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2026年07月08日09:14

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「夏帆」村上春樹(新潮社)

「村上春樹の3年ぶり16作目となる最新長編小説」との謳い文句で先週発売。

実は4章のうち2章は、文芸誌「新潮」連載時に読んではいたものの、「結末」は未読だったので、早速購入。

20代の絵本作家・夏帆(かほ)が主人公。
親しい編集者から紹介された、佐原という男と会ったところ、いきなり暴言を吐かれ、夏帆は憤慨する。
もう二度と会いたくなかったのだが、それを契機に、夏帆は唐突に「アリクイ」と遭遇し、お告げのように聞いた言葉に導かれて、東京都北区花畑から、武蔵境へと引っ越す。

ブラジルのジャングルからやってきたというアリクイは、夏帆に、商店街の「とぎや」(刃物砥ぎの店)に行って、密輸されたオイル漬けのシロアリの瓶をうけとってほしい、と懇願。

そして夏帆は、夢か現実かわからぬままに、刃物で「とぎや」の心臓を刺し、それによってアリクイ夫婦を追っていたジャガーを退散させたのだった・・

以下、「シロアリの女王」がとり憑いた、夏帆の母親との対決とか、夏帆の「守護天使」だと主張する佐原との再会とか、摩訶不思議なエピソードが続いて行きます(;´∀`)

村上春樹の古くからの読者なら、このような「不条理極まるシチュエーション」は、よくあるパターンなので、ああ、またか・・みたいな感じも受けるのだが、本書を初めて読むかたには「なんだこりゃ?」の連続だろう。

過去の小説の焼き直しっぽい設定(主人公が突然、ワケわかんない状況に追い込まれ、右往左往しながら解決を図ろうとする、動物が出てきて人間の言葉を喋り、意味深な話をする、「邪悪なもの」と無力な者が対抗して、それを取り除こうとする、異界と現実世界との「通路」が突然出来る、等々)が多くて、長年の読者としては「村上センセイ、ネタ切れ?」という気がしてしまったのだが。

かつてよく長編に出て来ていた「損なわれてしまう」というキーワードは「失われてしまう」に変わっていただけだし。

村上氏は近年、思わぬ病気をして入院したと、「夏帆」発刊直前のインタビューで答えていたが、あの、いわば健康オタクのような村上さんも80歳近くになれば病気になるんだなあ、とわたしもしみじみ(朝早く起きて、食事に気を使い、マラソンもこなすのが村上さんの生活である)。

その入院生活で新境地を開いたのかと思いきや・・アシカや羊がアリクイに変わっただけ??

ただ、リーダビリティーがあって、物語に没入させてしまう筆致は相変わらずです。
丸善ジュンク堂博多店で購入したら、「アリクイとジャガー」のシールがおまけについてきましたが、これ、全部の書籍に入ってるのかな? もうヤフオクに出てたりしてね。
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