mixiユーザー(id:263792)

2021年12月28日22:45

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337冊目『鏡の背面』

篠田節子著

惜しいッ!!
凄ぇえ話ですよコレは。
そう、頭では凄い話を読ませてもらったという感想なのだが、それがイマイチ心に響かないっつーか。
信長本人からではなくて太田牛一から信長の話を聴いてるみたいな、、、それでも十分凄いんですけど。

薬物依存や家庭内暴力など問題を抱える女性たちが共同生活する施設「新アグネス寮」が落雷による火事で全焼、代表の小野尚子が焼死した。
検死の結果、焼死体が別人のものと判明する。
更に驚くべきは、80年代に起きた連続不審死事件の重要参考人であった半田明美と歯科治療記録が一致したという。
複数人が共同生活する衆人環視の中、一体いつの間に入れ替わったのか?
日本のマザーテレサと慕われた聖女と次々と男たちを闇に葬った稀代の毒婦。
想像を絶する二人の過去とは、、、

謎を追う探偵役として二人の主役が配されてます。
施設のスタッフとフリーランスの記者。しかしながらこの二人のキャラが絶望的に薄い。
と、言うよりは、余りに小野/半田の聖女&毒婦振りが強烈過ぎて霞んでるんですね。
まさに、信長と牛一の関係。
女性が避難生活を送る共同施設が舞台ということもあり、女性キャラのみで展開する序盤は男性読者にとってはアウェイ感が漂う。
特に記者の山崎知佳は台詞の端々に刺々しさが感じられ、このままソフトにラディカル・フェミニズム路線なのかな?とやや距離をとったところで今作MVP、アクの強い元週刊誌敏腕記者「長嶋」の登場。
良い意味でも悪い意味でも一番人間臭いキャラ、メチャメチャ嫌な奴だけど頼りになる男。
まさか俺も、口が臭い糖尿持ちのオッサンがこんなに活躍するとは思わなんだ。

兎に角謎は一点。
DNA鑑定と歯科治療記録で、小野尚子と半田明美の入れ替わりは物語の早い段階で確定します。
いつ入れ替わったかも大体目星は付きます。
問題は小野尚子に成り済ました半田明美に同居者の誰もが気付けなかったこと。
同居人が他人と入れ替わっているのに、気付かないなんてことあります?
まさにこの一点ッ この一点の読書牽引力がまぁ引っ張る引っ張る。
一体どうやって血も涙もない連続殺人犯が、日本のマザーテレサと呼ばれた聖女を長期間に亘り演じ続けることが出来たのか?

俺もさ、この難問をいかにして読者に納得させんだろうっつって、興味津々で読み進めてたわけですよ。
そしたらさ終盤、あられもない方向に物語が転がり出しまして、、、
残り少ないページ数を確認しながら、オイオイこれどーすんのよ?と大いに戸惑い、、、
すわッまさかまさか夢落ちクラスの禁じ手発動か?と戦慄し、、、

、、、、、、。

結局終わってみれば、落ち着くとこに落ち着いたのかなって感じ。
何かさ、心理学であんでしょ、初めに無理難題な要求して一回断られた後に本命のお願いするみたいな。
ハッキリ申し上げて本落ちもかなりブッ飛んでます。
さりとて一時は夢落ちクラスの禁じ手を覚悟した身としましては、これはこれでアリなのかなぁと妙に納得させらてしまった次第。
篠田先生の作戦勝ちですね。
っつーか、この荒唐無稽な話を読者に納得させるだけの筆力、ディテールの作り込みが素晴らしい。
ネタバレになるからあんま詳しく書けねぇけど、ホントこの夢落ちクラスの禁じ手の件は引きずり込まれます、マジ怖いよ。

本当の人助けとは?
困難に直面している人を真に救うにはどうしたらいいのか?

うん、皆さんそれぞれお読みになって御自分で確かめてみたらいいじゃない、ホント凄ぇ話だから。


小野/半田視点で読んでみたい
★★★☆☆
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