■橋口譲二「ひとりの記憶 海の向こうの戦争と、生き抜いた人たち」2016年1月文藝春秋刊
前読書日記で、読了挫折を報告しておきながら、本日記のタイトル
「素晴らしい本に、出会った!」とは、何事なのかと、訝しく思われた
マイミクさんが、たくさんおられると思います。すみません。
“読書のよゐこ”なので、読書の神様が、ご褒美をくださったのかなと
思えるほど、素晴らしい本に、出会ってしまったのです。
著者の橋口譲二さんとは、馴染みがありまして、橋口さんは写真家
なんですが、ポートレイト写真家としての著作に、もう16年前に出会い
ました。
それは、「17歳の軌跡」という作品で、以下のような本でした。
“さまざまな夢を抱えていた12年前の「17歳」たちは、いかに90年代
を生き、21世紀を目前に何を考えるのか。写真家は再訪の旅に出る。”
“少年少女が育んできた時間と、失ったいくつかのこと。あなたはどこで
何をしていましたか?そして、あなたはこれからどう生きていきますか?
僕は、かつて「17歳」だった彼らをもう一度訪ねる旅に出た―。
北海道から沖縄まで、さまざまな軌跡を描いた38人による青春の記録。”
人物写真と、文章に打たれてしまったのです。
それで、今年刊行された本書に目がとまって、本書を手に取りましたが、
その作品の重量に、雷に打たれたような衝撃を受けました。
本書の惹句を紹介しますね。
“太平洋戦争を機に海を渡り、戦後も帰国せずにその地で生きることを
選んだ「日本に帰らなかった日本人」を、『17歳の地図』の著者が世界各地に
訪ね歩きインタビュー。”
“取材から完成まで20年の歳月をかけた渾身の書下ろしノンフィクション。
インドネシア、台湾、サイパン、ポナペ、韓国、中国、ロシア、キューバ……
終戦の混乱の中で、彼ら、彼女らの下したひとつひとつの選択、ひとりひとりの
生き方を寄り添うように描く。 ”
“日本に戻ってどうするのさ。インドネシア、台湾、サイパン、ポナペ、韓国、
中国、ロシア、キューバ…太平洋戦争を機に海を渡り、戦後も帰国せず
その地で生きることを選んだ日本人。”
“終戦の混乱の中で、彼らの下した一つ一つの選択、一人一人の生き方とは?
取材から執筆まで二十年の歳月をかけた、渾身の書下ろしノンフィクション。 ”
本書の取材は、1995年からなので、紹介された人びとは、当時で80歳以上
なので、2016年の現在は、ほとんど鬼籍に入られていると思われる。
でも、橋口さんは、もだえ苦しみながら、20年かけて、本書を刊行せざるを
えなかったのですね。
太平洋戦争のために、終戦後も、日本以外の地に残って、生きざるをえなかった
日本人たち。
その人たちの生きざまを、記録として、本書で刊行せざるをえない橋口譲二さんの
「重荷」を、感じる。
出会ってしまったので、表現者として、本書を20年かかって刊行された、橋口さん
に万感の共感を感じてしまった。
マイミクさんたちには、ぜひ、読んでもらいたい♪
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