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2026年09月30日17:51

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映画「ナギダイアリー」

寄子<ヨリコ>(松たか子)は、岡山県のナギ町で暮らす彫刻家。制作のあいまに、牧場の乳牛の世話をして、生計を立てている。
自然豊かで、自衛隊の演習場があり、その砲撃の音が時に聞こえてくる。

友梨<ユリ>(石橋静河)が、寄子の家を訪ねて来る。友梨は東京に住む建築家で、実は寄子の弟の別れた妻。いわば「元義理の姉妹」なのだが、ふたりは仲がいい。
かつて建築プロジェクトで台湾にもいた友梨は、休暇を取ってナギ町へやってきた。

その訪問を境にいろんな変化が、寄子の周囲で起こる。

中学生の圭太(藤原聖)は、父が自衛隊員で、もうすぐ転勤で引っ越しも間近だった。圭太は同級生の春樹(川口和空)と親しい。春樹は絵が得意で、寄子に絵を習っていた。

友梨がやってきて、「ふたりの関係」が、圭太も春樹も気になる。
とても仲のいい彼女らを見て、圭太は「恋人なんですか?」と尋ねるほどだった。

春樹の父・好浩(松山ケンイチ)は、寄子の同級生。妻を病気で亡くしていた。
春樹はナギ町にある、現代アートが特色の美術館に友梨を案内し、
「父は寄子さんに惚れてるんじゃないかと思います。どちらも独身だしふたりは結婚すればいいのに」と、友梨にしゃべってしまうのだった。

美大進学で東京に行ったものの、ナギ町に戻り、アトリエに改装した実家の倉庫で、黙々と彫刻制作をおこなう寄子。
人物像は、まず、モデルをデッサンするところから始め、みずからヒノキを選び、チェンソーで削って形づくっていき、彫りすすめていく。孤独で地道な作業。
友梨がやってきたことで、彼女をモデルに彫像を作り始めた。

友梨はナギ町に来たことを「寄子さんがとても孤独に見えたから・・さみしくないですか?」訊く。
寄子は「さみしいよ。さみしいときはどこにいたってさみしいよ」と返すのだった。

寄子と友梨は「カメラオブスクラ」を作る美術館のワークショップに参加するが、圭太と春樹の様子がなんだか気になる。

そして、寄子が友梨をナギ町の名所の渓谷を案内するつもりが、牧場の牛の脱走のため、案内の代行を好浩に頼む。
寄子は、友梨が、彼の亡くなった妻と、なんとなく雰囲気が似ている・・と思っていた。

春樹と圭太が、友梨と寄子に思いがけない告白をする。
ふたりは相思相愛だ、しかし、日本では同性婚ができない。いつか台湾に行って結婚したい。それまでふたりで住んで暮らすのだと・・


ナギ町は、岡山県奈義町がモデルで、実際、ほとんどこの町でロケがおこなわれたとのこと。先般見た「ルックバック」が秋田のにかほ市のロケが効果的だったのと同様、本作ものどかで牧歌的な風景が、少しずつ心の変化を見せる登場人物たちの遠景にちょうどいい感じだ。

意志の強い、しっかり者の彫刻家を松たか子が演じている。さいしょの登場時は赤いダウンベスト、そして作業時はツナギ、あとは黄土色のダウンだったり、見た目の服装は「ダサい」のだが(意図的にこういう服装にしたのだろう)、松たか子が着れば、かわいらしく見えてしまう。

石橋静河は、まさに今、朝ドラのヒロイン役。
松たか子とは実年齢は17歳差なのだが、義理とはいえ「姉妹」という設定もけっこう合っている気がする。

9日間の出来事を描いているのに、友梨と寄子がそろうことで、化学変化のように、圭太、春樹、好浩の心が劇的に変わるのが見どころかもしれない。静かな田園地帯が舞台だけに、その変化がいっそうきわだつ。

そして友梨も元夫からの建築プロジェクトの誘いを断り、寄子が未完成だった彫像のモデルを続ける決意をする。そのラストシーンがすがすがしい。
(9月30日、KBCシネマ)

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