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2025年12月22日11:24

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韓国映画「ディープ・ブルー・ナイト」

ペク・ホビン(アン・ソンギ)は、韓国に恋人を残し、アメリカの永住権(グリーンカード)目当てにメキシコ経由で密入国し、ロスアンジェルスの自動車工場で働いていた。
移民局の手入れが入り、ホビンも一目散に逃げだす。

しかしホビンは、同胞の韓国人女性をだましてお金を巻き上げ、クルマで乗り付けた砂漠の中に放置するなど、悪辣なことをやっていた。

彼に、「偽装結婚」の話が持ちかけられる。
相手は韓国人のジェーン(チャン・ミヒ)。結婚すると永住権は取りやすくなる。
ジェーンも、在韓米軍兵士だった黒人男性と結婚して渡米したものの、うまくいかず離婚。その後はバーで働きつつ、結婚・離婚を繰り返し、そのたびに偽装結婚の「手数料」を稼いで暮らしていた。

ホビンとジェーンとのあいだで「契約」が成立し、ふたりは「結婚」。
ホビンは雑貨店で働き始める。移民局が怪しんだジェーンの婚姻歴も、ホビンが、
「アメリカは自由の国! 民主主義の国! すばらしい国!」と熱弁をふるったことが功を奏したのか、審査が通り、グリーンカードを手に入れることが出来た。

あとは、時期を見てジェーンと離婚、そして韓国から恋人を呼び寄せて改めて結婚すればいい・・ホビンはそう考えていた。
恋人からは定期的にアパートにカセットテープが届く。
再生すると、韓国に一人残され、いかに寂しく心細いか、恋人は切々と訴えていた。

だがジェーンはいつのまにか、「夫」のホビンに心ひかれている自分に気付く。

雑貨店に強盗が入り、やはり韓国人同胞の店員(チン・ユヨン)が射殺された。
警察の聴取が入ると面倒だと思ったホビンは逃げ出す。
ジェーンのところには、ホビンが砂漠に放置した女性が訪ねてきて、なんとか助かったが、あいつはとんでもない男なのだ、とジェーンに忠告するのだが、それでもジェーンはホビンをあきらめきれない。

ホビンのアパートの大家が預かっていたカセットテープを、ジェーンは「代理です」と受け取る。再生するとそこには、ホビンの恋人が、彼を待ちきれず、ほかの男と結婚した、さようなら、という内容が吹き込まれていた。

ジェーンが離婚に応じないことにいらだつホビン。
いっそ砂漠で亡き者にしようと、彼女を乗せてクルマを走らせる。
ジェーンはそっとカセットテープを車内で再生させた。その内容に衝撃を受けるホビン。

さんざん女をだまし、偽装結婚もして手に入れた永住権。
しかし、最後の最後に、本当に結婚したい相手には去られてしまった。

そしてジェーンも、やっと本当の愛に出会えたと思ったものの、ホビンには利用されただけだった。
S字カーブがうねる砂漠の道路で、突然クラクションを鳴らしたまま、クルマは止まる。
ジェーンが、ホビンを拳銃で撃ったのだ。
そして彼女も死のうとしていた・・・


福岡県立総合図書館のホールで、80年代の韓国映画上映が特集されていたので見に行く。
実は同じ場所で、26年前にこの映画を見ているのだが、だいぶ細部は忘れてしまっており、まるで初めて見るような感じ(;´∀`)。偽装結婚の話と言うのは勿論覚えていたが。

制作は1984年。まだ韓国は軍事政権下である。
この時代、映画の検閲も厳しく、体制批判はご法度。そのため「メロドラマばかり作られてた」という話も聞く。

本作も、男女の愛憎をめぐるメロドラマといえようが、ホビンがアメリカ永住に執着し、「アメリカは自由の国! 民主主義の国!」と叫ぶシーンは、裏返せば、母国の韓国には自由も民主主義もないから、ということになる。
そのあたりを考えると、切ない思いが残る映画だ。

主演は、韓国映画界の大スター・アン・ソンギ。
誠実な人物や、頼もしいリーダーを演じることが多い彼には、珍しい悪役。それもとことんワルな奴。
40年以上前の作品だから、アン・ソンギが若々しく、役所広司に似ている。

オールアメリカロケ、ということで当時は話題になった映画だ。
監督は、ぺ・チャンホ。原作・脚本はチェ・イノである。
(12月18日・福岡県立図書館映像ホールシネラ)
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