損保ジャパン近くのビル地下で軽い昼食をとり、新宿駅に戻って京王新線で1駅、初台下車。
地下道が通路になっているのか、真正面から強い風が吹き抜ける。
オペラシティビルの3fにあるアートギャラリーへ。コンサートは措いて、ここは2度目か、3度目か。
今やっているのは、「感じる服 考える服：東京ファッション現在形」という展覧会。
展示会場の運営がまず面白い。
「展示室の出入り口は3箇所あり、どこからでも入退場いただけます。」
「決まった順路がありません。」
「展示室内を移動する際には、梁の下をくぐるようお願いいたします。」
「梁をくぐる際にはくれぐれも頭上にご注意ください。」
展示スペースは、低い梁で、31の区画に仕切られていて、10組のデザイナーが、新たなファッションの可能性を探る作品群を紹介している。
展示空間は建築家、中村竜治のデザイン。
現代的な梁は、相当に腰を屈めないとぶつかってしまう程低く、横に斜めに自由に遮っていて、梁の上には壁がなく向こう迄見渡せるが、何となく個別の空間になっている。
ファッションと言っても、この空間とコラボレーションをする意識がデザイナー達には濃厚である。
10組のデザイナーズは、以下の通り。
・アンリアレイジ(ANREALAGE)/森永邦彦
・h.NAOTO/廣岡直人
・ケイスケカンダ(keisuke kanda)/神田恵介
・まとふ(matohu)/堀畑裕之,関口真希子
・ミナペルホネン(minä perhonen)
・ミントデザインズ(mintdesigns)/勝井北斗,八木奈央
・サスクワァッチファブリックス(SASQUATCHfabrix)/横山大介,荒木克記
・ソマルタ(SOMARTA)/廣川玉枝
・シアタープロダクツ(THEATRE PRODUCTS)/武内昭,中西妙佳,金森香
・リトゥンアフターワーズ(writtenafterwards)/山縣良和
私にはこの方面の知識が欠けているが、これらの名をご存知の方もいらっしゃるだろう。
「アンリアレイジ」はreal unreal ageを混ぜた造語らしく、リアルでありながらリアルでない世界を醸し出している。
今回は”基準の問い直し”という事がテーマで、長短,太さ細さ,巾,奥行き等の、服飾における人体の基準が絶対的なものでないのではないか、というところからスタートしている。その懐疑から、新しいものが生まれるかもしれない、と。
展示は、極端に細長いマネキンとそれにフィットさせた全身衣装と、その反対、極端に丈が短く横幅のあるそれとを、対称的に置いている。
衣服だけでなく、靴も、机も、レジスターも同様に作り込みをしてある。(→写真1)
写真の圧縮引き伸ばしのように見えるかもしれないが、実際に真面目な手作りで、とても面白い。
「ミナペルホネン」は、皆川明によって設立された「ミナ」から、2003年に変更されたブランド名。
フィンランド語でミナ(mina)は”私”、ペルホネン(perhonen)は”蝶々”だそうだ。
繰り返し北欧に旅する中で、ライフスタイルやカルチャーへの共鳴があり、それがスタートになっている。
テキスタイルからオリジナルでデザインし、手作りの温かみと軽やかさに溢れ、飽きがこない。
展示写真ではその風合いの判るものがなかった為、彼のHPから1枚拾ってみた。(→写真2)
その他、いろいろ面白いものがあった。
興味を持たれた方は、アートギャラリーのHPをご覧頂けたらありがたい。
http://www.operacity.jp/ag/exh135/
予定にはなかったが、ここの収蔵品展では、いつも素晴らしい新人作品に出会えるので、寄る事とした。
やっていた企画は、「寺田コレクションの若手作家たち」展と、上西エリカ展。
寺田小太郎は「日本的なるもの」とは何かの問いから、「東洋的抽象」「ブラック&ホワイト」「幻想美術」等をキーワードにして、1960年代以降、殊に2000年代に入り活躍を始めた若手作品の蒐集にも注力。その寺田の寄贈によるものが、アートギャラリーに2,500点ある。
今回の展示は、額田宣彦,山本麻友香,伊庭靖子,小西真奈,川島秀明,入江明日香他の作品が並べられた。
山本の牛や鹿と合体した(？)少年の絵のシリーズは、ここで以前にも観た事がある。かわいらしさと不穏な空気が共存する。
入江の変幻していく絵は好みである。花が、動物に、人間に、魚に、変貌していく。そこには生成,成熟や腐敗,死が隣り合っている。
この後は、パナソニック汐留ミュージアムへ。
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