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2026年02月07日10:19

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映画「赤ひげ」(NHK-BS)

最近、なかなか映画館にも行けなくて、撮りためてるBSの映画を見る。

保本(加山雄三)は、長崎で3年半医学の修行をして江戸にもどってくる。
最先端のオランダ医学を学びエリート意識が強い。将軍家の医者に召しかかえられるものと思っていたら、なんと命ぜられたのは小石川養生所。

そこは貧しい患者たちがひしめき、死臭が漂っている。医者の報酬だって少ない。そして養生所を取り仕切る、皆から赤ひげ、と呼ばれる男(三船敏郎)は、独善的で無愛想。
保本は、こんなところはさっさとやめて出ていく、とやさぐれてしまう。

そこには治療費も払えないような貧者もいれば、大店の娘ながら、店の男に性的暴行を受けて気がふれてしまった女(香川京子)も。
赤ひげは保本に、蒔絵師だった六助(藤原釜足)の臨終のさまを見させる。
六助の死後、彼の娘おくに(根岸明美)から、一家の壮絶な過去を知らされ、赤ひげは「貧困と無知が原因だ。それを解決しない政治が悪い」と保本に説く。
長屋で死んだ大工の佐八(山崎努)は、皆に慕われていたが、彼のかなわなかった恋の話を死に際に聞き、保本は次第に「貧乏人」とどこかで軽蔑していた人々の背景にある人生の重さを知る。

患者に尽くす名医かと思えば、赤ひげは、大名の診察に出向き、家老(西村晃)に診察費50両もふんだくってしまった。保本は清濁併せのむ赤ひげの姿に驚く。

赤ひげは、またあるときは「岡場所」と呼ばれる場所へ出向き、女将(杉村春子)から、12歳で客を取らされて、病身のおとよ(二木てるみ)を救い出す。女将は荒くれ者を呼んで赤ひげと保本を追い払おうとしたが、恐ろしく腕っぷしの強い赤ひげは、なぎ倒すように男たちを叩きのめしてしまった。

赤ひげはおとよを保本に預け「お前の最初の患者だ」と言う。
過酷な環境で人間不信だったおとよは、保本の言うことも聞かず、薬も飲まない。
しかし、身を粉にして、自分が熱を出すまで看病する保本の姿に、おとよは、生まれて初めて、人の真心を信じるようになるのだった。

おとよは養生所を雑用の仕事を始めた。そこへ盗みに入った長坊(頭師佳孝)という7歳の男の子と知り合う。長坊の家は極貧で泥棒をしなければ生きて行けなかった。おとよは自分の食事を減らして、彼に分け与えたりするが、ある日長坊の一家が毒を飲んで心中。
小石川養生所に運ばれてくる。
赤ひげや保本は必死に手当て。おとよや養生所の下働きの女たちは「井戸の中に向かってその名前を呼べば、この世に呼び戻せる」という言い伝えを信じ、井戸のふちで必死に「ちょうぼぉー!!」と叫ぶのだった。

保本には許嫁がいたが、長崎に行っている間に別の男と結婚。そのことにずっとわだかまりがあったが、養生所での厳しい修行の中で、そんな思いも消えていた。
彼は許嫁の妹のまさえ(内藤洋子)と結婚することになり、父(笠智衆)と母(田中絹代)とともに祝言の席へ。保本は幕府につかえる医者への「栄転」が内定していた。
しかしそこで彼はまさえに「私はこのまま養生所に残ります。貧乏と思いますがそれでもいいですか」と伝える。

赤ひげは保本に「後悔するぞ!」と怒鳴るのだが、それでも赤ひげはなんだか嬉しそうだった。


1965年制作、黒澤明監督。黒澤の最後のモノクロ映画である。
CGやらVFXやらきぜわしい画面が目白押しの昨今の映画界を思うと、陰影のくっきりしたモノクロ画面は、美しいほどだ。
そしてカメラワークが素晴らしい。
長回しで、クローズアップを多用しない映像は、じっくりと見せる効果があり、ドキュメンタリーのような印象をわたしは感じる(演じる俳優さんは大変だと思う)。

尊大なエリートが、じかに臨床の場で人間の本質に触れ、おとよのような虐げられた者が、自分を大事にされたことによって、自分よりももっと悲惨な者たちに寄り添う心境に変わっていく。
その過程が自然に描かれ、赤ひげも単なる「立派な医者」というだけでなく、ある意味身勝手で独善的で高圧的なのだが、それが人間造形に深みを持たせている。

それにしてもキャストが豪華だよなあ。
なにせ60年も前の映画だから、言われないと加山雄三だと分からない。田中絹代は本当に上品でキレイな人だなあ、と画面を見ながら思う。
最後に笠智衆が登場すると、つい小津映画を見ているような気分になった(;´∀`)
わたしのような初老の身には、こういうヒューマンな映画がしみじみとして心にしみてきます。
(2月6日)

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