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2019年07月28日12:17

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284冊目 『冬を待つ城』

安部龍太郎著

予告通り連荘で安部先生です。
小説のジャンルの中でも歴史モノが好きで、それこそ過去何十冊と読んできましたが。
これほどまでに一方的な善悪二元論、偏向・肩入れ・依怙贔屓を見たことがない。

「豊臣ファン達は不満よな。連隊長 動きます。」

って、時事ネタで遊んどる場合じゃねぇッ!
勿論、作家さんがどんな小説を執筆しようが自由。
しかし当然それに平行して、読者も好き勝手に批評できるわけで。
「タダで読んどいて偉そうに語るんじゃねぇッ!」というご指摘もあろうかと思います。
それにつきましては、、、返す返す申し訳ありません。
あっ、でもですね、年間ベストワンである「今月の二冊から選ぶ今年の一冊大賞」に選出された作品は購入してますんで、今のところはそれでご容赦下さい。
っつーわけで、今回も吠えます。

題材は秀吉の天下統一最終段階、奥州仕置における「九戸政実の乱」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%9D%E6%88%B8%E6%94%BF%E5%AE%9F%E3%81%AE%E4%B9%B1

前回「レオン氏郷」では僅か1ページ半の記述だったのに、今作でまるまる一冊に。
東北に関わりが深い氏郷を描くうち、九戸政実に触れて創作意欲を刺激されたのではと推察致します。
全編に溢れる東北愛、それに反比例する中央憎悪。
曰く、古代は阿倍比羅夫の侵略に始まり、藤原三代の栄華を滅ぼした源頼朝、今作の題材でもある豊臣秀吉による奥州仕置、江戸時代の飢饉、幕末の戊辰戦争、そしてフクシマの原発まで、歴史上常に東北地方は中央から侵奪され続けてきたと。
テーマである奥州仕置から話が逸脱してると思うでしょ?いえいえ、主人公がイタコの降霊で東北の悲惨な歴史を追体験する場面があるんです。
巻末解説においても作家の熊谷達也先生がそのことに触れ、この小説は秀吉の奥州仕置を借りて、差別され続けてきた東北民の怒りの声を代弁していると述べられてます。

「オイオイオイッちょっと待ってくれッ!!」

俺たちは同じ日本人だろッッ
東北人とか九州人とか、そんな括りで考えたこと生まれてこの方一度も無ぇわッ!!
大勢の日本人を一部の権力者と同一視するのはあまりに極論。
当然俺は東北地方の住民に対し、差別意識なんか微塵もありません。
東京一極集中は確かに問題ですが、人・モノ・金が都会に集まるのはいかんともしがたいところ。
一個人の意見ですが、東京で使う電気を福島で発電するのが不公平と言うなら、東京湾に原子力発電所おっ立ててもらっても一向に構いません。
沖縄の基地問題とかもそうですけど、憎悪を煽り立て地域対立を激化させてんのは誰だ?と。
実際に放射能や米兵に怯えたことがないからそんな無責任なことが言えるんだろうと反論されるかもしれませんが、そうなると当事者以外誰も発言できなくなってしまう。

地域対立に限らず、格差・性別・保守/リベラルなどあらゆる価値観の相違によってこの国は分断されつつあります。
もうね、ホントそれが悲しくて。
俺たちは同じ日本人だろッッ
今一度問いたい。
「憎悪を煽り立て対立を激化させてんのは誰だ?」と。

再度巻末解説を引用します。
以下熊谷先生の文章なんで、安部作品の感想文に書くことじゃないんですけど、どうしても看過できない一文がありまして。

>たとえそれが、一人の作家が産み出した仮説としての虚構であったとしても、十分な説得力があれば真実になり得ることを『冬を待つ城』は教えてくれるのである。

そんなことはない。
小説は小説、虚構が真実になることは断じてありません。
ましてや歴史小説という娯楽の枠を越え、東北地方は常に中央からの収奪にさらされてきたと訴えるならば、その根拠はあらゆる感情や思考の偏りを徹底的に排し、厳格に篩に掛けられた歴史の真実のみであるべきです。
熊谷先生の作品も拝読してますし、他人の意見は尊重すべきですが、これだけは絶対に譲れない。

そうなんです、普通歴史小説の感想でこんな野暮なこと言いませんよ。
でもね、この作品は只の小説と流せないパワーを発散してるのも事実。
そもそも何百年も前の祖先の因縁を現代の世代に引き継がせること自体が不毛。
言うまでもありませんが、これは負の歴史を封印しろってことじゃありません。
被害者と加害者、真の相互理解の為にも双方が学ぶ歴史は絶対に真実でなければならないのです。

ふぅ〜〜〜取り敢えず今作の思想信条・主義主張に対して俺なりの意見をブツけさせていただきました。御無礼は平に、、、
さて、エンタメ面ですが、、、面白かったです。って、面白いんかいッ!
そうそう、主義主張に賛同するのと面白いかはまた別の話。
兎に角まぁ盛り沢山。
軸は勿論歴史小説なんですが、籠城時の重要戦略物資である硫黄紛失のミステリーあり、イタコで歴史を遡るファンタジーあり、狐憑きのホラーあり、果ては官能小説ばりの絡みありといった案配。
キャラクターもそれぞれ立ってます。
先ずは九戸四兄弟、剛毅な長兄、マルチな次兄、下衆の三男、主人公の四男。
っつーか、まるっきり北斗四兄弟ですけどw
今作でも愛されてます蒲生氏郷、生真面目一途、東北の民。
そしてボロクソにディスられてます、我等が石田三成(哀)
今や戦国きっての人気武将ですよ?
あんな秀吉の米つきバッタみたいな男が、関ヶ原で兵を起こせますかね。
よりにもよって私利私欲に走るなんて、杓子定規な正義を押し付け反感を買った三成からしてみれば最も遠いイメージだと思うけどなぁ、、、

あと○○○○ね。
そりゃ岩手県民はウハウハでしょうよ。九戸も南部もアゲアゲ↑↑↑ですから。
でも○○県民は納得いかねぇんじゃね、秀吉から東北を守るっつってんのに俺たちだけイイトコなしかよ?みたいな。
まあでも安部史観ですから→九戸方は善、豊臣方は悪。
あ〜〜〜あ、また蒸し返しちゃってるよゴメンナサイ。
来たるべき朝鮮出兵に備え、寒さに強い東北民を大量動員するっつーのが黒幕の魂胆なんですが、文禄・慶長の役で実際に出征したのは西国の民なわけです。
この件を九州や中四国で、秀吉に無益な戦にかり出されたとか、中央に使い捨てられたとかの怨み節を聞いたことは一切ありませんけど(ちなみに福岡県出身です)
蝦夷だけじゃなく熊襲も中央と対立してたでしょう、秀吉は西国も攻めてますし、西南戦争や不平士族の反乱もキッチリ鎮圧されてます。
確かに東北の方がより過酷だったのかもしれませんが、何も東北地方だけが中央から目の敵にされ続けたってことはないと思いますけど。
九州出身で東京在住の俺には伝わってないだけなのかな、、、
でも、俺たちは同じ日本人だっていう気持ちだけは本物なのです。


反発心から三成愛再燃w
★★★☆☆
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