mixiユーザー(id:60260068)

2014年07月17日23:12

13 view

詩『アリジゴクの夢』


アリジゴクは空を見ている
でも恥ずかしがり屋だから砂にもぐる
やっぱり空が見たいから
口の広い巣を作り
底から顔を出して
自分だけの空をながめる

アリが空のふちでのぞいているのが見える
突然ころげ落ちてくるアリ
おどろくアリジゴク
アリはすり鉢の底でもがきながらも
必死ではい上がろうとしている
が、足が折れてしまっている
アリジゴクはアリが可哀想に思えて
すぐに食べてあげた

トンボが空のまん中でのぞいているのが見える
アリジゴクは目を輝かせて見ている
そしてトンボになりたいと思った
トンボのように空にもぐることが出来れば
もう、死んでもいいと思った

トンボを見た日から
アリジゴクはずっと願いつづけて
夢を見ている
いつか、必ず




目の前をトンボが、
いや、トンボに似たものが飛んでいる
今にもとけてなくなりそうな翅
欲しくて欲しくてたまらない
欲しい!
と願って
アリジゴクは、飛んでいる
夢の中を飛んでいる
あこがれの青い空にむかって
アリジゴクは、
アリジゴクだった彼は
全身にまぶしい光を浴びながら
美しい翅を広げて羽ばたいている
満ちたりた幸せを誰かと分かち合いたい
と思った
目の前をいく乙女も同じように輝いている
彼は華麗に空を舞い
乙女に寄りそい抱きしめる
いつか見た星のふる夜
たくさんの光が彼をすり抜ける
悦びのあまり
体が震えてやまない
もう、死んでもいいと思った



彼は砂に倒れていた
光に包まれ夢にいき
アリたちに祝福されながら
すでに空とのさよならをすませていた







2 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する