今頃は、旨い酒を飲んでいることでしょう。
つーわけで、劇団前方公演墳 第二十三回公演
『恋が散る、雪が舞う』 観劇。金曜日。
http://zenpou.net/modules/news/article.php?storyid=30
かつて前墳の公演で、これ程期待と不安が交錯したことがあったろうか。
役者各人の日記ブログを読むにつけ、否応無く期待は煽られる。
軍装、髪型、役作り。漏れ伝え聞く情報に不安は募る。
前墳には、ファンそれぞれ公演それぞれの楽しみ方があるだろう。
「かつてよく知りたる平成の優男達が、どこまで大日本帝国陸軍軍人を演じきるのか」
今回私の関心は、この一点にほぼ集中していた。
語れば軍人役ほど、役者の役作りに対する入り込みが露骨に表れる役柄もあるまい。
軍服の着こなし、姿勢、発声、面構え、“天皇”という単語を聞いての直立不動、敬礼という短い動作の中にも確実に当時の軍人らしさというものがある。
芝居の巧拙ではない、役者のこの数ヶ月間が見える。
さて、これをどこまで作ってくれるのか、入り込んでくれるのか。
役者諸氏の演技力は今更言うまでも無いが、今回やはりこの入れ込みに多少の差が感じられた。
一番判りやすいのが頭髪である。
リスクも無くコストも殆どかからない誰にでも出来る簡単なことを、何故やらないのか。
役者としていかなる存念があってのことか。
機会があれば是非伺いたい。
とまあ、不安を拭い切れないまま観劇に至ったわけだが。
本編の芝居の方はというと、、、
これが、これが、、、
素晴らしかったッッッ
毎回毎回褒めちぎるのは自分でも気持ち悪いので今回はと思ったが、やはり良いものは良い。
だいたい二・二六事件をラブコメでやるっつーだけでも、相当な荒業でしょ。コメディーからシリアスへの切り替え。相変わらず見事な変わりっぷり。バルキリー→→→バトロイド並。
そして何と言っても、安藤大尉の熱演。
お得意の殺し屋1カットを見るに、中途半端に刈りやがって、五厘にせんか五厘に!ってのが第一印象。
しかし決起以降の芝居はもう堪らんかった。
鈴木貫太郎侍従長襲撃、奉勅命令のシーン。
憂国の激情をあの声量で叩きつけられ、不覚にも落涙。
『セブンガールズ』の少佐殿のガ島戦記以来です。
中野氏の声量は場を支配する魅力がある。
声といえば、野中婦人の円谷氏。
安藤大尉を動とするならば、こちらは静。
静かな抑えた芝居でありながら、凛とした武人の妻の佇まいを強く感じさせた。
音は空気中を伝わるただの振動だが、想いが詰まった声は魂をも揺さぶることが出来る。
素晴らしい作品でした。
遺族の方々を招待すると知ったときは、なんと恐れ知らずなと思いましたが、いらぬ世話でしたな。
近代日本史を題材に採る場合、とかく左右の思想に絡められがちですが、真実は万民に訴える力があるはずです。
歴史の大きなうねりの中で、ともすれば顧みられない当時を懸命に生きた人々の想い。
それを伝える大切さ。そして演じられる喜び。
「客席に居るのがちょっと悔しい」
シャバで自由の身になって数年。こんな気持ちになったのはこの作品が初めてです。
お疲れした。
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