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2024年12月07日22:32

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402冊目『もっこすの城 熊本築城始末 』

伊東 潤 (著)

題名通り。熊本城を造るお話。
っつーか、城を造って造って造りまくる話。
築城だけじゃなくて、治水や街づくりもやっちゃいます。
謂わば、加藤政権建設大臣物語って感じ。

主人公の「木村藤九郎秀範」は架空の人物ですが、父親の「木村高重」は織田信長に仕えた安土城の普請奉行とのこと。
プロローグでは本能寺の変が描かれ、高重は自らの築城技術の全てを書き記した秘伝書を藤九郎に託し、安土城を枕に討ち死にしてしまいます。
本編は、肥後半国に国替となった加藤家に藤九郎が仕官するところから。
オリジナルキャラクター藤九郎の目を通し、資料が残っていない歴史の空白に焦点を当てていきます。

読み進めておりますと、「加藤清正」は勿論、更には「佐屋嘉兵衛」や「金宦」と懐かしい顔ぶれが続々登場。
44冊目『黒南風の海「文禄・慶長の役」異聞』
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1794682943&owner_id=263792
当然この面子が揃うということは、朝鮮での蔚山城築城もガッツリ描かれます。
っつーか冒頭の紹介通り、肥後入国しての治水工事を皮切りに、肥前名護屋城に蔚山城、そしてラスボスの熊本城と、清正が関わった城は全て藤九郎が手掛けるという活躍振り。

お仕事もの鉄板の展開。
努力型の主人公が、厳しくも優しく見守る上司の元で、数々の困難を克服しながら組織を昇り詰めて行く。
雛形テンプレート全開、既視感の嵐、ベタ王道の極み。
大企業だろうが学校だろうが警察機構だろうが、どんな組織にも使えます。
今回はこの必勝方程式を「戦国時代の加藤家に当て嵌めました」って感じ。
意地悪な同僚の妨害、泣ける人情エピソードの捩じ込み、仲間の死、絶望からの復活、全てお見通しトップが敢えて主人公を泳がせる展開、、、嗚呼ハイハイ、見たことあるあるあるの連続。
っつーわけで安定の面白さなれど、驚きや新しい発見は皆無。

それならば、全く違う側面から切り込んでみようかなと、、、異端感想をばぶっ放します。

先述した通り、以前読んだ「黒南風の海」と今作、設定がドン被り。
同じ時代を舞台にした、同一人物が多数登場する伊東作品。
当然俺は、同次元の話として読み進めてたわけです。
言ってること解ります?
「黒南風」に出て来る加藤清正と、今作「もっこす」に出て来る加藤清正は同一の存在。
続編ではないけれど、同じシリーズみたいな認識。

がッしかしッッ

どうやら別次元、パラレルワールドの話らしい。
まあね、出版社は違いますけど、、、でも副題の咬ませ方なんか完全にシリーズもんじゃん、ちょっとショック、、、
じゃあ、「黒南風」と被ってるキャラを検証していきますよと。

「小西行長」・・・相変わらず嫌な奴(伊東先生、行長嫌い過ぎ)
「金宦」・・・変わらず熱血漢のまま
「加藤清正」・・・誰もが惚れる理想の上司、定番の設定。
「佐屋嘉兵衛」・・・全くの別人

「黒南風」の主人公である嘉兵衛は、冷静沈着で物腰柔らかな好青年だったのに、今作では豪放磊落な荒武者に大変身。
脳内イメージも痩身の美少年から、ゴリマッチョの髭達磨へ。
決定的なのは、嘉兵衛の奥さんと子供の名前が「黒南風」と今作では異なってます。

これだけなら、「黒南風の海」と「もっこすの城」は別の話で繋がってませんでした。
で終わりなんですが、このヤマ、もう一捻りあるんだなコレが。

加藤家の仕官募集で出会った藤九郎と嘉兵衛は、船で肥後へ向かいますが、、、

p36 初登場 物腰柔らかな好青年  
↓↓↓
p64 再登場 豪放磊落な荒武者

別人になっとるやないかいッ!!

いやね、朝鮮での激戦を経て、嘉兵衛が沙也可になった後なら解りますよ。
船上での作中時間、一日も経ってないっつーのッ!!
これはない、これはないわぁ〜〜ファニー・ヴァレンタイン大統領じゃないんだから。
初登場時は「黒南風」のキャラを踏襲してたんで、やっぱ繋がってるんだと感激してたら、再登場時に別人になってんだもん、ドン引き。

大変失礼な言い方になってしまいますが、伊東先生、最近些か濫作傾向かなと。
文体も昔に比べてクセがなく、あっさりしてて少々物足りません。
量産体制だと、どうしても一作あたりに割くエネルギーが目減りするのでは?と、邪推が擡げてくる始末。
面白い/面白くないは別にして、純粋に作品が放つエネルギー量を比較するならば、明らかに「黒南風の海」>>>「もっこすの城」です。

、、、、、、。

いかん、異端感想をばぶっ放し過ぎました。
あくまで俺の主観なんで、気分を悪くした方がいましたらゴメンナサイ。
俺、令和の歴史作家筆頭は、伊東潤先生だと思ってますから。
今村先生に負けないでほしい。
『武田家滅亡』の感想文にコメントを頂いたときの感動は、今も色褪せておりません。

今村先生といえば、『塞王の楯』との読み比べも楽しかったです。
どちらも如何に堅固な防御施設を築けるかっつー話ですから。
勿論今村先生も応援してますが、俺はやっぱり伊東派。


『武田家滅亡』と『塞王の楯』もリンク貼った方が良かった?
★★★☆☆
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