貴志 祐介 (著)
郊外に佇む宏大な屋敷、宿業を背負った一族、戦国時代からの因縁、連続猟奇殺人事件、、、
既に横溝役満状態。
さ・ら・に、貴志版『呪術廻戦』ともいえる、、、否、「“呪物”廻戦」か。
兎に角、曰く付きのアイテムが次から次へと出るわ出るわ。
植木・筆・ミイラ・掛け軸・刀剣・盃・鎧兜・能面・市松人形、果ては逆十字架から映画フィルムまで。これで全部じゃありません、多過ぎて途中でメモるのやめたぐらい。
多過ぎッ!!
作中でも呪物同士が効力を打ち消し合ってる状態。
そのまんま読んだときの恐怖も薄めてくれます。
呪物それぞれの由来はどれもこれも悍ましいのですが、こうも多いとどうしても一つ一つの印象が薄くなってしまう。
終盤、逆五芒星の呪いを阻止するためのシチュエーションが繰り返されます。
五体の遺体、五つの呪具、五隻の屏風、五振の守り刀、、、それぞれ遺体が安置されている五部屋を廻りながら同じ様な展開が続きます。
くどいッ!!
しかも主人公は電話でアドバイスを受けながらなので、最終決戦のテンポが悉く損なわれてしまってます。
呪いという本筋から恐怖を取り払い、曰く付きアイテムの背景を物語る蘊蓄満載の短編連作といった趣。
っつーわけで、今作の醍醐味は本筋に非ず脇にこそあり。
出番僅少ながら、主人公に付き纏うストーカー女「下川李々子」の圧倒的存在感。
こいつがどんな呪具より遥かに怖ぇえッ!!
やっぱ生身の人間の恐ろしさに勝るものはありません。
っつーか、「市松人形」何処いった?
続編ヤル気満々じゃん。
それともう一つ、ジワジワと忍び寄る恐怖がこれまたエグい。
相談している専門家が悪徳かもしれない?という疑心暗鬼。
呪いの防ぎ方や怨霊の祓い方なんて、どうしていいか皆目見当もつかないじゃないですか。
藁にも縋る思いで頼った霊能者が裏切ってるとしたら?
いやぁ〜〜これは怖い。
別に怪奇現象とか特別な話じゃなくて、医療とか法律でも起こりうる話。
悪徳とは言わずとも無能だったら?
数年前、実家の抵当権放棄で義理の母が依頼した行政書士の先生にお世話になったことがあるんですが、初めて紹介されたときのあの不安感は生涯忘れられません。
本当にこの人たちを信じて任せても大丈夫なのだろうか?
セカンドオピニオンで全く違う治療法を提案されたら?
その何十万もするインプラント、ボッタクられてるかもよ?
いくらネットで検索してAIに相談しようとも、最後に決断するのは自分自身なのです。
稀代の霊能者「賀茂禮子」、貴方は信じられますか?
『我々は、みな孤独である』来年に繰り越し
★★★☆☆
ログインしてコメントを確認・投稿する