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2026年04月04日12:09

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440冊目『残月記』

小田 雅久仁 (著)

「小田雅久仁」

既に私の読書歴へ記されていたこの五文字が、今作によって、より深く刻み込まれることとなった。
夢中で読み耽るほど面白いわけでもなく、高らかに好きだと宣言できるわけでもない。
万人には薦めない。が、新しい読書体験を求める者には強く推したい。
読了四百冊を超えて尚、湧き上がる唯一無二の読後感。
この比類なき独自性こそまさに現代文芸界の異能、「小田雅久仁」そのものなのである。

↑ 榊原良子voice で脳内変換して下さいw

書き辛いんでいつもの口調に戻しますよと。
格好付けんのはノンフィクションだけにしとけっつーの。
まあね、虚勢で格好付けてみたくなるくらい打ちのめされたわけでして、、、

「こっから先は、超濃厚小田汁還元祭り会場に突入するッ総員覚悟完了せよッ!!」

っつーか俺、小田先生の過去刊行作品全部読んでっから。刊行作品全作読破してる唯一の作家さんです。
良かったら過去読了作の感想文も読んで、小田汁に耐性付けてって下さいまし。

154冊目『本にだって雄と雌があります』
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1934891854&owner_id=263792
179冊目『増大派に告ぐ』
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1947272191&owner_id=263792
399冊目『禍』
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1988670723&owner_id=263792&org_id=1988718823

そうなの、全部三つ星止まり。
しかし、星だけでは判断できない何かが確実にある。
面白い/面白くない、好き/嫌いというありきたりな物差しでは測り切れない凄味。
過去読了作同様今作も、面白くないし好きでもないのに目が離せない。
いつのまにやら月の妖しい光に惑わされ、幻想怪奇譚全三編。
それでは覚悟完了された方からどーぞ。


「そして月がふりかえる」
月がふりかえったとき、世界から弾き出されてしまう男の話。

小説読書中における最大の禁忌とは?
それは、この後の展開を先回りして読んでしまうこと。
やってもうた、、、我慢できなくて、、、そう耐えられなかったんです。
耐えられなかった、、、何に?
まるで描写されるその場面に縫い付けられたかの様な、圧倒的臨場感と凄まじいまでの緊迫感に。
この先主人公がどうなるか確認して安心しなければ、一行たりとも読み進めない。
こんなことあります?
俺は読者ですよ、物語を読者という絶対安全圏から俯瞰しているにもかかわらず、ここまで緊張させられてしまうんだという驚愕。
四百冊超小説読んできましたが、このレベルの緊張感(決して恐怖ではない)を味わせてくれた作品は片手に満たないはず。
あの屋根裏のシーン、是非今作を手に取って体感していただきたい。
読書の概念がちょっと変わるかもよ。

世界から弾き出される≒今までの人生で構築した人間関係がリセットされる
自分は自分のまま、パラレルワールドに飛ばされるイメージ。
月がふりかえった世界で、家族から認知されず恐慌状態に陥る主人公。
人間関係が完全にリセットされた異世界。
もし俺も世界から弾き出されたら?

、、、あんまダメージないかも、、、

↑コレを自覚したときの気分つったらもう、、、ね。
俺は耐えられたけど(孤独耐性高レベル)、モロ直撃の読者もいるんじゃないでしょうか?
皆も抉られないように注意してね♪


「月景石」
枕の下に置いて眠ると、夢の中で月世界に行ける不思議な石の話。

「そして月がふりかえる」の息苦しいまでの緊迫感とは打って変わって、ファンタジー色全開。
スイマセン全然面白くなかったです(爆)
読中何度ウトウトと落ちかけたことか、、、
って、まさかッ!!
眠気を誘って読者を疑似的に月世界へ導こうとする、高度な演出なのではッ!?!?


「残月記」
表題作。独裁国家となった近未来の日本で、剣闘士として生きる男の話。

小説読書中における最大の禁忌とは?
それは、この後の展開を先回りして読んでしまうこと。
何とか、、、我慢できているが、、、このままいけば耐えられそうにない。
耐えられそうにない、、、何に?
俺をわざわざ逆撫でしてくるNGワードの絨毯爆撃に。
この先物語がどうなるか確認して安心しなければ、一行たりとも読み進めない。

『顔のない愛国者たち』、『救いようがない日本の救い方』、『“愛国者”はどこにいるのか』
思えば「そして月がふりかえる」から剣呑な空気は醸し出されていた。
「残月記」で更に加速。
救国党、内務省、国家資本主義、「日本をまともな国にする」等々。
優雅に囀るはずの炭鉱のカナリアは、今や沈黙をも打ち破り、狂ったように啼き叫んでいる。

退くか、、、439冊目にして初の読書放棄作品となるか、、、
それはそれで、小田作品の特異性を際立たせることになるだろう。
(あと半歩でも左に寄らば斬る)
鯉口を切り、読み進める。

ッッ!!
、、、いつ間合いに入られたッ!?
完敗。
気付いたら殺気は綺麗サッパリ往なされて、物語に没頭してましたとさ。

俺ゴリゴリの天邪鬼なんで、ディストピアものって反発したくなるんですよね。
現代の日本社会が皮肉られてると尚更。
空元気でも何でもなく、この世界に絶望してないし憎んでもないし。むしろ愛おしいんで。
「酷いよね、もう無理だよね、怒っていいんだよ、泣いていいんだよ、ねえ貴方もそうでしょ?」って、グイグイ来られても「いや別に」となっちゃう。

ヤツめ、この捻くれ曲がった防衛網を易々と突破してきやがった。
今作でディストピアという帆布に描かれているのは、憎悪や絶望、現実の揶揄ではなく、人生と愛だから。
過酷な運命に抗い懸命に生きる主人公「宇野冬芽」の人生。
その冬芽の支えとなり深い絆で結ばれる「瑠香」の愛。
人は何のために生きるのか?
とことん突き詰めていけば、誰もが悔いのない生き方と愛すべき人を求めているのではないでしょうか。人生の真理といってもいいかも。
やっぱねぇ〜〜真理は強いっスわ、万人に刺さる。
と、どっちにも縁がない男がほざいても説得力無ぇえ〜〜(哀)
いいもん、気楽に自由で幸せだから♪


ってな感じで今作でもちゃっかり抉られてしまったわけですが、皆さんは如何でしょうか?
小田作品はどれもホントに強烈なんで、未読の方は是非御一読を検討していただきたい。
今作含め全四作品、好き/嫌いは分かれると思いますが、どれを読んでもブッ飛ばされること請け合いです。


こんだけ上げときながらやっぱり
★★★☆☆
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