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2026年09月19日16:02

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454冊目『ノーマンズランド』

誉田 哲也 (著)

姫川玲子シリーズじゃねぇーーかッ!!

だ・か・ら、表紙に書いといてよぉ〜〜
既に形骸化しつつあるとはいえ、一応「シリーズものは一作目から」っつー縛りあるんですから。
勿論各作品独立してるんで、シリーズ制覇は必須ではありませんが、全部読んでおいた方がより今作を楽しめるのも確か。
思った以上にゴリゴリのキャラ小説なんで、ドラマ版観てて良かったぁ(竹内結子さんの方)つってね。
各キャラクターたちの立ち位置や特性など、ある程度予備知識がある上で読み進められたんで大分助けられました。
今作からのシリーズ参戦だと、この複雑な人間関係の把握にかなりの読書リソースを割かれちゃって、ストーリーを充分味わえなかったかも。

何とッ、誉田先生とは九年振り。
233冊目『Qrosの女』
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1963140765&owner_id=263792&from=list_diary_title
面白くないとか合わないとかじゃなくて、シリーズものの多さを警戒して無意識に避けてたっぽい。

っつーわけで、普通に面白いです。
特濃キャラ×重厚なテーマ、リアリティ×エンタメの高次元融合。
で、何を隠そう今作を、「姫川玲子シリーズ九作目」とは露知らず借りてしまったのは、巻末の〈主要参考・引用文献〉にそそられたからに他ならず。
重厚なテーマとは、ズバリッ国防・安全保障です。
もっと的確に表現するならば、「日本国は如何にして日本国民一人一人の人権を守り得るのか?」とでもなりましょうか。
国家の存在意義とは?
言うまでもなく、国土と主権、そこに生きる国民の生命と財産を守ることです。
現状、我が国は残念ながらこの要件を完璧に満たしていません。
では満たすためにはどうすればいいのか?
そもそもこの問題に国民の大多数は関心が低く、現状を変えようとする動きにもその方法と道筋で激しい対立が生じています。
作中では拉致問題を通して、日本の安全保障体制の不完全さを浮き彫りにしていくのですが、、、

「大多数が享受する平和を維持するため、少数の人間の不幸には目を背ける」

現在この世界で冷徹に堅持されているこの大原則を、護っていくべきなのか改めるべきなのか、正直俺にも判りません。
現に今作で言及されている朝鮮民主主義人民共和国に限らず、チベットやウイグルやガザでも。
今この瞬間も世界では、国家による暴力に苦しんでいる人々がいることを我々は知っています。そして彼らが正義から見放されていることも。
厳然たる事実として言えることは、自ら血を流してでも苦しんでいる他人を助け出そうという酔狂な人間は、この地球上に殆ど存在しないということ。

しかし今作もう一人の主人公、「江川利嗣」は目を背けなかった。
国が助けてくれないのならば、俺がやるしかないという覚悟の暴走。
その暴走の前では、法の軛も良心の呵責も全く歯止めになりません。
読者は止むに止まれぬ彼の暴走を目の当たりして、この世界を動かしている「一殺多生システム」の是非を否応なく自らに問うことになるでしょう。
そしてそんな彼の魂の叫びを、現状を維持するために黙殺する国家権力。
一体何所が正義で誰が悪なのか?
じゃあ、江川はどうすればよかったのか?

無責任な立場から敢えて軽々しく言わせてもらうならば、そもそも江川の蛮行を隠蔽する必要ありますか?ってこと。
ありのままぶっちゃけりゃいいじゃん、自分には関係ないと高を括ってる大衆に現実を叩き付けてやりゃいいんですよ。
俺は日本国民の判断能力に絶望していません。
公正に情報が公開され、現状が正しく認識されれば、日本人は必ず適切な判断を下せるはず。
後は、その民意を後ろ盾に堂々と政治が動けば良い。
この期に及んで、国家権力による世論誘導や隠蔽工作なぞお呼びじゃありません。
騙して隠して胡麻化して、問題を無理矢理先送りする事なかれ主義は既に限界。
独立国家として法治国家として、今こそ法と現実をすり合わせ、戦後八十年の矛盾にきっちりとけじめをつける時ではないでしょうか。

、、、、、、。

ホラまたぁぁ〜〜、全然本の感想じゃないじゃん。まあね、反れるのは解ってましたけど。
重厚なテーマに引っ張られて吼えまくってますが、全然片意地貼らず面白く読めるんで御安心を。
えぇーーと、、、
兎に角キャラクターが素晴らしい。
先ずは「姫川玲子」という実に練り込まれた主人公。
自らも犯罪被害者という過去と、それを乗り越えた精神力に支えられた捜査手腕。
刺々しい雰囲気を振り撒くだけではなく、台詞の端々に添えられる漏れ出す本音の茶目っ気が可愛らしい。
そして美貌の裏に秘めた悪を絶対に逃さないという執念、その執念の更に下に隠された弱さ。
流石超人気シリーズの主役を張り続けるポテンシャル、この圧倒的魅力たるや。
そんな彼女を支える元姫川班の固い絆に和み、警察組織内の対立構図に驚き、変人の元監察医に苦笑して、新キャラのクールでキザな検事「武見諒太」が気に入ると。
この武見が姫川を向こうに回してやってくれます。
女ったらしのチャラ男がマジになったときの凄味には唸らされました。
姫川にいきなり好意を抱く展開がいかにも唐突に感じましたが、世のオラオラ系イケメンは往々にしてあんなもんなんでしょうw
そして作中随一の曲者にして姫川の天敵「勝俣健作」、勿論今作でも暗躍してますが、柄にもなく情らしきものをチラつかせちゃったりなんかして。
あのガンテツがッ!?みたいなサプライズもあり。
そーゆー意味では繰り返しになりますが、やっぱり全作読了とまではいかなくとも、ドラマくらいはチェックしてキャラ関係を抑えた上で読んだ方が絶対面白いです。
この特濃キャラ絡みを、関係性を知らずして読み流してしまうのは実に勿体ない。
それにしても改めて実感するのは、映像作品のイメージ固着力の凄まじさよ。
完全にドラマ版キャストで脳内映像変換されるもんね。
だもんで、姫川たちの捜査パートと俳優の顔が思い浮かばない江川たち拉致パートじゃ、全く別の作品読んでるみたいでした。

最後に一つ。
実は今作で一番印象に残ったのは重厚なテーマでも特濃キャラ絡みでもなく、姫川が似顔絵を「見当たり捜査班」に持ち込んだ件。
176冊目『盗まれた顔』
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1945969317&owner_id=263792&from=list_diary_title

ああーーッ!!それ知ってるッ!!つって、テンション爆上がり↑↑↑
マジでこんな捜査あるんかいって感じで驚きを禁じ得ません。
ホントこのジャンルもっと出張っていいと思うんだけど、、、皆気付いてないんかね?


『無人地帯』もノーマンズランドで被ったわ
★★★☆☆
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