柚月裕子著
「THEキャラ小説」
ストーリーはあって無きが如し。徹頭徹尾「大上章吾」という目が離せないキャラで、推して推して推しまくってきます。
映画の予告編を先に観てしまいまして、、、役所広司さんですね。
映画版も良さそうですが、この原作の大上がまた、、、特濃ッッ
ヤクザと癒着した悪徳刑事、義理と人情に厚いパワハラ上司、その度胸と胆力には誰もが一目置く漢。
一言で言うと、そうね「THE昭和」です。
舞台もまさに時代が終わろうとしている昭和63年、あの時代を経験している者としては、何とも言えない郷愁を感じさせます。
パナマ帽、純喫茶のモーニング、コーヒーチケット、ポケベル、ショートピース、、、散りばめられたディティールから滲み出る昭和臭。この雰囲気が堪らない。
令和のコンプライアンスじゃ絶対に認められない、昭和だからこそ輝ける男。
何とも魅力的なキャラクターに仕上がってます、直接関わり合になるのは真っ平ごめんですが(爆)
前々から面白そうだなとは思ってたんですよ。でもホラ柚月先生、女性だから。
女性作家のヤクザものかぁ〜〜つって。
とんでもない偏見でした、誠に申し訳ありません。
柚月先生、『仁義なき戦い』の大ファンなんですって。ある意味これは、究極至高の二次創作と言ってもいいんじゃないでしょうか。
平成令和の御代に、昭和の息吹が見事に甦っています。
そういう意味では「昭和って、ホントにもう歴史になってしまったんだな」と感慨しきり。
っつーわけで、良くも悪くも「大上章吾」物語ですから、主人公の「日岡秀一」初めその他登場人物やストーリーが大上の個性に競り負けてしまうのは致し方ないところ。
そんな中、一人絶妙な立ち位置で花を添える小料理屋女将「晶子」の存在。
映画版ではカットらしいですが、、、ってッ、どーゆーことッ!?!?
大上の人間性を表現するうえで最重要キャラでしょうに。
悪徳暴力刑事の中に見え隠れする優しさこそが、大上の真骨頂なのでは。
映画は観てないので何とも言えませんが、嫌な予感しかしません。
主人公ながら特濃キャラ大上とコンビを組まされ、作中でも読者の印象からも立つ瀬がない日岡。
ですが流石柚月先生、粋なサプライズを仕込んでくれてます。
『孤狼の血』というタイトルと表紙に描かれたジッポー、プロローグ〜エピローグに物語が繋がったとき、思わず目頭が熱くなりました。
ホラ俺、ベタ大好物なんで。
いずれ続編も読むことになるでしょう。
THE「大上章吾」物語
★★★☆☆
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