安部 龍太郎 (著)
「藤堂高虎」ですね。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%97%A4%E5%A0%82%E9%AB%98%E8%99%8E
俺のイメージは、築城の名手にして巨漢、そして憎き東軍の主力ってこと。
ホラ私、ゴリゴリの西軍派なもんで。
っつーわけで、我が宿敵安部先生とは今作にて三度目の対戦。
何故宿敵なのか?経緯はこちら。
284冊目 『冬を待つ城』
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1972407670&owner_id=263792&org_id=1972607766
相変わらず今作でも、秀吉&三成をディスりにディスってディスりまくってます。
そんでそれに俺が過剰に反発するといういつもの構図。
何で相性悪いのに三作も読んでんだよ?っつーと、件の彼、またもや「軍曹」の押し貸しであります。
385冊目『覇王の家』
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1986996569&owner_id=263792
問答無用で押し付けられてディスり確認からの過剰反発と、今回三作目で最早お約束にして伝統芸の域w
そんじゃあ今回も、西軍派としてキッチリ言わしてもらいますよと。
小牧・長久手から大坂の陣まで、上下巻合わせ千項弱の大長編。
戦国武将の人生を辿る一代記にありがちな、史実イベント流れ作業的展開に陥らず、見事に名将「藤堂高虎」の生き様を描き切ってます。
2m近い巨漢が戦場で無双する様は、男なら誰もが滾るシチュエーション。
加えて竹を割ったような性格、その好漢振りには読者の誰もが惹かれることでしょう。
だって西軍派の俺でさえ、高虎カッケーってなったもんね。
さらにさらに、ヒロインとの淡い恋や主君である秀長との深い師弟愛を盛りに盛って、好感度を上げに上げて来ます。
そうなんですよ、このまま素直に高虎上げだけしときゃいいのに、押っ始まっちまうわけですわ、安部先生お得意の豊臣ディスりが。
家康が善で秀吉が悪という、偏見に凝り固まった二元論で歴史を断定してしまう尊大さ。
歴史小説という娯楽の域をはみ出さないならば、俺もこんな無粋な物言いはしません。
看過できないのは、主観の豊臣批判と徳川礼賛を繰り返しながら、ところどころでは資料を挙げて史実を強調し、フィクションと史実を織り交ぜた自らの歴史観を読者に押し付けてくるところ。
>「さよう。領国も領民も天からの預かりものでござる。人の上に立つ者は私利私欲をすてて公平をたもち、領民の幸せのために命をなげ出して尽くさなければなりませぬ」
「幸せの番人たれ」
高虎・秀長・家康、今作で聖人に祀り上げられた御三方に通底するキーワード。
そ、そ、そ、そんなわけあるかあぁぁぁぁぁーーーーーッッ!!
いい加減、美辞麗句の糖衣で戦国武将を塗り固めるのはやめていただきたい。
ゼロとは言いません、そりゃ仁政の志もあったことでしょう。
だけど、まるでそれが全てだったように描かれると、オイオイ美化し過ぎじゃないのとなるわけで。
乱世ですよ、親兄弟で殺し合ってる時代なんです、先ずは生き残ることが最優先、勝つ方に付くのは当たり前。
高虎が家康に味方したのは、二人して民が平和に暮らせる世を創るため?
違うっつーの、高虎の冷徹且つ的確な状況分析以外の何物でもありません。
家康が関ヶ原や大坂の陣を起こしたのは大義のため?
冗談じゃない、己が手で天下を切り取るためでしょうがッ!!
人生における行動原理の源泉である生存本能や欲望を必死に隠蔽しながら、真の人間が描けるのかと問いたい、マジで問い詰めたい。
善悪二元論で話を進めている以上、秀吉薨去以降の家康の行動や、高虎の主家筋見限りに正当性を持たせるため、必然的に敵役の貶めが行われるわけです。
聖人君主であるはずの家康公と忠義者の高虎が天下簒奪なんてとんでもない、あれは豊臣家を私物化した淀殿と三成が全部悪いんだという寸法。
言っときますけど俺、豊臣贔屓だけどアンチ徳川じゃないかんね。
戦国は西軍派ですけど、幕末は佐幕派ですから。
力ある者が天下を統べる。当時としては当然の考え方。
そもそも秀吉だって織田家の天下を簒奪したわけですから。家康を責める権利は毛頭ありません。
兎に角、
本来の行動原理である野望を綺麗事で覆い隠した、一方的な善悪二元論を押し付けられるのが、どうにもこうにも我慢ならんということ。
またもや過去二回と同じ結論になってしまいました、申し訳ありません。
ここいら辺のところを、安部先生に一回じっくり伺ってみたいですね、マジで。
はぁ〜〜と、言いたいことは言わせていただきましたので、あとは軽めの感想をば。
巻末解説によると安部先生、高虎の領地であった三重県津市の町興しプロジェクトにも携わってらっしゃるとか。
283冊目『レオン氏郷』の蒲生氏郷みたく、
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1972235424&owner_id=263792
高虎にも相当惚れ込んでおられる御様子。
昔の感想読み直して愕然としましたけど、これから書こうとしてることも「レオン」のときと全く一緒です、ゴメンナサイw
主人公を上げに上げ過ぎて、逆に白ける現象。
そうね、、、【安部チャージ】とでも名付けましょうか。
戦場無双で誰からも慕われる好漢。
これだけでも充分なのに、二翻じゃ飽き足らずまあぁ乗っける乗っける。
意中の女武者「照葉」との不器用過ぎる恋模様に胸キュン、生涯の師である秀長との涙の別れにウルウル、数多の名将たちとの厚き友情にジーン。
まだぁまだぁ、城造りまくりーの、いつのまにか忍者集めて諜報組織を立ち上げーの、気が付けば水軍提督ポジション、果ては「牛方馬方騒動」や「大久保長安事件」まで解決しちゃいます。
いくら何でも盛り過ぎ。
っつーか、本多正信や服部半蔵はオマケですか?こんだけ外様に頼りっきりじゃ、徳川家に人材がいないみたいじゃん。
上げるだけならまだしも、当然下げも併用してきます。
特にッ大坂の陣での伊達政宗の件、アレいります???
俺、三成は大ファンですけど、政宗は正直どうでもいいです。
そんな俺でもあの下げはないわぁ〜〜、どっちらけもいいとこ。
意図的な悪意、底知れぬ憎悪さえ感じます。
高虎の軽率さと政宗の小物振りを殊更に強調して、誰が喜ぶんですか?
まさかとは思いますが、政宗ディスりたいだけじゃないでしょうね?
あの一連の流れは、まさに蛇足そのもの。
その分東軍勢はホント魅力的に描かれてますよねぇ〜〜
中でも「水野勝成」は今作最大の発見。
前半もう一人の主人公と言ってもいいくらい。読了後早速wikiで補完しましたが、高虎ソックリの半生は大河張れるぐらいのポテンシャル。
いやぁ〜〜知りませんでした、これがこの戦国というコンテンツの分厚さよ。
自分が永遠の中級者だということを再認識致しましたですハイ。
最後に一つ。
豊臣と徳川の対立軸として、重商主義と重農主義に触れる場面があるのですが、ここをもっと深堀していただきたかった。
単純な善悪二元論に固執するよりも、遥かに物語に深みが増したでしょうに誠に残念。
取り敢えず、こんなとこですかね。
どうスか? 前回422冊目と逆(嫌いだけど面白い)だったら、こんだけウダウダ書けちゃうんですよと。
来年の大河楽しみ♪
★★★☆☆
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