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2025年10月13日10:39

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428冊目『成瀬は信じた道をいく』

宮島 未奈 (著)

「なにしてくれてんねん」

まさに、「なにしてくれてんねん」なのである。
あんたがそんなんしたらッ天下どころか、「今年の一冊大賞」まで取ってまうやないのッ!!

「オイオイオイッこれ以上面白くなるんじゃないッ!!」

かつてこのような心境で、小説を読み進めた読者が存在したであろうか。
私はライバルの新刊を書店で立ち読みしている売れない新人作家ではない。面白い作品をこよなく愛す普通の一読者である。
何故このような心境に至ったのか、それを明かすには年末の「第十六回 今月の二冊から選ぶ今年の一冊大賞」まで待たねばなるまい。
今は「成瀬」の感想を素直に語ることしかできないのである。
否、語りたい喋りたい話したい、誰かに聞いてほしい、感想メモ五枚に刻み込んだこの思い。

150万部突破ッ 二年連続本屋大賞受賞ッ メディアミックス進行中ッ

ハイハイ人気なんでしょ。
まあね、一見して俺好みじゃねぇし、図書館で借りるとしても数年先、その頃には人気も落ち着いてるんじゃないですかと。
そしたら、職場の読書仲間が持って来てくれまして。しかもサイン本。
ゴリゴリのオッサンに小娘主人公のラノベ押し付けられても、正直ありがた迷惑なんですけど。
まあ、折角だから一応読んではみますけどね、、、

、、、ヤベぇマジで、「かつてなく最高の主人公」が現れたんじゃないですかコレはッ!?

文句なしに面白いッ!!
今一番“売れている”というその勢いをまざまざと感じます。
物語というより作品そのものから、凄まじいエネルギーが放出されとる。
女学生が主人公の日常ものなんで内容は薄くて軽め、サクサク読めちゃいます。
故に、名著から得られるような深い感動や新しい知見などは皆無。
しかしッこの面白さを前にして、そんなことは最早どうでもいい。

今作が読者に提供してくれるのは圧倒的共感。
日本人ならば誰もが感じるであろう日常あるあるの大洪水。
その日常の定型に、いそうでいない最高主人公「成瀬あかり」をブチ込んで起こった化学変化をほくそ笑む作品かと。

成瀬来るか、、、来るか、、、キターーーーーーッ!!

↑読中何度も味わうことになるこの快感を求め、俺もすっかり成瀬ジャンキーの仲間入り。
具体例を挙げるに、第三話「やめたいクレーマー」呉間氏目線からの成瀬登場シーン。
まさにあの中表紙から飛び出して来たかの如く。
この瞬間の安定感、勝ち確定感たるや、、、読んだ人なら解るでしょ解るよねw
ドーパミンかβ-エンドルフィンか知らんけど、脳内快楽物質ドバドバ状態。
マジで、「かつてなく最高の主人公」っつー通り名は伊達じゃない。
この強烈な個性は、読了四百冊俺的活字最強主人公、あのッ「壬生宗十郎」にも匹敵するレベル。
91冊目『流され者』
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1883771443&owner_id=263792

しかも、ここがホントに凄いとこなんだけど、「成瀬あかり」は日常を生きる一般人であるということ。
決して「壬生宗十郎」のような歴史の闇に蠢く超人でもなければ、カリスマ的猟奇殺人犯でも超能力を駆使して闘うスーパーヒーローでもない。
我々と同じ現代日本で生活する普通の一般人、ちょっと(かなり)変わってるというだけ。
どこにでもいそうな女の子でありながら、どこにもいない最高主人公ってとこが「成瀬あかり」を「成瀬あかり」たらしめてる核なのです。

どうせ実写化企画動いてんでしょ?
底知れぬ天然と滲み出る知性から放たれる圧倒的制圧力を有し、丸刈りをも厭わぬ役者魂を併せ持つ凛とした美少女。
表紙のイメージがドンピシャ過ぎて、成瀬を演じ切れる女優が全く思い浮かばん。
どうしてもというならば、成瀬役は新人から厳正オーディションで選びに選び抜いていただきたい。

では、日常を生きる一般人が最高主人公になれる秘密、既存の女優では演じ切れない魅力とは何ぞや?
それは自分自身を信じること、絶対的自信に他なりません。
まさに「信じた道をいく」を地で行く生き様こそ、成瀬の真骨頂。

世の中の誰もが自分の信じた道をいきたいはず。
だけど日々の生活の中で、自分の意志を貫き通すということは中々出来ることじゃない。
本来ならば誰でもできることなのに、殆どの人ができていないこと。
皆が少しづつ自分を抑えて、周りに合わせることでこの社会は成り立っています。
このガチガチに凝り固まった常識ってやつを、その天然成分だけで軽々とブチ破る痛快さ。それこそが最高主人公「成瀬あかり」の魅力。
誰もが共感できて応援したくなるし好きになる。
宮島先生、デビュー作で何ちゅうキャラ拵えてくれてんねんッ!!

最高主人公が登場するだけで勝ち確するんで、温存しつつ脇で回す展開多め。
脇も良いキャラ揃ってますけど、やはり盟友「島崎みゆき」について語らねばなりますまい。
成瀬の親友にして「成瀬あかり史」の見届け人、M-1制覇を目指し成瀬が結成したお笑いコンビ「ゼゼカラ」の相方という最重要キャラクター。
筋金入りのキャラ小説でありながら青春小説ですから。
青春といえば友情と恋愛と部活動でしょ、、、う〜〜ん、一応?全部あります。
中でも一番割かれているのが島崎との友情描写。
中学時代から始まって高校から大学と、常に寄り添っていくのかと思いきや別々の高校に進学するという展開でビックリ。大学に至っては京都と東京で物理的にも完全隔離。
成瀬は勿論信じた道を、島崎は島崎で自分の道をいく。
付かず離れず絶妙な距離感、うら若き乙女にしてこのちょっとドライな感じ。嫌いじゃないです。
盟友島崎を一旦退場させることで、成瀬が新キャラと絡む展開が生まれ、そして何より島崎の再登場が盛り上がるという、チェーンコンボ無限ループ読者ハメ殺し状態。
V3がピンチのときに1号や2号が助けに来る回って、めちゃめちゃテンション上がる↑↑↑じゃん、アレアレアレ、あの感覚ですよ。

「膳所から世界へ!」
世界はちょっと厳しいかもしらん、外国人にあるあるは効かない。
だがこのまま信じた道をいけば、天下は取れる。
★近畿地方における滋賀県大津市膳所の微妙な立ち位置
☆コロナ禍の空白を埋めようとした成瀬のSEIBU愛
★登場人物の殆どが標準語を話す滋賀県民、その口から不意に漏れ出た関西弁の威力の凄まじさ
☆近所のマンションを「レイクフロント大津におの浜メモリアルプレミアレジデンス」と正式名称で呼称する成瀬の凄味

老若男女全ての方におススメします、特に俺みたく斜に構えて避けてる層ね。
どんな人も成瀬に会えば必ず元気が貰えるはず。
12月にはシリーズ完結編『成瀬は都を駆け抜ける』刊行とのこと。
今からでも遅くないッ!!是非貴方も、今一番勢いがある作品のパワーをその身で体感していただきたい。
皆でミシガン乗っちゃおうぜ♪


小説を読んで笑ったのはいつ以来か、郷土愛を感じたのはいつ以来か、西武沿線より愛をこめて
★★★★☆
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