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2013年09月18日16:15

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『笑う男』


言葉が男の喉につかえて出てこない。ポン、と出てくると、
早口がタバコの煙と一緒に若者の喉からツルツル、ツルツル、と出てくる。

男は笑いながら若者の頭から蓋をとり、中を覗いてみるが首をかしげて蓋をもどす。
男はやはり笑いながら、
「よくもまあ、出てくる。」
と、首のネジネジを触っている。

エッチな言葉で若者がふざけると、
「卒業した」
と男は言い、股間をまさぐる。
「カユイの?」という若者の言葉に男の視線が宙を舞う。ポン、と、
「癖や。」
「ふーん、10年前も掻いてたよ、病院に行った方がいいんじゃない?」
「いや、ええって、、ありがとう。」
と、笑っている。

「タバコ、一本、恵んでくれんやろか。」
と男が言うと、若者は五本抜いて男の手にのせる。
「ああ、すまんね。」
と、男はポケットに入れながら頭をさげる。

若者が難解な世界に足を踏み入れ、男の手をとると、男は若者の手を軽く叩き、
「あ〜あ、分からん、分からん、あんたには、ついて、行けん。」
「じゃあ、置いて行くね、」
と、若者は走りつづける。

男はいつも笑いながら、若者に半分だけついてくる。



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