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2014年06月01日19:18

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詩『体−背中』


田圃にはさまれたダンプの行き交う一本道
胎盤を背中にかえてしがみつく少年

母の前では温かい顔をした風が
彼の首すじではずるい顔に変わり
背骨を冷たく上からなめ下ろす意地悪

空が無駄に明るくて目の奥を掻くから
少年は母の背中にもぐりこむ

高熱の日の消毒薬に注射器がにおう
「せんせえにちゅうしゃせんようにいってね」
の願い虚しい帰り道
背中を伝う母の鼻歌が少年の涙をいやした



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