■穂村弘「ぼくの短歌ノート」2015年6月講談社刊
日本の短詩型文学、すなわち短歌や俳句には、純粋な鑑賞者として
興味があって、この読書日記でも、比較的よくとりあげている。
そして、最近、自分でも気づいたのだが、私はどうも、俳句より短歌の
方が好きらしい。
同じ短詩型といっても、短歌と俳句の表現する世界は全く異なり、
短歌の方が、最後の七七がついているだけで、感情が盛れるのですね。
穂村弘さんは、短歌好き、エッセイ好きの人なら、「ほむほむ」という愛称で
周知の人だが、私が知ったのは、2年前。
「世界中が夕焼け 穂村弘の短歌の秘密」2012年6月刊を、偶々書店の
店頭で見かけて手にとって、穂村さんの短歌の世界にはまっちゃった!
本書は、雑誌「群像」に連載中の「現代短歌ノート」をまとめたもので、
「身も蓋もない歌」とか「ハイテンションな歌」とか「賞味期限の歌」とか、
「繰り返しの歌」とか、近現代の名作から中学生の投稿歌まで、テーマ
ごとに気になる短歌を集めて、解説した本。
日経歌壇の選者でもあるので、新聞の投稿歌まで広がりをもって、
近現代の短歌の驚くような魅力を、解説しているところが、新鮮。
惹句を紹介しますね。
“ 人気歌人にして名エッセイストの著者が、近現代の短歌の中から意想外
のテーマで名作・傑作を選びだし、眼からウロコの講評を加えていく”
“「コップとパックの歌」、「ゼムクリップの歌」、「賞味期限の歌」、「身も蓋もない歌」、
「落ちているものの歌」、「間違いのある歌」、「ハイテンションな歌」「殺意の歌」
……などなど著者ならではの鮮やかな視点と鋭い言語感覚で、一つの短歌から
新たな世界を発見する、魅力に満ちた傑作短歌案内エッセイ。”
“平凡な日常をドラマチックに変化させる、短歌の魔法とは?”
“近現代の名作から中学生の投稿歌まで、意外な傑作&目からウロコの解説で
短歌の魅力を伝える著者のライフワーク、ついに書籍化!”
“人気歌人が気になるテーマで選んだ「面白い歌」「凄い歌」から今の時代を
鮮やかに読み解き、新たな世界へと誘う傑作短歌エッセイ。 ”
どんなテーマで、穂村弘が解説しているかが、気になるところなので、
もう少し引用すると
・花的身体感覚
・今と永遠の通路
・システムへの抵抗
・ドラマ化の凄み
・張り紙や看板の歌
・落ちているものの歌
・デジタルな歌
・動植物に呼びかける歌
・会社の人の歌
・時計の歌
・間違いのある歌
・唐突な読点
・・・・・
短歌についての本は、いつも、心に残った短歌を10首ほど、紹介しているが、
この本は、もちろん紹介された歌はどれもすばらしいが、穂村さんがどんな
解説をつけているかが、みどころであり、芸、なので、割愛します。
短歌好きなひと、短歌に興味が少しでもある人なら、短歌という魅惑の世界の
案内人、穂村弘の、手さばきにうっとりしますよ♪
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