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2025年09月20日10:43

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425冊目『黒鳥の湖』

宇佐美まこと (著)

不動産と飲食業を主軸とする中小企業「ザイゼン」を経営する「財前彰太」には、誰にも言えない過去があった。
「ザイゼン」を起業する際、伯父を罠に嵌め殺されるように仕向け、その遺産を掠め取ったのだ。
封印したはずの黒い過去が、現在発生している連続猟奇殺人事件の報道に触れることによって滲み出し、彰太の未来を塗り潰そうとしていた、、、

宇佐美先生も今作で三戦目、順調にココのエースへ成り上がってきてます。
405冊目『いきじごく』
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1989065582&owner_id=263792
377冊目『羊は安らかに草を食み』
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1985981078&owner_id=263792

三作目ともなれば、前回話題になった作家各々のクセとやらも、くっきり浮き上がってくるというもの。
宇佐美先生と言えば、そう!エグ味とどんでん返し。
勿論今作でもガッツリです。っつーか、エグ味キツ過ぎ。
エグ味インフレーションとでも申しましょうか、バトルものの少年漫画みたい。
敵を倒したらもっと強い敵が現れて、次はさらに強敵登場っていう例のヤツです。

ココで言う【エグ味】とは、主にストーリーに刺激を加えるためだけに、宇佐美先生が選りすぐった心の闇を調合したミックススパイスみたいなもん。
ただでさえ陰鬱な話で滅入ってるところに、終盤怒涛のエグ味スパイスの大量投入からの大どんでん。
これ以上の精神負荷はゴメンだとばかりに心がシャットダウンしたのか、逆に不思議なほど響きませんでした。
前二作ではまさに、このエグ味と大どんでんに惹かれたというのに。
嗚呼、読者というものは何と我儘なる生き物なのでしょうか。

当たり前ですが、「過激描写≠面白い小説」ということ。
宇佐美飯店はエグ味スパイスマシマシで、正直味付けが濃過ぎて舌が麻痺状態。
折角良い食材使ってんだから、もっと素材の風味を活かせばいいのに。
では今作における素材の風味とは?
読者諸賢皆さんそれぞれあると思いますが、俺が一番感じたのは「本当の善意とは?」ってヤツですかね。

作中他人の不幸に寄り添い、一緒にとことん悩み抜いてくれる聖人君子のようなキャラクターが登場します。
彰太夫妻も娘が誘拐されるという犯罪に巻き込まれ憔悴しきってしまいますが、彼女の献身的な支えで何とか日常生活に踏み止まることができました。
頼ってきた者は誰であろうと決して見捨てず、自らを犠牲にしてでも必ず助ける。
一見、非の打ちどころがない純粋な善。
対比するかのように、今そこにある問題を直視せず、束の間の平穏を維持する彰太の偽善や、全ての読者が嫌悪するであろう邪悪も描かれてますんで、増々この純粋な善の異質さが際立つ構図に。
もう一度言いますね、「本当の善意とは?」皆さんはどう思いますか。

こっからはあくまで俺の主観です。
各方面で言いたいことはあると思いますが、一つの意見として収めていただきたい。

自分>家族>友人知人>他人

基本的に皆さんこの順番だと思います。
常識とは言いませんが、これが自然ですよね?
じゃあ聞きますけど、守りたい人に優先順位があるのは差別でしょうか?
例えば、子供が熱を出してるときに母親の制止を振り切って、被災地へボランティアに駆け付ける父親は果たして善でしょうか?
被害者よりも、加害者の人権擁護に熱心な弁護士は?
駆除される熊が可哀想だと役所に抗議電話をする人は?
貴賤貧富、老若男女、日本人、外国人、動物、植物、環境、地球。
生きとし生けるもの全てが幸せになればまさにそれこそが最善、しかし俺たちは神じゃない。
人生は選択の連続です。何かを手放し、空いた両の手で別の何かを掴み取る。それの繰り返し。
決断しなければならないとき、その決断から逃げることこそ偽善であり悪なのでは。

、、、、、、。

って、またぁ〜〜全然本の感想じゃないじゃん、ゴメンちゃい。
っつーわけで、純度100%善意の有難さと恐ろしさに大量のエグ味スパイスが塗されて、大どんでんという捻りを加えながら、貴方の口中にブチ込まれます。
味わってみればいいじゃないこのエグ味、読んでみればいいじゃない大どんでん。


ジロリアン系の読書家には堪らない作品化かと
★★★☆☆
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