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2016年09月07日21:38

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読書日記Nо.942(希望荘−その後の杉村三郎))

■宮部みゆき「希望荘」2016年6月小学館刊

昭和〜平成日本の語り部、宮部みゆきさんの小説に馴染んで20年
くらいになる。

現代日本で一番売れる作家さんは、男性なら東野圭吾さん、女性なら
やはり宮部みゆきさんではないだろうか。

宮部みゆきさんの小説は、時代小説から現代小説まで幅広いが、基本的
には、ミステリ作家だと思う。

でも、ミステリ小説は、エンタテインメント小説の極北で、読者をいったん
小説世界に誘ったら、ワクワク・ドキドキ、心を鷲づかみにし、本を置くまで
物語の世界に拉致する。

読者にとっては、その、物語に拉致されたいのですね。

宮部みゆきさんは、杉村三郎という、魅力的な「狂言回し」を創造し、今まで
「誰か」、「名もなき毒」、「ペテロの葬列」とシリーズ化してきた。

いずれも、TVドラマ化され、主人公・杉村三郎を演じたのは、小泉孝太郎さん。

小泉孝太郎さんが、この善良で、ちょっと気が弱く、しかし正義感に溢れた
魅力的な主人公の面影を、見事に演じ切っていて、好感をもたれている。

前作の「ペテロの葬列」で、不幸のどん底に突き落とされた杉村三郎が、どう
再生するかは、本シリーズの愛好者なら、とっても気になるところで、また
このような作品が出たことに、宮部みゆきファン、杉村三郎ファンは、喝采を
贈っているのではないか。

本書は、4編の連作中編で、「ペテロの葬列」以後の、杉村三郎の物語を
紡いで、ファン垂涎の物語の期待を裏切らない出来栄えだった。

惹句を紹介しますね。

“探偵・杉村三郎シリーズ、待望の第4弾!
その部屋には、絶望が住んでいた――。”
宮部ファン待望の14か月ぶりの現代ミステリー。特に人気の「杉村三郎シリーズ」
の第4弾です。”

“本作品は、前作『ペテロの葬列』で、妻の不倫が原因で離婚をし、義父が
経営する今多コンツェルンの仕事をも失った杉村三郎の「その後」を描きます。”

“ 失意の杉村は私立探偵としていく決意をし、探偵事務所を開業。ある日、
亡き父・武藤寛二が生前に残した「昔、人を殺した」という告白の真偽を調査して
ほしいという依頼が舞い込む。依頼人の相沢幸司によれば、父は母の不倫によ
る離婚後、息子と再会するまで30年の空白があった。果たして、武藤は人殺し
だったのか。35年前の殺人事件の関係者を調べていくと、昨年に起きた女性殺人
事件を解決するカギが……!?(表題作「希望荘」)”

“表題作の他に、「聖域」「砂男」「二重身(ドッペルゲンガー)」の4編を収録。”

4作品の中では、表題作よりも、「砂男」が一番よかったが、まぁ、宮部みゆき
さんの筆は冴えしなり、至福の読書体験を、堪能し尽しました。

小説好きな人も、そうでない人も、オススメの一冊です(^^♪
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