生まれる前から腹に穴が空いている
この間までぴったりのものが収まっていた
いつの間にか詰めものが外れ
どこを探してもみつからない
ぴったりと埋められるものを
探し回って歩き続ける
時々似たものをはめ込んでは捨て
また、はめ込んで
ちがう、ちがう、と言いながら
空いた隙間を砂で埋めている
異物は穴を許さず粉々になり
落ちたかけらは風に飛ばされ帰らない
またひとつ、またひとつ
拾いあげて、はめ込んでみる
長い時の間に穴は広がり
少しずつ固まって
異物は次々に穴を滑べり落ちてゆく
いつまで探したところでみつからない
と、あきらめようか
どこか特別の場所にあるのだろうか
行っていない場所があるのだろうか
と、穴に問いかけてみる
穴を覗いてみる
穴に詰められていたものは
何だったのだろうか
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