福田 和代 (著)
先ずは表紙。
主人公である「榊史奈」が描かれてます。
手元に実物がある方は、是非背表紙を見開きでご覧いただきたい。
何と言う美しい前傾姿勢であろうかッ!!
困難に立ち向かわんとする彼女の強い意志が伝わってきます。
超人的な身体能力と眠らない特殊体質を併せ持つ甲賀忍者〈梟〉の末裔たち。
彼らは滋賀県山奥の集落〈里〉で、社会とは最低限の接点を保ちつつひっそりと暮らしていた。
そんなある晩、〈里〉が銃で武装した謎の集団から襲撃を受ける。
誰が?一体何のために?
只一人難を逃れた史奈の孤独な闘いが始まる、、、
壮絶なバトルアクションの予感。
甲賀忍者と多分どっかの特殊部隊、某国の工作員かはたまた陸自の特殊作戦群か。
戦国を生き抜いた忍術 vs. 重火器装備の現代戦術。
期待をパンパンに膨らませながら読み進めるに、、、全然違いました(哀)
アクションものといえばアクションですが、その濃度は予想よりも遥かに薄い。
無理矢理ジャンルを定義するならば、医療SF?
ここでもう一度冒頭のあらすじを確認。
注目すべきは甲賀忍者の末裔というキャッチーな設定や、彼らが有する超人的な身体能力ではありません。そもそも武将集団の襲撃もストーリーの核心じゃないっつーね。
では今作のテーマは何か?
「眠らない特殊体質」
コレ、この一点に物語は収斂していきます。
オイオイそっちかぁ〜〜いッ!!
というのが偽らざる第一感想、いやあの入りだと誰もがバトルアクションを期待すると思うんですが、俺の偏見ですかね。
史奈があの前傾姿勢で急行していたのは戦場ではなく、医療施設だったと。
豪快にネタバレしてますが、ここは俺みたいな犠牲者?を出さないためにも明言すべきと判断いたしました。
そうなんです、SF風味の医療ものなんですわ。
作品を決定付けるストーリーの方向性は勿論、各キャラクターの行動原理や台詞回しに読中終始、猛烈なる“コレじゃない感”が漂います。
〈里〉が襲撃され住民が一人死亡するという序盤の所為で、この先の展開が雁字搦めにされてしまった感が、、、
そもそも甲賀忍者要素いるか?
普通に特殊体質者を治療する話でいいんでない?
メインディッシュであるはずのアクションが完全なる添え物状態。
本来ならば史奈は逃げることもなければ闘うこともないんです。
普通に冷静に話し合えば済むこと(嗚呼、死者さえ出ていなければ、、、)
だって忍術バトルアクションじゃなくて、特殊体質を治療する話なんですから。
おまえが勝手に勘違いしただけだろって、まあその通りなんですけど。
福田先生とは八年振り二戦目。
235冊目 『怪物』
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1963374201&owner_id=263792
ちょこちょこ今作とカブってます。
そうなんです、目の付け所は良いんですよ。
甲賀忍者の末裔を謎の武装集団が襲うなんて、最高に滾る導入部じゃないですか。
でもそれを肉付けしていくキャラクターやディテールの作り込みが致命的に弱い。
主人公側の後手後手や、唐突に捩じ込まれる特殊能力は今作でも健在で苦笑い。
やっぱ作家さん各々のクセって、結構あるもんですよねぇ〜〜
読了四百冊突破にして、大分掴めるようになってきましたよと。
最後にオマケ。
「梟の一族」、何と始祖が「藤堂高虎」という設定。
前回からの奇妙な一致に、ちょっとばかしテンションが上がった次第。
で、作中触れる程度に高虎の説明が入るんですけど、正直安部先生入魂の大長編より、福田先生のこの数項の方が的確に高虎の実像を捉えていると思いました(爆)
少々ネタバレが過ぎましたゴメンナサイ
★★☆☆☆
ログインしてコメントを確認・投稿する