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2014年11月23日22:19

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読書日記No.779(グローバリズムという病)

■平川克美「グローバリズムという病」2014年東洋経済新報社刊

いやぁ、あっという間に、衆議院解散となり、年末総選挙となりましたね!
争点は、アベノミクスの是非かもしれません。

道楽読書日記は、花鳥風月を論じる本だけに興じているわけではなく、
人間社会あらゆることに関心があるので、政治・経済・思想・社会も
ターゲットにしています。

著者の平川克美さんは、内田樹さんの友人であり、その馴染みから
すでに数冊、この読書日記に取り上げていますが、本書も面白そうと
手に取りました。

ちょっと長いですが、早速、惹句も紹介。

“内田樹氏推薦!
「これは平川君の書き物のうちでも最良のもののひとつだと思う。
僕はこの本のすべての頁に同意署名できる。」”

“東洋経済ブックスオンラインの人気連載を加筆・修正し単行本化。
著者が、常々感じていたグローバリズムというものに対する違和感を
綴った経済エッセイ。”

“グローバル企業、グローバル人材などの「グローバル○○」という用語。
ニューストピックなどで見かけない日がないといっても過言ではありません。
同時に、グローバル、グローバルと迫られても「なんだかなあ」「もうウンザリ」
と違和感をもつ方も少なくないはず。”

“グローバリズムは、資本主義が生き延びるための最後の処方箋かのように
いわれていますが、はたしてそうなのでしょうか?
むしろ資本主義が必然として生み出す副作用ではないでしょうか?
本書ではわたしたちが逃れ得ぬ「グローバリズムという病」に罹患しつつも、
それでも生き延びていくための道筋を示します。”

経済は、社会のファンダメンタル、すなわち基盤なので、人間社会を考察
するとき、避けて通れない事柄です。

じゃぁ、その経済を考える視点で、大切なのは、経済のために人間がある
のではなく、人間のために経済はあるということではないでしょうか。

本書はその視点で、21世紀の世界をおおうグローバリズムという経済イデオ
ロギーを腑分けしていきます。

“誰だって贅沢がしたいはずだ、誰だって金が欲しいはずだというのは、たしかに
人間の一面の真相を含んでいる。”

“1980年以降、急激に世界に瀰漫した、金銭一元的な価値観の問題は、人間は
金だけのために生きているという浅薄な人間観を同時多発的に世界に振りまい
たことだ。”

“でも、人間が、普通に生活していて、一生涯を生きていくことの意味の重さは、
知識を積んだり、事業に成功して大金持ちになったり、会社で役職についたり、
政治家になって権力の階段をあがったりすることとは、無関係である。”

“自力の及ばない場所で、なお生涯をまっとうすることの意味の重さは、人間を
自然や歴史の前で慎み深くする。”

“つまり、普通の市井の生活は、思想的な拠点として、知識や経済といった
ものを相対化できるということである。”

政治や経済の論調で、分からなくなってしまったら、どこに立ち戻ればいいか?

それは、生身の身体が生活する場、普通の市井の生活者の視点であるという
ことの健常さに、深い安心感を感じる♪
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