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2016年05月22日12:07

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らくごカフェ「昭和歌広場」でフランク永井「こいさんのラブ・コール」のSP演奏

 「昭和歌広場〜SPレコードとトークでつづる歌謡史」の第8回が5月21日に東京・神田神保町のらくごカフェで開かれた。
 今回は「もはや戦後ではない頃の歌2」という特集。2というのは、第4回で1を開催されたようである。企画と主催は司会の林田雄一。解説は演芸評論家の保田武宏。そして当日に真打昇進をはたした林家たけ平が、さらに落語芸術協会内の懐メロファン代表・桂夏丸が多忙のなかにゲストとしてかけつけ出演という豪華。
 落語と歌謡は大衆芸として関係が密接で、昔から相互に深い理解と連携の歴史を持つ。戦後の歌謡公演の司会を落語界の関係者が多く普通であった。またフランク永井もフランク亭永井と自称したほどお噺にはのめりこんでいたものだ。
 解説の保田は読売新聞の芸能全般をカバーする記者であっただけに、綿密な取材と背景の追及を記録している。しかも当日「小畑実のレコードで言うなら百数十枚も所蔵している」というほど、膨大なSPレコードを実際に手にして確かめ、ご自身も歌って手ごたえをつかむ方。正確な歩く芸能データベースだ。フランク永井や林伊佐緒などをはじめ公私で深い交流を持ち、エピソードの宝庫をもつ。
 また、うれしいことに、歌を紹介しエピソードを語る面々が若い。単に若いだけではない。彼らは様々なところで、昭和歌謡、昭和の大歌手、SPレコードを現役で紹介に力をそそいでいる。口で紹介するのが仕事ということもあろうが、彼らの生まれる前に活躍した方々の時代背景、レコードと歌とそれらの企画と大衆の反応について、驚くような情報とうんちくをもっている。
 当日は、主催者がよりすぐった20曲が演奏された。昭和28〜34年の発売。

  01 ふるさとの燈台(田畑義夫)
  02 ロンドンの街角で(小畑実)
  03 夢のフランク航路(岡晴夫)
  04 ブギ真室川音頭(林伊佐緒)
  05_岸壁の母(菊池章子)
  06_高原列車は行く(岡本敦郎)
  07 お富さん(春日八郎)
  08 ハンドル人生(若原一郎)
  09 月がとっても青いから(菅原都々子)
  10 リンゴ村から(三橋美智也)
  11_ここに幸あり(大津美子)
  12 どうせひろった恋だもの(コロンビア・ローズ)
  13 早く帰ってコ(青木光一)
  14 ジョッキで乾杯(曽根史郎)
  15 喜びも悲しみも幾年月(若山彰)
  16 こいさんのラブ・コール(フランク永井)
  17 釧路の駅でさようなら(三浦洸一)
  18 ら・あさくさ(美空ひばり)
  19 船方さんヨ(三波春夫)
  20 人情寄席(村田英雄)

 SPレコードであるということは、EPでもLPでもCDでもない。この時期はSP最後の時代で、その後すべてEPとLPへ移行する。あげた歌手は歌手としてもっとも張りがあり、美しい声を発していたときといってよい。
 これが会場ではオーディオ・コーディネータ高山承之が手作りのSP専用機材をつかって聞かせてくれた。SP音源は人間の発生器器官をもっとも忠実に再現した技術といわれているが、歌手の歌唱の良さを極限まで再現している。ノイズから逃れられないといわれるSPをソースにしていながら、それを感じさせないほどすばらしい歌手の歌声を会場いっぱいに響かせた。
 SPファンにとってはたまらない至福のときであった。
 待ちに待ったフランク永井の曲は「こいさんのラブ・コール」。これはフランク永井ファンならだれもが知っている名曲。1958(S33)年4月に呉羽紡績提供のABCホームソングで流されて大人気になり、7月にリリースされたもので、フランク永井のいわゆる関西モノのはしりだ。だが、この曲は先に皆が知っていたこともあるが、恩師吉田正のいわゆる吉田学校の先輩である三浦洸一の「釧路の駅でさようなら」(上記No17)をA面にして発売されたものだ。
 ちなみに、2月にビクターから発売された「懐かしのフランク永井〜A面シングルコンプリート」(CD10枚+DVD1枚)には、例外で採用されている。なお、このCD-BOXには同様にB面でありながらも収められたのは「東京ナイト・クラブ」「俺は涙を知らない男」「悲しい人が去っていく」がある。ついでだが、正式にリリースされたシングルで、入らなかったものもある。「アイル・リメンバー・トゥナイト」「戦場の恋」「勇者のみ」(ただしこれはレーベルがリプリーズであるため。MEG-CDより復刻)。初版がB面だった「公園の手品師」は、1978年吹き込みのA面が入っている。「初恋の詩(うた)」は1962年の初版と再吹込みの1984年版の両方を聴くことができる。

(注:データブックの訂正 25頁写真上「十代目金原亭馬生師匠と」に。写真下「八代目文楽師匠と」に)
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