羽田 圭介 (著)
キャンピングカーを改造した「タブー・トラック」の車内でのみ、自分を解放できる中堅俳優「橘響梧」
制作サイドから「i.R.I.S.」要素の盛り込みを押し付けられ、自由な創作活動を妨げられる脚本家「井刈蒔」
英会話学校に勤め、上司のパワハラに耐える会社員「中松優一」
優一の娘で配信者の女子高生「中松七海」
四人それぞれの視点から、現代日本のストレス社会を描く。
まさに世はポイズン時代。
♪言いたい事も言えないこんな世の中じゃポイズン
羽田先生の後ろ盾を得て、俺のポリコレ叩きも勢いを増すかといえば然に非ず。
検索情報によると、作中造語の「i.R.I.S.」って、ポリコレのことじゃないらしい。
オイオイオイッ、どっからどう読んでもポリコレの事でしょうがッ!?
まあ、羽田先生御本人が雑誌のインタビューでそう答えてらっしゃるなら、そうなんでしょう。
ポリコレ批判を軸に、感想を組み立てるつもりだったんで困ったなと。
ストーリーはあってなきが如し。
暮らしの中で日々感じる、違和感やイライラエピソードの詰め合わせ。
ここいら辺のリアリティ、セレブ/一般人問わず漂う濃密な生活臭は流石の一言。
羽田先生はメディアでの露出も多いんで、芸能界の裏事情にも精通してらっしゃるでしょう。当然、響梧&蒔の業界パートは読み応え充分。
全く未知の世界である女子高生配信者の実態、七海パートも大変興味深く読ませていただきました。
っつーわけで、殆どの読者に一番共感しやすいのが、優一の会社員パートということになりましょうか。
俺も経験あるあるですけど、ホント当りが強い人っていますよね。
店員や部下、自分より格下と認識したらどこまでも横柄に対応する輩たち。
相手が反撃してこないと安心しきっているのか、はたまたサイコパスなのか。
対人関係のストレスも溜め込むことなく随時発散できているんでしょう、ある意味羨ましい限り。
で、日々疑問に思うわけです。
パワハラ上司とかイジメっ子とか怖くならないの?と。
ある日突然、臨界点を越えた弱者が牙を剥いて逆襲してくるかもしれないじゃないですか?
日本人は概ね内向きで自殺に流れますが、アメリカの銃乱射事件みたく外に暴発する者もいるかもしれない。
あんなヘタレのチー牛に負けるかよって、ナイフ持ってたらどうすんの?刺されたら死ぬぜ。
最低限の礼儀礼節って、相手の為というよりは自らの安全保障なのでは。
条件反射で当たり散らす前に、冷静に想像して下さい未来を、、、貴方はホントに大丈夫?
優一パートでは是非、この緊張感を味わっていただきたい。
今、職場や学校で周りにキツく当ってる自覚がある人、気を付けてぇ〜〜
自覚ない人?、、、知らん知らん、そーゆー奴には近付かないのが一番です。
他にも女子高生のルッキズムと整形事情、過剰健康志向による逆ストレスなど、各エピソードちょこちょこと引っ掛かるものはあれど、物語全体の感想となると途端に薄い。
さっきも書きましたけど、ポリコレ批判を封じられると殆ど書くことありません。
そんな中、衝撃のp379を迎えるわけでございます。
かつて黒船の来航により、日本の鎖国は破られました。
その近代化が生み出した軍国主義は、ポツダム宣言受諾による敗戦で崩壊します。
過去、我が国の大変革は常に外圧を起点としてきました。
そして今、令和日本のこの閉塞感を打開するには、これ程の外圧インパクトをぶつけるしかないのか、、、
平和主義・ポリコレ・LGBTQ・SDGs・働き方改革etc etc、そういった理想的な善意の概念さえも許さない圧倒的現実、“暴力”の応酬。
第二部とか第二章という区切りもなしに、いきなり突然唐突に話がブッッッ飛びます。
正直、これはこれで別作品として読みたかった。
法治や善意といった社会の表層が捲れ上がった現実の中を、響梧や七海は如何にサバイブするのか?
前半、社会という箱庭の中で必死に自分を取り繕っていたキャラクターたちが暴力の嵐の中で藻掻く様はまさに予測不能の展開。
この前後半の落差、綺麗ごとを剝ぎ取った本音にこそ、現代日本のストレス社会を生き抜くヒントが隠されているのかもしれません。
って、俺? 全然読み取れなかったス(哀)
羽田作品の過去感想も読み直して引用するに、
294冊目 『ポルシェ太郎』
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1974225171&owner_id=263792
>今作に限らず過去読了した羽田作品からもこれまでに、「他人に流されるな」っていうメッセージを受け取ってる気がするんです。
うんうんそうね、まあ、こういうことなのかなぁ〜〜みたいなこともないような気がしないでもないかな?って、そんな感じですかね。
あッ後、今作では羽田作品定番の図書館批判がなくて助かりましたw
そんなとこですハイ。
利便性を極めた社会が逆に不便という皮肉
★★★☆☆
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