貴志 祐介 (著)
確認したところ、貴志先生とは今作で七度目の対戦。
読書を始めた頃、俺に小説の面白さを教えてくれたその御恩は忘れていません。
四つ星連発で、年末のベストファイブにも度々選出されたエース作家の一人です。
しかしながら最近の作品は、個人的に響かないものが多く敬遠気味。
今作は90年代に刊行された初期の作品。
と、なればッ!
四つ星エース満を持しての御帰還と、ハードルを高々と上げて表紙を捲るも、、、
散々だった145冊目『雀蜂』よりは遥かに読ませますが、
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1929851841&owner_id=263792
59冊目『ダークゾーン』や、その他の四つ星獲得作で味わったあの湧き上がる様な興奮には遠く及びません。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1825297814&owner_id=263792
母と妹と三人、湘南で平和に暮らす高校生「秀一」の家へ入り込んだ侵略者、母の元夫「曾根」。
金をせびり酒を喰らい、家庭内で傍若無人に振る舞う曾根。
警察も法律も家主である母「友子」が黙認している以上動けない。
何か弱みでも握られているのか?
このままでは妹の貞操も危うい。
こうなってしまってはもう、自分が曾根を殺すしかない。
秀一の孤独な闘いが始まった、、、
ミステリーに非ず、青春小説也。
っつーか、青春小説にミステリー要素を強引に捩じ込んだ感じ。
更に突っ込むと、ミステリー要素が致命的に弱い。
動機・トリック・事件の顛末・心理描写、全てが不完全燃焼。
犯行に作戦名付けるあたり、中二病全開でイタ過ぎ。
家族を守るためのやむにやまれぬ行動という重さが軽減されてしまう。
名門進学校の秀才とは言え所詮は高校生、ご都合主義のミスを連発して墓穴を掘っていきます。
警察や探偵側の名推理で事件が解決するのではなく、犯人側の自滅展開は正直萎えます。
特に自己保身のためだけに犯す二件目の殺人は絶対に無用、この時点で大義は消滅。
ここいら辺のグダグダ感は、まるでデスノートの劣化版夜神月(哀)
弱いミステリーで萎えたところに甘々の青春シロップがぶっかけられます。
七十年代青春ドラマのようなクサい台詞の応酬にドン引き、こんなにも古臭いものなのかと愕然。
青春パートは薄っすらと小っ恥ずかしさが伴い、常に軽微な精神拷問状態。
まあ、俺がオッサンってのもあるけど。
決して面白くないわけじゃないんです、俺がハードル上げ過ぎただけ。
ミステリー・青春共に今一つとなると、家族愛要素で引っ張ってほしいところですがこれも不発。
いかに家族を守るためとはいえ、他人の人生を滅茶苦茶にして許されるはずはない。
秀一に同情どころか、山本警部とコンビニ店長とトラック運転手の方に感情移入する始末。
それに母と妹の未来を憂うならば、今の母と妹の気持ちこそ考えるべきじゃないですかと問いたい、問い質したい。
信頼を裏切り、無関係な人たちを巻き込み、愛する家族に消えない傷を刻み込んで、悲劇の主人公を気取ってる秀一を、どやしつけてやりたい気分でモヤモヤと読了。
こんなことなら、泥酔した曾根の寝込みを襲って病院送りにした後、正々堂々法の裁きを受ければよかったんじゃないでしょうか。
浅はかすぎるわッ!!
プチネタバレ ごめんなさい
『雀蜂』よりは遥かに面白いので必然的に
★★★☆☆
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