草はらをわたる風がふりむいて
いたずらに私の髪をなでる
ささやきはいつか聞いたはずの音
*
黄色いかばんは木の机の上に
なんとなくハーモニカをふく姿
ぼくはうめ組の居残りぼうず
やさしい先生の言葉はかすかで
吹いたり吸ったりいそがしいぼく
お弁当の時間にともだちが手をあげ
僕の食べ方がネズミみたいだと笑う
みんなもつられて笑う
僕は意味がわからず食べつづける
教室にはバロックがながれている
発表会の日はなんとなくやって来て
じゅんこちゃんは花形のピアニカ
たけしくんは背が高いから大太鼓
ぼくは、なぜか鈴をならしている
*
たまごの殻をかぶっていた私
ともだちの顔はそらの雲のようで
先生の声は風になってとおざかる
辺りの葉っぱをむしり
なんとなく
口もとにはこんでみる
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