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2016年05月15日10:59

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「フランク永井魅惑のオン・ステージ」テープ盤ならではのボーナス・トラックの楽しみ

 フランク永井のライブ作品はいくつか発売された。もっとも有名なのはリサイタルで、1968(S39)年デビュー8年目で開いた第1回目のリサイタル、10周年第2回、15周年3回、21周年4回、30周年5回の盤だ。さらに労音での2回、NHKビッグショー1回、ホテル2回が残されている。
 いずれも、フランク永井自身がMCを務めて進めるという形式で、自分のデビュー前後のエピソードをテーマに語りながらというのがあって、それを聴くことで彼がどう歌手になり、どう苦労したがを知ったものである。
 歌を紹介しながら観衆と一体になっていく雰囲気が伝わる。またライブはレコードとやや演奏(編曲)が異なり、舞台用の歌い方というのがよくわかるので、歌い方の勘所が別の魅力を与えてくれる。
 「オン・ステージ」という名称では、労音での2回の公演を一枚にまとめた盤(1970)で最初に使われた。1976年に「魅惑のオン・ステージ」がリリースされた。これは大阪ロイヤルホテル・スカイラウンジ・ショーでの講演のライブである。LPはSJX-10144だ。生き生きとした演奏とトークで、曲は両面で19曲入っている。
 ところがこの「魅惑のオン・ステージ」には、別途テープ盤というのがあった。同年にVCH-3099で発売されている。なんとテープ盤にはLP盤にはない曲が9曲追加で入っているのである。
 この情報は、このたびも筆者をしのぐフランク永井の熱心なファンが教えいただいた。そのうえ、お持ちの貴重なテープを聞かせていただいたのである。感謝にたえない。そこで、そのバージョンについてここで紹介したい。*印がついている曲がLP盤には入っていないもの。

 01 君恋し
 02 東京午前三時
 03 加茂川ブルース
 04 大阪ろまん
 05 おまえに
 06 星になりたい*
 07 夜霧に消えたチャコ*
 08 俺は淋しいんだ*
 09 酒場の花
 10 誰よりも君を愛す*
 11 東京ナイト・クラブ(客と)
 12 ラブ・レター
 13 こいさんのラブ・コール*
 14 有楽町で逢いましょう
 15 夜霧の第二国道
 16 羽田発7時50分
 17 大阪ぐらし
 18 熱海ブルース
 19 大阪野郎*
 20 船場ごころ*
 21 追憶の女(おもいでのひと)
 22 16トン*
 23 ばらの刺青
 24 西銀座駅前
 25 暗い港のブルース*
 26 霧子のタンゴ(英語版も)
 27 赤いグラス
 28 君恋し

 ライブは楽しかったに違いない。ヒット曲、今売り出したい曲(ここでは「酒場の花」)、自分が好きな曲(追憶の女)、デビュー時の洋楽、カバー…と。
 「追憶の女」はデビュー間もない1958(S33)「街角のギター」のB面で最初に出たもの。B面ゆえに2月にリリースされた「懐かしのフランク永井」はA面コンプリートにはいっていない。いい歌だし、フランク永井自身はそうとう思い入れがあったようで、1963(S38)年に「追憶(ついおく)」に曲名を変え、ステレオ再吹込みで発売している。このライブでも話しているのだが、追憶の女と書いておもいでのひとと読ませるのは、やや流行させるにはやや弱いということであったようだ。だが、ついおくの名での売り出しはこの時だけだったようだ。
 1967年の労音ライブでも、1978年のNHKビッグショーでも、この盤(1976)でもおもいでのひとで紹介しているからだ。なお、ステレオ版「追憶」はMEG-CDから復刻リリースされている。
 テープ盤のみの曲では「暗い港のブルース」のカバーが入っている。記録ではこれが初で、後に1971(S46)年の「琵琶湖周航の歌」でLPにいれた。「グッドナイト・ベイビー」で著名なザ・キングトーンズのこの名曲は、ちあきなおみなど多くの歌手にカバーされているがフランク永井の歌唱も有名だ。
 さらにはアイ・ジョージの「赤いグラス」カバー。この傑作は1976年に松尾和子とのデュエット盤が傑作で多くのファンを持つ。アイ・ジョージは親友という関係で、米軍キャンプまわりの時代からの付き合い。労音でも常連だった、アイ・ジョージをこのライブでも歌仇として紹介している。そしてフランク永井ならではの関係から、本名が黒田春雄で初期はハリー黒田で歌いいつの間にかアイ・ジョージになっていい曲を得て名が広がったのだとばらしている。
 アイ・ジョージの代表曲といえば「硝子のジョニー」だが、フランク永井はこれも歌っているという噂は聴くのだが記録にはない。発売はされなかったが、音源はもしかしてあるかもしれない、などと思いつつ楽しませてもらった。
 テープ盤(版)を筆者がフランク永井のデータブックを出版した後まで軽視してみていたということは、たびたび書いたが、LPの1枚に収まる時間の制限と、テープに収まる時間の制限の違いから、テープ盤には「ボーナス・トラック」なるのが入っていることがある。これは、いつも思わぬ発見に出くわすのである。
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