ、当世はいけめんにはなよっとさせたがる風潮なのか、彼もそのケをみせる。声がいいのだから、男らしさを前面にだせばいいのに、などと思いながら聴く。
夜霧の第二国道は、フランク永井がデビュー間もない1957(S32)年に歌ったものだ。宮川哲夫の感性光る詩に恩師吉田正が曲をつけ、寺岡真三が編曲した名曲である。この曲は多くの歌手に歌い続けられてきた。ビクターでは抱える名歌手に歌わしてきているが、山内にも歌わせてリリースしている。
山内は、演歌歌手としてデビューしたのは2001年で、15年間歌い続けているわけだが、この声の質を活かせて、昭和の名曲を定期的にカバーして作品を出している。立派なことである。それらのアルバムは4枚に至り、セットでも売られている。
「山内惠介・名曲選〜昭和カヴァーBOX」(2014:E5649/NZS-716z)
Disc-1 女唄・名曲選
(初版は2001:VICL-60798/VITL-60798)
1.恍惚のブルース /2.京都から博多まで /3.東京ブルース /4.カスマプゲ
5.さだめ川 /6.酒場にて /7.霧情(オリジナル・シングル)
Disc-2 君に唄う 〜山内惠介・哀愁名曲選〜
(初版は2004:VICL-61410/VITL-61410)
1.上海帰りのリル /2.叱らないで /3.落葉しぐれ /4.江梨子
5.黒百合の歌 /6.胸の振子 /7.君の酒(オリジナル・シングル)
Disc-3 山内惠介・さすらい名曲選
(初版は2006:VICL-61684/VITL-61684)
1.夕焼け雲 /2.冬の旅 /3.街のサンドイッチマン /4.ギターを持った渡り鳥
5.夜霧の第二国道 /6.霧笛が俺を呼んでいる /7.流氷鳴き(オリジナル・シングル)
Disc-4 流行歌名曲選《惠介劇場》
(初版は2007:VICL-62579/VITL-62579)
1.夢芝居 /2.殺陣師一代(殺陣師=たてし)/3.湖愁 /4.踊子
5.船酒場-ふねさかば-(アコースティックバージョン) /6.宗右衛門町ブルース
7.東京ブギウギ /8.沓掛時次郎 /9.勘太郎月夜唄
10.つばめ返し(オリジナル・シングル)
さて、山内が「山内惠介・THE歌謡ムービー 昭和歌謡危機一髪!」(2013:「山内惠介・THE歌謡ムービー 昭和歌謡危機一髪!」製作委員会)と面白そうな映画の主役をしている。
観ていないのだが、機会があれば観てみよう。
山内が危機一髪なのか、昭和歌謡が危機一髪なのか。制作委員会の公式なストーリー紹介では「デビューしてから10年が経ち、イケメン歌手としてやっと名前が浸透してきた山内惠介だったが、所属事務所が経営難に陥り、歌謡曲の世界とは畑違いのIT企業に経営権が移ってしまう。そんな中、歌声が「針飛び」する謎の奇病を患い歌えなくなった惠介が、理不尽な方針を押し付ける会社の経営陣とぶつかり、ついに姿をくらませてしまい……」とある。
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