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2021年06月14日15:36

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講座「120分でわかる西洋絵画入門」(講師・山田五郎さん)その1

NHK文化センターの1日講座に申し込んで拝聴してきました。
講師はBS日テレ「ぶらぶら美術・博物館」でおなじみの山田五郎氏。
山田氏は生まれは東京ですが、小・中・高校を大阪で過ごし(大阪の名門校として知られる北野高校出身)、関西で講演をするときにはくだけた関西弁です。

2時間駆け足で2000年以上の西洋美術を学ぶ!ということでしたが、当初ご本人が「2時間で終わるかなあ」と案じていた通り、尺に収まらず、予定をオーバーして2時間半の熱弁。途中、ダレることもなく、絵画の映像も交えてお話を堪能でき、楽しくて勉強になる、充実の講座でした。
以下、その概略です。


西洋文化とはゲルマン(ケルト)民族+ローマ(ギリシャ)文化+キリスト教(ユダヤ教)が融合してできたもの。それぞれ矛盾しているが、日本の神仏習合みたいに、異なる文化を合わせてつくられた。
キリストの誕生日って12月25日ってなってるけど、ほんとうはもっと前に生まれたらしいですよ。
それがなぜ12月25日になったか。
冬至からだんだんと日が長くなる。太陽が復活する。太陽信仰の民族にとっては冬至が大事なんです。それでこの日になったと言われる。で、クリスマスと言えばもみの木。
イスラエルあたりにはもみの木なんてありません。これはゲルマンのご神木。

こういった文化融合が完成したのがルネサンス。そして400年でそれが発展します。
10〜12世紀 ロマネスク(ローマ様式)
13〜14世紀 ゴシック
15〜16世紀 文化の融合
16世紀後半〜 マニエリスム→バロック→ロココ

紀元前7世紀〜4世紀、ギリシャ・ローマ時代の美術が、西洋絵画のベースになる。
リアルで、理想の肉体を立体的に描く。しかし壺絵ぐらいしか残っていない。
ただ、ポンペイに、当時の絵画が残されている。すでに遠近法を使い、陰影法で、グラデーションによって立体的に描かれている。

ゲルマン民族の大移動が375年。
彼らはローマの様式を真似します。
もともとキリスト教は偶像禁止だが、異文化に布教するため、「神様は人間と同じわけがない」とリアルには描かず、一見、稚拙な絵画です。
遠近法は遠いものを小さく、近くのものを大きく描きますが、それと違い、重要なものが大きく、そうでないものが小さい。
子どもの絵でもそうでしょう? お母さんやペットを大きく描いてるけど、お父さんは小さかったりする(笑)。

ゴシック、って言いますが、もとは「ゴート」というゲルマンのいち氏族の名前から来てます。ゴシックはゴート風様式(ゲルマン様式)のこと。
パリのノートルダム寺院、ドイツのケルン大聖堂を思い出してもらうといい。
やたら高く、ぐちゃぐちゃに装飾がある。
柱が多く、ステンドグラスから光が入る。まるで石の森のよう。
ゲルマンは森の文化です。
(ヒエロニムス・ボスの絵を掲示し)、この人、ダ・ヴィンチと同時代人ですが、私は「オランダの水木しげる」って呼んでます(笑)。妖怪みたいなのがたくさん描かれてるけど、よく見ると全然怖くない。

ケルト信仰は、日本の八百万の神と似ている。
キリスト教と習合すると、悪魔として地獄へ押し込む。
イタリアはビザンチン文化の影響が強い。
15世紀まで東ローマ帝国が残り、「イコン」と呼ばれる、なるべく記号的に描く絵画が見られ、これがギリシア正教、ロシア正教に引き継がれる。

ルネサンス絵画の扉を開いたのがジョット(1267ー1337)。同時代にダンテがいます。
彼の絵はだいぶ人間ぽくなってる。
そのあとに出てくるマサッチオ(1401-1428)は、フィレンツェ美術の父と言われます。(絵を掲示し)イエスとマリア、その母のイエスの祖母ですが、祖母が老人に描かれている。聖人は年を取らない、と言われていたけど、人間っぽく描いているわけです。
フィリッポ・リッピ(1406-1469)は、修道女と駆けおちしたりした、エロ坊主なんですが、その弟子がボッティチェリ。
そしてラファエロ(1483-1520)がルネサンスを完成させます。
(「小椅子の聖母」を掲示)すっかり人間っぽいマリアとイエスです。
当時、油絵の技法が、ベルギーで完成されています。
ルネサンスは古典の復興と言うけれど、ほとんど宗教画ですね。

ボッティチェリの「春」の真ん中にいる女神はマリアの姿を重ねているし、「ヴィーナスの誕生」で、海からアフロディーテが出てきてるのも、イヴを重ねている。
ギリシャ・ローマとの融合がルネサンスの本質。
スコラ哲学なんて、アリストテレスの哲学と、キリスト教の神学をどう融合するか、なんですから。
1400年代に、ヨーロッパのあらゆる文化において、ギリシャ・ローマとキリスト教文化の融合が完成したと言えます。
絵画はラファエロ、彫刻はミケランジェロがお手本。
イタリア人にとって一番の栄誉は、バチカンで仕事をすること。
ミケランジェロなんて、システィーナ礼拝堂、サン・ピエトロ寺院など作品つくりまくりですよ。
当時、ダ・ヴィンチ(1452-1519)は、職業画家としてはダメですが(笑)、アーティストとしては素晴らしいものがあります。
(「最後の晩餐」を掲示)フレスコ画って言いますね。
フレスコはフレッシュの意味。ホラ、京都が本社の「フレスコ」っていうチェーンのスーパーがあるでしょ?
漆喰が塗りたてで生乾きのときに描くとしっかり定着します。だから漆喰が乾く前に、速く描かないといけない。塗り重ねがやりにくい。
でもダ・ヴィンチは、フレスコ画に向いていないのに、「最後の晩餐」をテンペラ画の手法で描いた。
テンペラって卵黄、油、水で調合するんですけど、これを混ぜると何ができると思います? そう、マヨネーズですよ!
そりゃ、絵がカビるはずです。ダ・ヴィンチが受けた一世一代の仕事だったんですが。

彼の「岩窟の聖母」って2枚あります。
修道院の注文通りに描いてなくて裁判になり、裁判中に売って、もう1枚を描いた。そのもう1枚がロンドン・ナショナルギャラリーにあります。

ダ・ヴィンチって「モナリザ一発屋」なんですよ(場内爆笑)。
これ、フィレンツェの大金持ちの夫人の肖像画だったんですが、納期を守らず、もういらないと言われ、ダ・ヴィンチがずっと持ち歩いてました。それで何度も塗り重ね、30回ぐらい塗り重ねたのがわかっています。
スフマート、と言って輪郭のない陰影ですが、拡大してみて見ても、境目がない。
商品じゃないからこそできた絵です。
なぜモナリザがフランスのルーブル美術館にあるかと言うと、ダ・ヴィンチは本国で仕事がなく、フランソワ一世に雇われて、モナリザも持ってフランスに行ったからなんですね。

こうして1500年前後に、ヨーロッパの古典絵画の技法が確立します。
当時は宗教画(歴史画)を描く人が一番エラい! とされていました。
それは日本や中国でも同様ですね。寒山・拾得に材を採った絵とか・・

16世紀後半からは「マニエリスム」の時代。
マンネリ、の語源であり「マニュアル・手法」の語源でもある。
先人の手法・技法をまねただけ。でも、今見るとヘンでおもしろい!と再評価されています。

バロックとはいびつで丸くない真珠のこと。
ルネサンスがまん丸だとしたら、バロックは楕円です。
いろいろと強調しすぎ、やりすぎ!
カラヴァッジョ(1571-1610)がその代表ですが明暗対比(キアロスクーロ)、劇的表現を、もうやりすぎる!
スポンサーがカトリック教会で、プロテスタント教会への対抗上、劇的な表現の絵を描いてもらおうとしたんですよ。
カラヴァッジョ自身、劇的な人生というか、トラブルが多く、殺人も犯して逃げ回って・・という人。
ほとんど下書きせずに描いた、という伝説的な画家。
カラヴァジェスキ(カラヴァッジョの画法の模倣・継承者)が広まって、その影響を受けたのがルーベンス。ドラマチックな構図で、私も彼の絵を見に行ったとき、この絵の前にネロとパトラッシュが・・なんて思いましたが、地元の人は「フランダースの犬」の話なんて全然知らなかった。
そしてレンブラント。(「夜警」を掲示しながら)、これ、実は昼間の絵なんですが。集団肖像画のいわば「集合写真」です。
これがフェルメールになると、強すぎない、やわらかい明暗対比の作品になります。

ロココは、バロックがチャラくなった、と思えばいいです。バロックのごちゃごちゃがやわらかくなる。
大阪で好まれますよね? 喫茶店の内装とか・・猫脚の椅子なんかそうです(笑)。

これはフラゴナール(1732-1806)の「ぶらんこ」ですが(絵を掲示しながら)、左側の男に、わざとドレスの中をのぞかせているんですよ。これを蠱惑(コケットリー)と言いますが、チラつかせるこのやり方、これは「谷崎プレイ」ですよ!(場内大ウケ)。
フランスはこんなのばっかりやってる(苦笑)。

そうするうちに、市民革命で絵のスポンサーである、王様、教会がいなくなる。
一般市民がスポンサーになるんですよ。
産業革命によって、近代都市が出来る。
蒸気機関車が登場する。
そしてこういう機械のパワーが美しい、と思う考えーテクノロジカルサブライム、と言いますがーが出てきて、美意識が変わる。
さらに海外の情報が入ってきて、「写真」が登場します。

あかん!もう時間ないのに、まだ19世紀や・・・!

と、山田さん大慌て。
しかし、話はまだまだ続きます(このあとまとめも続く)。
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