mixiユーザー(id:5540901)

2015年02月16日22:00

224 view

読書日記No.799(本が売れないというけれど)

■永江朗「本が売れないというけれど」2014年ポプラ新書

マイミクさんには、私が出版業界に身をおくものであるということを
カミングアウトしていますが、この読書日記は、道楽なので、趣味と
商売は別とのスタンスは堅持しています。

本書は、モロ、出版業界に関連した内容の本ですが、道楽者のユーザー
としても、十分判読に耐えうるので、取り上げました。

著者の永江さんは、こんな人物。

“西武百貨店系洋書店であるアール・ヴィヴァンに約7年間勤務した後、
雑誌『宝島』や『別冊宝島』などの編集・ライターを経て、1993年頃より
ライター業を本職とする。各種新聞・雑誌に署名記事をものする。”

“取り上げる題材は広範にわたり、「哲学からアダルトビデオまで」を標榜する。
読書術やインタビューに関する著作を多数刊行している。処女出版『菊地君
の本屋』においてヴィレッジヴァンガ−ドを取り上げて以来、個性的な書店を
訪問して紹介する仕事も多く手掛け、出版文化産業の事情に明るい。”

書店員さんも出版社社員も経験し、業界の裏も表も知り尽くした人物で
とても信頼できる方です。

本書の惹句を紹介。

“読書ばなれはほんとうか。
 本との出会いを考える。”

“出版不況といわれる現在、本はたしかに「売れなくなった」。
商い不振で暇になるかと思いきや、本に携わる人たちはますます日々忙しい。”

“日本の読書は、本は、どこへ向かうのか?日本独自の流通システム、変わる
書店の形、ネットの世界との関係性など、出版業界のこれまでを振り返り、読み手
と本をつなぐ新たな出会いの形を模索する。”

私も本が好きで、職業は、本に携わる仕事がしたいと願い、30数年余の職業
人生を送ってきた。

その仕事に、後悔はないが、今改めて、構造的な変動にさらされているのですね
出版界は。

でも、物事の縺れた糸は、やはり原点に返らざるを得ず、そのあたりの機微を、
著者は見事に解きほぐしてくれます。

終章の最後に、著者が思いのたけを述べた文章を紹介します。

“「本」について考えるとき気をつけなければならないのは、いまある「本」だけが
「本」ではないという事実についてだ。”

“「本」はその誕生以来、常に変化してきた。たしかにいまの「紙に印刷して綴じて
表紙をつけた」本は、完成された姿かもしれない。”

“しかし、これからも「本」は変わっていく。ぼくたちのメディア環境、情報環境が
変化していけば、「本」もまた変わっていく。”

“ぼくたちが守らなければならないのは、そのような未来のかたちも含めた「本」
であって、現在の本やそれを生産したり流通させたりするシステムではない。”

“「本」をめぐる思考は、常に未来に開かれていなければならない。”

綺麗ごとではなく、まさに正論で、その方向しか、本をとりまく未来はないと
心底感じております♪
18 28

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2015年02月>
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728