小田雅久仁著
「小田雅久仁」
あらすじを確かめず、この五文字だけで自動貸出機に本を載せることができる稀有な作家。
初対戦での衝撃は今も忘れられません。
『本にだって雄と雌があります』→154
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そして、二度目の再戦での最悪の読後感を今ッ思い出しました。
『増大派に告ぐ』→179
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変わってないねぇ〜〜、全然変わってない。
狂人かと疑うほどに異次元な発想力。
恐らく改行毎に罰金を取られるのであろう字面密度(1ページ当たりの文字数)
無理くり捩じ込まれる難読漢字の絨毯爆撃。
変わってないねぇ〜〜、全然変わってない。
こんなに懐かしく感じるもんかね、俺嬉しいわ。
さて今作、七編の奇譚集です。
実は表紙とタイトルから連想するほど禍々しくはありません。
ホラーというよりは、小田先生のブッ飛んだストーリーテリングをそう来たか!と嗜む作品かと。
アンソロジーにありがちな当たりハズレ問題、小田先生にあっては無きが如し。
七編全てが超特濃、ドロドロッでめちゃめちゃ読み応えあります。実際字数多いし。
マジで文章濃度が他の作家さんとは桁違い、JR新宿駅と西武新宿駅ぐらい違います。
どうしよう?取り敢えず軽く一編ずつ語っていきますか、、、
「食書」
本を食ってッ!?物語の中に入り込む話。
いきなりブッ飛んでますねぇ〜って、まだまだこんなもんじゃないよ。しっかり付いてきて。
「耳くぐり」
耳から他人の体内へ侵入し、同化していく話。
小田版人類補完計画。
「喪色記」
異世界からの侵略により、この世界から色が喪われていく話。
小田版マトリックス。
「柔らかなところへ帰る」
通勤バスの中で出会ったふくよかな中年女性に欲情した男の末路。
現代版日本昔話、小田流新感覚官能小説。
「農場」
鼻を苗床にしたッ!?人間農場の話。
ギリギリのリアリティと恐怖のバランス。
「髪禍」
頭髪を神格化する宗教団体の話。
崩壊するリアリティ、今作のバランスブレーカー。
「裸婦と裸夫」
半魚人版ゾンビ。
ゾンビパロディ、終末論、コメディ、恋愛と要素てんこ盛りで、掴みどころがない印象。
上から順に、口、耳、目、肉、鼻、髪、肌だって。
肉体の部位をテーマにした短編連作といえば、『幕末刺客列伝』→89
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流石小田先生、羽山御大の魔球“ふぐり”にも負けない豪打ラインナップですよコレは。
そんな中にあって、今回俺的に四番を任されたのは(五番目だけど)「農場」です。
さっきも書いた通り、リアリティと恐怖のバランスが絶妙。
鼻を苗床に人間を育てるなんて、リアリティの欠片もないと思われそうですが、ここに至るまでの仕込みがミソ。
借金で首が回らなくなった若者を勧誘するところから闇バイト感満載。
高速に乗って数時間、柵に囲われた郊外の農場に到着。
多くを語らない訳ありの従業員たち。
施設で培養された鼻ッ!?を畑に植えていくという明らかに異様な行為。
異議は勿論、疑問さえ許されない職場の空気。
不気味だが逃げ出すほどではない労働環境。
明らかに違法だろうが、給料は貰えるし飯も食える。
ここを出てホームレスになるくらいなら、目と耳を塞ぎ鼻を植えてたほうがマシ、、、
ここいら辺の匙加減がまさに絶妙。
ない。ないけど、、、絶対にありえないとは言えないギリギリのライン。
逆に言えば次の「髪禍」は、明らかにこの一線を踏み越えてます。
そりゃ無ぇわと物語から一歩引かせてしまう、やり過ぎ&盛り過ぎ。
恐怖というのは、もしかしたら自分の身にも振りかかるかも?というときに一番増幅します。
貧困からやばい仕事に手を染めるなんて、それこそありふれた話。
培養された鼻から人間を育てるッ!?ないない、、、本当にそうか?
分らんよぉ〜、この先バイオテクノロジーの進歩か何かで、絶対にないとはいえないんじゃ、、、っつーね。
良くも悪くも人間は環境に慣れていくもの。
その後主人公が辿った運命に読者は何を思うのか。
絶望しない絶望、全てを呑み込んだ心地よい諦観、日常や社会といった苦痛からの解放、柵の中にこそある安心、、、
こんなにグロテスクな話なのに、ふわふわと漂う様な何とも言えない読後感。
ストレスフルな現代を生き抜く黙示、人生哲学の片鱗さえ感じさせます。
勿論「農場」以外でも、唯一無二の小田ワールドが領域展開中。
俺的次点の「柔らかなところへ帰る」もさらりと触れときましょうか。
エロとホラーと不思議な御伽話感の高次元融合。
俺もふくよかな女性がタイプなんで、危うく世界観に呑み込まれそううになっ、、、なるかッw
小田先生との相性もあるし、面白い/面白くないは人それぞれですが、読者の誰もが「何じゃコリャッ!?」という衝撃は味わえるものと確信します。
斬新な作品を求める読書家諸賢必読。
みんなで新宿ダンジョンに潜って迷子になろう
★★★☆☆
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